(2013年8月10日)品質管理研究所
夏の暑い時期に大活躍するエアコンや冷房設備、
涼しい風をおくり、作業をしやすい環境をつくりだし、
一定の温湿度が、製造する製品や材料の劣化を防いでくれます。
安定した生産と品質確保のためにかかすことができない設備です。
冷却設備がフル稼働すると、もちろん機械も夏バテすることを理解しておく必要があります。
夏の暑さに対して、作業者さんをねぎらうために、
暑い夏限定で、社員さんにアイスクリームを振舞っている中国企業さんもありますが、
暑さに対する冷却設備に対する管理も、十分にできているでしょうか。

特に中国の工場では、冷却設備からの水もれがよくみられますので、
工場監査で、未然に問題を防ぐためにも重要なポイントのひとつです。
年間を通じて、安定した温度と湿度が求められる
材料保管倉庫や出荷品保管倉庫では、
湿気による金属酸化による錆、電子部品の劣化、
温度変化にともなう保管材料の収縮や粘着性材料の劣化など、
保管環境の変化は、さまざまな不良を引き起こす要因となります。
保管倉庫に設置されたエアコンが常時稼動していれば、
このような問題を未然に防ぐことができますが、逆にエアコンによって
引き起こされる問題があることも、想定しておかなければなりません。

温湿度を管理できていれば、つい安心と思ってしまいがちですが、
冷却設備が引き起こす落とし穴も潜んでいるのです。
エアコンの場合、エアコンから水がぽたぽたと落ちる現象がよくみられます。
エアコンの冷たい内部と外部の空気がふれることで結露した水がたまりますが、
外部へ排水されるホースにゴミやほこりが目詰まりしたり、ホースそのものに穴が開いたりして、
うまく水が排出されないとエアコンからぽたぽたと水がおちてきます。
そのため、製造現場でエアコンを使用する場合、もし、仮に水がおちてきても、
保管する材料に影響がないように、エアコンの直下には材料や製品を
保管しないようにしておくことが、多くの企業で実践されています。
倉庫の作業者さんにも管理を徹底できるように、
倉庫でのエアコン直下の保管位置の地面には、
四角い枠にバッテン印をつけて、ものを置かないように注意マークをつける、
設置禁止のコーンを立てる、壁に保管禁止の掲示をするなどの注意をしています。
また、工場内で使用される冷房設備の場合でも、水が落ちることがあります。
工場監査で現場をチェックしていると、地面の水濡れを確認する場合がありますが、
そんなときは、天井を見上げて見ると冷房設備が抱える現場の問題点が見えてくるものです。
さらに、製造現場の冷却設備が故障した場合には、
冷風がとまってしまうため、一時的に暑い状態で作業をしてしまい、
作業者さんの汗が梱包などにおちることがあり、
追加の品質問題の発生を抑制することにも注意が必要になります。
そんなときは、作業場の周りにスポットクーラーを置いたり、
生産上支障のないように大きな業務用扇風機を置いて、
作業される社員さんが疲れず、はたらきやすい環境をつくることが
製品の品質を維持することにもつながります。
夏場の冷却設備は、かかすことのできない生産設備です。
冷却設備の点検やメンテナンスを含め、いつも良い状態で使えるよう維持し、
暑い夏場をうまく乗りきっていきたいものですね。
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