2012年12月13日

オーケストラの指揮者に学ぶ品質管理とは?

オーケストラの指揮者に学ぶ品質管理とは?
(2012年12月13日)品質管理研究所


ひとつの製品に多くの部品が組み込まれている製品があります。
わずかひとつの小さな部品の不良でも、製品の品質は、大きな影響をうけます。

『品質は、指揮者とオーケストラが奏でるハーモニー』です。

ODMと品質管理


オーケストラは、弦楽器、打楽器、管楽器などさまざまな音を奏でる
たくさんの演奏者によって構成されています。

指揮者となる製品メーカーさんが、さまざまな楽器の演奏者である部材メーカーさんを
盛り立てて、ひとつの曲にしあげています。


本番の演奏前に、みなで音を合わせ、きれいなハーモニーになるように問題を解決していくプロセスは、製品を出荷するまでに改善を繰り返して品質を作りこむプロセスと同じといってもよいのではないでしょうか。


■ オーケストラの指揮者(製品メーカーさん)

優れた指揮者にもとめられることは、何でしょうか。

ただ単に楽譜どおりに演奏を指揮することが指揮者の役割ではありません。
音楽の楽譜はいわば、製品の図面やQC工程図といえるでしょう。

指揮者次第で、演奏者が奏でる全体のハーモニーは、良くも悪くも変化します。
指揮者にもとめられる力とはなんでしょうか。


■ 見えないモノを見る力と見えないところでの努力とは?

曲に秘められた時代背景や作曲者の意図を理解し、音楽に表情をつけていく力。
楽譜に書かれていないことを学び、表現する力がもとめられるのではないでしょうか。


オーケストラとの練習はもちろん、演奏者から見えないところで、
本番前までにどれだけの準備ができているでしょうか。

指揮者は、演奏時には、演奏の音の始まりのタイミング、音を徐々に落としていくなど、
音の終りなどの変化点もうまくコントロールすることが求められるでしょう。

わずかな音のちがいを聞き分け、音色や音のバランスなどを修正していく改善力はもちろん、本番までに、オーケストラのさまざまな個性をまとめあげ、多彩な演奏者の才能や協力をひきだして、ひとつの音に仕上げていく組織の指導力も必要になるでしょう。

そして、音楽と楽器に対する理解と愛情はもちろん、
演奏者に信頼性されることがなにより、大切なのではないでしょうか。


OEMと品質管理

熟練した演奏者もいれば、若い演奏者もいることでしょう。
その楽曲になれた演奏者や練習が必要な演奏者などレベルの違いもあるでしょう。

演奏者を育成するとともに、目指すレベルに応じた演奏者、
前向きな考えをもった仲間をふやしていくことも大切なことです。


■ 指揮者の盲点とは?

指揮者の盲点とは、なんでしょうか。

指揮者には、きこえにくいものがあります。

それは指揮者が耳にする音ではなく、
はなれた客席にいるお客様の位置でどのようにきこえるかということです。

日頃当たり前に指揮者の位置で聞いている音は、
はたして、お客様の耳と心にどのように響いているのでしょうか。
演奏側の立場の一方的な音色になっていないでしょうか。


オーケストラと品質管理

ものづくりの製品メーカーとオーケストラの指揮者を
重ねて考えると大切なことがみえてきます。

OEMやODMなどの海外現地生産が増えている中で、
自社で生産しない製品の品質をいかに向上させるか
日々奮闘されている方も多いことでしょう。

グローバル化と海外でのものづくり品質向上のために、

オーケストラの指揮者のような姿勢が、
今まさに求められているのではないでしょうか。



品質問題で仕事に追われているときこそ、

指揮者とオーケストラが奏でるきれいな音色に耳をかたむけて、心を落ち着けながら、
指揮者の役割と品質のあり方を考えてみるのもよいかもしれませんね。



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2011年10月04日

「工程品質のつくりこみ」とは?

「工程で品質をつくりこむ」とは? - 品質管理研究所 -


製品の品質を安定して維持するためには、製品の設計品質はもちろんのこと、
製品をうみだす工程そのもので、品質を作りこむ発想が求められます。

「結果よければ、すべてよし」、結果オーライの考え方ではなく、
その良い結果にむすびつくプロセスにも重点をおき、再現性を高めることが大切です。


では、「工程で品質を作りこむ」とは、いったいどういうことでしょうか。

そのヒントは、次の質問に素直に答えることでみえてくるはずです。


『もし、検査工程がなかったら、あなたは、製品をどのように製造しますか?』

品質は工程で作り込む

検査員がいない工場で、もし、あなたが製品の加工者なら、何をするでしょうか。
問題がおきないように工程を改善しなければ、全てのクレームをあなたが受けることになります。

そんな状況におかれたとき、あなたが、品質を保証するために加工者として何をするでしょうか。


検査を前提とした加工優先のマインドから、
検査に頼らない品質重視のマインドにかわるだけで大きく発想がかわるのではないでしょうか。


品質は工程で作り込む


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2011年03月05日

温度・湿度管理チェックシートの作り方とは?

