(2013年9月30日)品質管理研究所
品質問題がおきたときに、原因を調査するために、
どのような情報を確認すればよいでしょうか。
品質問題でお客さんにご迷惑をおかけしているときに、
お客さんに根掘り葉掘り聞きにくいことも確かですが、
問題が再発すれば、再度ご迷惑をおかけすることのほうが、大きな問題ですね。
いざというときこそ、お客さんとの日頃の関係性がとわれますが、
問題が発生したときには、下記の情報をしっかりつかんで、
問題の原因究明と対象範囲の明確化、
迅速な応急処置と根本対策をとることがかかせません。

そのためには、お医者さんのようにお客さんに下記の項目の「問診」をして、数ある情報を整理できているでしょうか。
@製品名 :問題となった製品名
A製品型番 :製品を特定するための製品機種ごとに設定された型番
B製造識別番号 :原因を調査するための製造ロット番号や製造シリアル番号
C不良発生数 :品質不良が発生した製品の数量
D不良発生率 :納入した製品の不良発生率(不良数/購入数)
E不良内容 :不良の内容(不良とその周辺の不良写真や不良製品の回収も)
F不良発生状況 :不良がどこでどのような状況で確認されたか
G不良発見日 :不良品を確認した日(納入日、開梱日、使用時など)
H保管状況 :不良品の保管状況(すでに納入された製品の在庫情報)
I要望事項 :お客様が要望していることや緊急性、気になっていることなど
お客様からうかがったこのような品質不良に関わる情報は、原因究明と対処の肝となります。これらの問診情報をもとに、まずは、問題発生の原因とその対象範囲を明確にしていきます。
そして、何よりお客さんの直近のお仕事に迷惑のかからないように、
その対象となる不良範囲から新たな不良で問題が発生しないように、
再検査したり、新しい製品と交換したり、
どんな迅速な対応が、いつまでに必要かを明確にして、
お客さんにとっての被害を最小限に抑えることが最優先事項となります。
江戸時代には、火事が発生すると、火消しさんが延焼を防ぐために、
風下の家屋を壊して、火災の被害を最小限にくいとめていたように、
品質問題が発生したときには、品質問題の対象範囲を予測して、
問題を最小限にくいとめる『予見力』が求められます。

複数の工場に品質問題となる対象ロットが納入されている場合には、
品質問題の可能性が拡大する場合もあるでしょう。
そうなれば、確認範囲をすぐに広げて、チェックしていくことが必要になります。
問題は、目の前で見えて、実際に起きていることだけではありません。
全体を俯瞰的に見て、これから何が問題となるかを改めて見つめなすことがもとめられます。
予見力とは、問題が起きる前に、その問題を見通す力と考えられがちですが、
問題が起きたあとでも、その被害を最小限に抑えるためにも必要な力です。
起きてしまった事実を真摯に受け入れ、
これから起こるべき事に対して、どれだけ迅速に対処できるか、
そのスピード対応が、品質問題による被害を最小限に抑えるのではないでしょうか。
問題を起こさないように努力しても、
ときに問題がおきてしまうことは、だれしもあることです。
企業においても、そんなときにこそ、
お客様を想う心で、いかに迅速に行動をどれるかが、
企業の存在価値を示すものなのではないでしょうか。
【関連記事】
・東洋医学に学ぶ未病と予防思考
・気づきとは何か?
・「鳥の目」「虫の目」「魚の目」