2012年04月14日

工程能力指数Cpkと不良率の関係とは?

工程能力指数Cpkと不良率の関係とは? -品質管理研究所-


品質の専門家から、

「Cpk(しーぴーけー)は、どう?」、
「Cpkは、1.33以上ある?」、


など、難しい専門用語を聞かれたことはないでしょうか。

工程能力指数Cpkとは何か、

十分に理解されないまま数値だけが、
社内外で、一人歩きしていることはありませんか。

工程能力指数Cpkとは


今回は、Cpkについての理解を深めることができる
『工程能力指数Cpkと不良率との関係性』について、ご紹介します。



___________________

(1)工程能力指数Cpkとは?
(2)感覚的に理解しているCpk
(3)工程能力指数Cpkと不良率の関係性
(4)EXCELで解くCpkと不良率の関係式
(5)Cpkと不良率の活用と限界
___________________


(1)工程能力指数Cpkとは?

工程能力指数Cpkは、統計的品質管理(SPC:Statistical Process Control)にもとづく
工程の品質の安定性を評価する実務的な指標です。

なんだか難しそうですが、実際には、

@製品の平均値、A製品のばらつき、B製品規格の3つを用いて
引き算と割り算を組み合わせて計算できるシンプルな指標です。


製品特性値の@平均値とB仕様の規格値の差が
A製品のばらつきと比較して、どの程度余裕があるか定量的に把握します。

さらに、どの程度不良が発生する可能性があるかを推測することもできます。

工程能力指数Cpkによる品質管理

一般に自然現象の多くが、正規分布(Normal distribution)に従うことが多いことから、

製品における特性値にも、このモデルを適用することが、
工程能力Cpkを考える上での前提になっています。

この統計的な前提をふまえて、
どの程度の不良が発生するかを推測し、
見えない品質を予測することが、品質保証の上では大切になります。


(2)感覚的に理解しているCpk
たとえば、製品の抜取検査をした場合、検査をした2/10の製品がすべて、
合格であった場合、その他、8/10がすべて合格することを保証できるでしょうか。

もちろん、未検査の製品を根拠なしに保証することなどできません。

このとき、検査した2/10の製品の特性値が、
合否判定基準となる規格に対して、十分な余裕があるのか、

それともぎりぎりで合格していたのかでは、
残りの未検査品に対する印象も大きくかわってくることでしょう。

規格ぎりぎりで合格した場合では、
未検査品の8/10の製品が、ばらつきにより不合格になる可能性をはらんでいます。

しかし、規格範囲から余裕があった製品の場合では、
未検査品でも、かりに多少ばらついても合格する可能性が高いことを
感覚的に理解することができるでしょう。

この不合格になる可能性がどれだけあるのかを感覚的にではなく、

統計的にみて推測することができれば、
第三者にも客観的に説明することができ、
お客さんに対する品質保証に役立てられます。


このような日頃、現場で感覚的に感じていることを
客観的、定量的にあらわせる指標が、工程能力指数Cpkです。



■ 工程能力指数Cpkとその算出方法については、下記の記事をご参考に!

工程能力指数Cpkとは?
工程能力指数Cpkの計算方法とは?

※Cpkを算出する下記のフォーマットも無料ダウンロードできるようにしています!

工程能力指数Cpkの計算方法


(3)工程能力指数Cpkと不良率の関係性
工程能力を図る指数Cpkの理解を深めるために、不良率との関係性についてご紹介します。

百聞は一見にしかず、まずは、
工程能力指数Cpkと推定不良率の関係を数値でみてみましょう。

工程能力指数Cpkと不良率の関係

判断基準ともなる代表的なCpkと不良率の関係は、以下の通りです。

<代表的なCpkと不良率の関係>
Cpk=0.33 (=1.0σ/3σ) では、不良率 317311ppm (31.7%)
Cpk=0.50 (=1.5σ/3σ) では、不良率 133614ppm   (13.4%)
Cpk=0.67 (=2.0σ/3σ) では、不良率 45500ppm  (4.5%) 
Cpk=1.00 (=3.0σ/3σ) では、不良率 2700ppm   (0.27%) 
Cpk=1.33 (=4.0σ/3σ) では、不良率 63.3ppm  (0.0063%)
Cpk=1.50 (=4.5σ/3σ) では、不良率 6.8ppm  (0.00068%)
Cpk=1.67 (=5.0σ/3σ) では、不良率 0.57ppm  (0.000057%)
Cpk=2.00 (=6.0σ/3σ) では、不良率 0.002ppm (0.0000002%)


