大企業病は、企業が抱える経営の組織的問題です。

多くの企業が抱える大企業病に対して、
世界のグローバルカンパニーはどのような思想で、
この問題をのりこえてきているのでしょうか。
IBMさんのすばらしいWild Ducks「野鴨たち」の逸話をご覧ください。
■ IBM 創立100周年Film 【Wild Ducks (日本語字幕)】 IBMJapanChannel
世界的企業であるIBMの当時の会長Thomas Watson, Jr.氏は、
困難にたちむかう渡り鳥(野鴨)から、
“Wild Ducks 「野鴨たち」” の精神をわたしたちに教えてくれています。
“We believe every business needs its wild ducks.”
『すべてのビジネスには、野鴨たちが必要であると信じている』
“You can make wild ducks tame, but you can never make tame ducks wild again.”
『野鴨を飼いならすことはできるが、飼いならした鴨は、二度と野生にはもどすことはできない』
鴨は、越冬のため、冬になる前に南へと羽ばたきます。
ある一羽の鴨が、納屋を見つけ、海を渡りませんでした。
納屋にいた飼いならされた鳥達とともにおいしいえさをもらい、
群れからはなれて、安全な納屋で年をこしてしまいます。
春に鴨の群れがもどってきたときには、鴨は、野性味にかけ、
太りすぎて、いっしょにとぶことさえ難しくなってしまいます。
そして、いく年も、飼いならされてしまった怠け者の鴨は、
もはや飛び立つ衝動にさえ、かりたてられなくなるというおはなしです。
これは、デンマークの哲学者セーレン・キルケゴールの書物から引用された物語です。
まさに、現実の会社の中で、起きていることのようです。
困難にたちむかう渡り鳥の「野鴨のハングリー精神」は、
私たちの日常の仕事における気のゆるみに気づかせてくれます。
大きな企業の中では、自らが主体的な行動をせずに、
与えられた仕事を淡々とこなして、リスクをおわず、責任もあいまいになりがちです。
大企業病は、このような野生の生き物が本来身につけているはずの
ハングリー精神がうしなわれていくときに、企業をむしばんでいくのではないでしょうか。
日頃、能力の出し惜しみをしていないでしょうか。
リスクをチャンスととらえて、仕事にとりくめているでしょうか。
新しいことをやるときに、できない理由ばかりを考えて時間を費やしていないでしょうか。
今日できなかったことは、なにかひとつでも、
明日には、できるようになっていきたいものですね。
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【参考文献】
・IBM100周年記念映像