製品の品質は、設計品質と製造品質にとどまらず、輸送品質も大切な管理項目です。
製品が合格して出荷されれば、ほっとしてしまいがちですが、
製品を輸送する際にも、たくさんの品質問題が潜んでいることを忘れてはなりません。

製品を適切に運ぶためには、設計や製造プロセスの検証と同時に
梱包仕様(ストレングス)と輸送手段・輸送経路(ストレス)を両面からチェックします。
一般に、お客様に量産品を納入する前には、振動試験、実輸送試験などを通じて、
どんな梱包であれば、お客様や工場まで、問題ない状態で納品できるかを検証します。
特に、こわれやすい製品の場合は、心配になるあまり、これでもかといわんばかりに、
製品がこわれないように、過剰なほど包んで梱包してしまいがちです。
実務では、このような検証された強い梱包の場合でも、
輸送不良がおきてしまうことがあるのは、いったいなぜでしょうか。

そんな輸送不良の多くでは、通常の振動などの運搬上の不良ではなく、
搬送工程での人為的な不良による問題によって、
品質問題が引き起こされていることが多いものです。
荷物の運び方やおき方、フォークリフトでの取り扱いなど、
当前ともいえる基本動作のなかでの人為的なミスです。
なぜ、大切な製品への取り扱いが、荒くなってしまうのでしょうか。
製品を覆い隠す過剰な梱包荷姿は、
少しくらいの手荒な取り扱いは大丈夫という過信をうむもとです。
運搬物が、どんなものかは認識できますが、
中に入っている製品を現物として見ることができず、
製品ごとに、どれだけ丁寧にとりあつかわなければならないかも、
区別して理解することはむずかしいでしょう。

そこで、外から一部でも目視確認できるような簡易な梱包構造にし、
モノを扱う人間のこころに影響を与える工夫をもたせるような梱包に工夫することもできます。
こわれないように、こわれないようにと、梱包を過剰にする気持ちを少しだけ抑え、
「見える化梱包」も、ひとつの方法といえます。
あえて、梱包を簡易にして、梱包内部の製品外観を見えるようにすることで、
運搬者へのの気づきの機会をつくることが、輸送品質向上につながることもあります。
「注意しなければこわれてしまうかもしれない!!」
という思いを自発的に起こさせる、
そんな梱包が、輸送不良の低減のヒントになるのではないでしょうか。
輸送試験に合格するための適切な強度をもった梱包仕様になるように、
厳しくチェックすることは、最低限必要なことですが、
モノを運んでくれるのは、「ヒト」、
そんな運ぶ「ヒト」の心にも響く、梱包にすることが、輸送品質の向上につながるのではないでしょうか

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