特に、特徴的なCpkとしては、下記の2つが上げられます。

Cpk=1 (=3.0σ/3σ)は、不良率 0.3%で、いわゆる『千三つの法則』と呼ばれる値です。
Cpk=2 (=6.0σ/3σ)は、不良率 0.002ppm、6σ(シックスシグマ)の値です。

Cpkの意味について、このような不良率からも、理解しておくことが大切ですね。


(4)EXCELで解くCpkと不良率の関係式

エクセル(Excel)では、標準正規分布から、
基準と比較してどの程度の割合が占めるかを算出する
ことのできる「NORMSDIST(Z)関数」を適用できますので、
下記の式によって、工程能力指数Cpkの値から、
不良率(両側規格)を簡単に算出することができます。


■ 不良率(%)=(1-NORMSDIST(Cpk * 3)) * 2 * 100

※この計算式では、EXCELの%表示の書式にせずに ×100倍をして、直接、不良率(%)を算出しています。

不良率がppmの単位で算出する場合は、下記の式になります。

■ 不良率(ppm)=(1-NORMSDIST(Cpk * 3)) * 2 * 1000000

「ppm(ピーピーエム)」は、百万分の1をしめす単位です。

100分の1を示す「%(パーセント)」よりも、
高い品質基準を見る場合に活用されることが多く、品質保証にかかせない単位が、ppmですね。

%で管理するか、PPMで管理するかで、
企業の品質に対する意識や実力の違いが見えてきます。


以下では、上記のCpkと不良率の関係性をシンプルな数式からひもといてみましょう。


<工程能力指数Cpkを用いた不良率の算出方法>

工程能力指数Cpkは、上限規格Suと平均値μ、そして標準偏差σから以下の式で表されます。
・Cpk=(Su−μ)/3σ

※下限規格Slで算出する場合は、Cpk=(μ−Sl)/3σ です。


標準正規分布は、σ=1 μ=0なので、これを工程能力指数に代入すると、
・Cpk=Su/3 

と単純化できます。

上下限の規格値が正規分布の中央値から等しい距離にあることを前提として、
以下の計算では、上限規格Suで計算を進めていきます。

上限規格Suは、
・Su=Cpk×3 

となることから、あるCpkを設定すると、上限規格Suの値(相対的位置)がきまります。
標準正規分布では、基準となる平均値μが、ゼロであるため、
正規分布の規格値Suは、平均値=中央値からの距離Zと捉えなおすことができます。
・Z= Su=Cpk×3

標準正規分布の上限規格Su=Zまでに、データがどの程度の割合を占めるかは、
EXCELの標準正規分布の累積分布関数NORMSDIST(Z)で算出できるので、


上記のZ=Cpk×3を代入することで、

標準正規分布のヒストグラムの片側の良品率は、
・良品率(片側)=NORMSDIST(Cpk×3)で算出することができます。

求めるのは片側の不良率のため、
・不良率(片側)=1- NORMSDIST(Cpk×3)

となり、両側の不良率は、同様に反対側の下限規格Slでも、同じ不良率となるため、2倍して
・不良率(両側)=(1- NORMSDIST(Cpk×3))×2

となります。

EXCELでは、大変わかりやすい式で不良率とCpkの関係が導きだせます。


(5)Cpkと不良率の活用と限界
実務では、自社で製品ごとに設定した品質目標(不良率)をもとに、

その目標値を実現するためには、この算術式のCpkを変化させて、
推定の不良率を計算してみましょう。

どの程度のCpkを目指せばよいのか、ヒントになります。

また、製品によっては、多くの重要な品質特性がある場合もありますので、
複数の特性で不良の可能性がひそんでいることを理解して、

最終の品質目標を達成するために、個別の目標(不良率)をさらに厳しく見積もって、
高いCpkを目標設定するという考え方も大切です。


このように、求められる品質に応じて、Cpkの値がいくつであればよいかは、
一般的なCpkの基準(Cpk=1、1.33、1.66など)も考慮して、
自社で設定していくことが、大切ではないでしょうか。