温度・湿度管理チェックシートの作り方とは? -品質管理研究所-


品質の高い製品をつくるためには、
どんな環境で製品をつくるかがたいへん重要ですね。

倉庫や製造環境の温度と湿度の変動は、

製品を構成する部品、仕掛品、最終製品の劣化や
作業者への労働状態に影響を与え、

ばらつきの要因となる重要管理項目です。


その温度・湿度管理のためのお役立ちツールが、
『温度・湿度管理チェックシート』です。


今回、皆さんのご理解の助けとなるよう、百聞は一見にしかず、
温度・湿度管理チェックシート(サンプル)について下記をまずはご参考に!


■ 温湿度管理チェックシート

温度・湿度日常管理チェックシート(サンプル)


※Excel版のチェックシートフォーマットは、末尾で無料ダウンロードできますのでご参考に!


チェックシートは、QC7つ道具の中でもおすすめのツールで、
今回は、その実践例といってもよいでしょう。


『温度・湿度管理チェックシート』は、
どこの工場でも、現場に張られて使用されてはいますが、
その重要性について、十分理解されないまま現場の担当者さんが、記録されており、
工場監査時に不備が多くみられる確認記録のひとつといってもよいかもしれません。


そこで、『温度・湿度管理チェックシート』の本質的な役割について考えてみましょう。


【温度・湿度を記録する目的】

@Material:
 材料、仕掛品、製品が、基準温度・基準湿度の環境に適合していることを管理し、
品質劣化を防ぐため。

(例) 水分に弱い特殊な液体では、窒素などで劣化防止用のガスで封入されていて、
   開封後、大気とふれて水分を吸収し、劣化することで機能が損なわれることがあります。

AMethod:
 材料、製品の受入れ不良、工程内不良、市場不良が発生した際のひとつの要因として、
原因追求できるようにしておくため。

(例)シート状の製品の場合、冬場で湿度が下がり、静電気が発生することで、
  製品自体は劣化しなくても、異物が吸着されやすくなったりします。
  また、シート状の製品同士がくっつく問題も発生することがあります。

BMachine:
 機械の劣化による製造ばらつき、機械の故障を防止するため。

(例)温度を管理する設備では、外気温度の影響により冷却状態が変化して、
  製品特性のばらつき要因となります。

(例)内温と外温の差により水滴が付着して、設備故障の要因となることもあります。

CMan:
 作業者の作業性の向上、体調維持管理のため。

(例)作業者が、夏場の高温高湿環境で作業すると汗が飛び散り、梱包材や
   取り扱い説明書に汗の跡が残ったりします。作業性も悪くなるため注意が必要です。
   
(例)高温の金属やガラスを溶かす炉などを持つ企業では、
   工場内の温度を下げることが難しい場合もあり、
   そのような場合は休憩頻度を定め、水分の補給、塩分の補給など徹底した
   作業者への体調管理を行うことが求められます。



今回は、この温度・湿度管理チェックシートを、
無料でダウンロード(Excel)できるようにいたしましたので、

ご参考にしていただければと思います。


ぜひ、皆様の会社にあった形で、アレンジして活用いただければ幸いです。



■ 無料のダウンロードはこちらからです! 


【温度・湿度管理チェックシート(無料ダウンロード)】


上記の温度・湿度管理チェックシートのフォーマットをExcel版で
ダウンロードできるようにしましたので、下記をクリックして、
ご自由にアレンジして活用してくださいね! 

 
ひらめき温度・湿度日常管理チェックシート(Excelフォーマット)

ひらめき温度・湿度日常管理チェックシート(PDFフォーマット)


【ワンポイントレッスン】

@使いたい年月に修正してください。自動で日付、曜日が変わります。

A測定対象となる工場と測定場所を記載してくださいね。

B社内の温度と湿度の基準を記載してくださいね。

C温度と湿度のチャートに基準となるラインを実線で修正してください。


【使い方】

@温度と湿度の記録
 毎日定められた時間に校正された温湿度計で測定し、温度と湿度の数値を記録します。

※ポイント 1日の測定時間、測定頻度など管理すべき対象により設定することが大切です。

Aチャート打点とチェック
 記録した値をチャートに打点し、前日打点した点とむすび、範囲内に入っていること、ならびに変動を確認します。

※ポイント 傾向値管理を行うことで未然に以上を防ぐことが大切です。

Bサインと確認 確認した人が名前を記入し、異常があればリーダーにすぐ連絡をとるなど対応をとります。

※ポイント 毎日同じ作業をしていると、記録をすること自体が目的になりやすいので注意が必要です。

C承認と保管
 毎月、管理状況を、リーダーへ報告、承認をとり、社内の文書保管期間に沿って保管を行います。

※ポイント 記録していることが目的化しないように、管理者が責任をもってみることが必要ですね。



今回は、温度・湿度環境を管理するチェックシートをご紹介しましたが、

日々の品質管理のため、ご参考になるところがすこしでもあれば、うれしい限りですひらめき


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posted by かおる at 19:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 品質管理