工程能力指数Cpkと目標不良率の設定


■ Cpkの限界とは?
このような計算過程から導出される推定の不良率は、
工程能力指数Cpkの中でも、偏りのない、
規格の中央値と平均値が一致した正規分布を想定しています。

一方、実際の製品実測データでは、このような正規分布にならないことが多く、
不良率との関係性をCpkだけに頼って判断することは、
誤った判断をすることにもつながりかねません。

製品の特性からヒストグラムをえがいたときに
層別できるような分布や特徴ある分布になる場合、

管理図による時系列変動がある場合、局所的な変動がある場合など
さまざまなことが現実には、おきていることが多いでしょう。

Cpkは、一つの指標にまとめ上げた結果、使いやすい反面、
損なわれた情報もあることを常に意識しておかなければなりません。


工程能力の数値Cpkを正しく理解し、解釈するためには、
QC7つ道具の「ヒストグラム〜分布」や「管理図〜時系列変化」などと併用して、
活用していくのがおすすめですね。



今回は、工程能力指数Cpkと不良率の関係についてご紹介しましたが、
Cpkの使い勝手の良さと注意ポイントを理解して、
うまく活用頂ければ、うれしく思います。


【関連記事】
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posted by かおる at 20:53| Comment(0) | TrackBack(1) | 工程能力指数(Cpk)

2012年04月09日

工程能力指数Cpkの計算方法とは?

工程能力指数Cpkの計算方法とは? -品質管理研究所-


製品の品質を確保するためには、

その製品をうみだす工程のばらつきを把握し、
みながわかる指標で客観的に良し悪しを判断することが求められます。


ばらつきと工程能力指数Cpk


今回は、企業をこえて活用される品質管理指標である
『工程能力指数 Cpk(シーピーケー)の計算方法』についてご紹介します。

なお、工程能力指数Cpk計算フォーマットは、
文中で、無料でダウンロードできるようにしています!


■ 工程能力指数Cpkの活用とは?

工程能力指数Cpkは、

出来た製品の特性のデータ群から算出される平均値μと標準偏差σから、
製品仕様書の上限規格値と下限規格値と比較して、

統計的にみて、品質が安定しているかを判断することができます。

一般的に、工程管理された製品の特性などは、

正規分布に従うことが多く、抜取検査された特性値であっても、
どの程度の不良が発生する可能性があるかも統計的に推測することができ、
抜取検査での不良のリスクについても考えることができます



■ 理解しにくい?!工程能力指数Cpk

大きな企業との取引を通じて、

製品の重要品質特性を確認するために
工程能力指数Cpkを要求される場合も多く、


どのように計算すればよいか、良いのか悪いのか、
試行錯誤されたご経験のある方も多いのではないでしょうか。

工程能力指数Cpkと品質要求


工程能力指数Cpkは、

数式やEXCELなどの計算式が理解しにくいため、
指標として導入するためには、ハードルが高そうにみえますが、

いったん数字(測定データ)で具体的に算出できれば、
工程能力指数の指標自体は、単純明快に理解いただけると思います。


今回は、すこしでも皆さんの理解の支えとなるよう、

工程能力指数の計算フォーマットを無料で
ダウンロード(Excel)できるようにいたしましたので、
ご参考になれば、うれしく思います。


ぜひ、皆様の会社にあった形で、アレンジして活用いただければ幸いです。


工程能力指数Cpk 計算フォーマット について

工程能力指数Cpkの計算方法

■ エクセル/PDFフォーマットのダウンロードはこちらからです!

ひらめき工程能力指数Cpk計算フォーマット(エクセル.ver)

ひらめき工程能力指数Cpk計算フォーマット(PDF.ver)  ※参考


以下では、工程能力指数Cpkの計算フォーマットの簡単な使い方をご紹介します。

工程能力指数Cpk計算シートのEXCELの該当箇所に入力すれば、
複雑な計算は、自動でされますので、

実際に該当箇所に入力して、さわりながら理解していただくのがおすすめです。



■ 工程能力指数 改善フォーマットの簡単な使い方

(1)測定データの入力
製品の品質特性にかかわる下記のデータ2項目を入力してください。

@個々の測定データ(N =1〜100まで入力可能)
A仕様規格値(上限/下限)


※規格を越えた場合、測定データが自動で赤く表示されるように設定してあります。

(2)自動計算
自動的に下位の指標やグラフができるようになっています。

@工程能力指数Cpk 
Aデータの平均値、標準偏差、MAX、MIN
Bヒストグラム 


・ヒストグラムは工程能力指数とセットで必ず確認しましょう。
 どんな問題があるのか、ヒストグラムをみれば、一目瞭然です。

・工程能力指数として、一つの数字に単純化されたことで、
 そぎおとされた大切な情報もきちんと理解しましょう

(3)その他の関連した必要情報の記載
@工場名、工程名、設備名、製品名、測定箇所がわかる図面など必要な箇所に記入しましょう。 
・工程能力指数は、管理責任者やお客さんに説明する場合が多いのですが、
 見るヒトの立場にたって、何を測定しているか、どこを測定しているのか、
 わかりやすく表示することも大切です。

A目標となる工程能力指数と不良率も設定しておきしましょう。
・Cpkを設定すれば、自動的に統計的に推定される不良率が算出されます。
 EXCELシート内の目標Cpkと不良率の関係から、どれくらいのCpkであれば、
 どれくらいの不良率に相当するのかわかりますので、ぜひ、ご活用ください。


・Cpkは、グラフから読み取れる情報を単純化した指標ですので、
 実測データを元に算出した統計指標を用いて算出した「抜取検査の不良率推定」の項目は、
 現物の実際の不良率とは、異なりますので、参考(推定値)として、理解していただければ幸いです。

(4)Cpkの算出結果の解釈
@Cpkの比較と判定
・Cpkの値から、お客様が求める品質に十分こたえられる状態にあるかを判断し、
 必要ならば改善アクションを明確にして、品質改善につなげていきましょう

・一般的には、Cpk 1.33 以上あることが望ましいとされていますが、
 製品の要求品質によって、基準を設定し、改善に役立てていくことが求められます。
 
 ※工程能力指数 Cpkの基準については、こちらの記事をご参考にどうぞ!

 ■ 工程能力指数Cpkとは? (品質管理研究所)

ACpkの月別推移
・工程能力指数Cpkは、中長期にわたり、時間的な変化を通じて、
 品質が安定していることを確認することが大切ですので、
 Cpkの月別の推移グラフをいれて、毎月の変動をチェックできるようにしています。


以上、簡単に使える『工程能力指数Cpk計算フォーマット』について、ご紹介しました。

ひらめき業界を越えて広がる品質管理指標Cpkが、実務で幅広く活用されて、
さらなる品質向上のきっかけになれば、うれしいかぎりです。


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posted by かおる at 07:00| Comment(21) | TrackBack(0) | 工程能力指数(Cpk)

2011年11月28日

動画で学ぶ工程能力指数Cpk

動画で学ぶ工程能力指数Cpk -品質管理研究所-


品質は、製品が世界へ旅たつためのパスポートです。

今回は、世界で活用されているCpkについて、
英語の動画でわかりやすく紹介されていますのでご参考に!

CpとCpkの違いを計算式もまじえ、わかりやすく説明されています。


■ Cpk explained by Professor Cleary  ProfessorClearyさん Youtube



アジアで急成長する新興企業などでは、
まだまだこのような統計的な品質の考え方が定着しておらず、
流出を抑えるために検査でしのいでいる場合が多いのが現実ではないでしょうか。

不良を出荷しないように、検査で品質を保証する姿勢から脱却し、

検査で品質を確認する段階へとステップアップするために、
このような工程能力の把握と工程での継続した改善が
これからますます必要になってくることでしょう。



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