2013年03月11日

P管理図とは?

P管理図とは?
(2013年3月11日)品質管理研究所

ものづくりの現場で品質を管理するための重要な指標として、「不良率」があります。

たくさんの製品の中でのごくわずかな違いを生みだす
変動要因を理解することが、安定した品質をうみだすことにつながります。

P管理図と品質不良


今回は、不良率を統計的に管理するための実務手法『P管理図の活用方法』について、
無料でダウンロードできるエクセルフォーマットと共にご紹介します。


______________________________


(1)P管理図とは?
(2)P管理図の計算とは?
(3)P管理図の計算上の注意ポイント
(4)P管理図の導入障壁とは?
(5)P管理図の活用手順
  @不良情報の収集
  A不良情報の集計
  B目標不良率の導入
  C品質不良グラフの現場での掲示
  D管理限界線の活用
  EP管理図による改善の実施
(6)P管理図の活用のコツ
  @不良モード別に層別してデータを取得
  A工程別に層別してデータを取得
  Bリアルタイムでデータを活用
  C生産数と不良率の関係性に注意

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(1)P管理図とは?
P管理図(ぴーかんりず)は、QC7つ道具のひとつとして、品質管理業務の中で、
実践的に活用されている「不良率(%)」を指標とする統計的品質管理手法です。


熟練の品質管理者は、P管理図を、親しみをもって「ぴーかん」とよんでいます。
P管理図のPは、Proportion(比率や割合)の頭文字のPに由来しているようですね。

まずは、P管理図のイメージをつかんでみましょう。


■ P管理図のEXCELフォーマット

これから紹介するP管理図は、こちらです!

P管理図エクセルフォーマット

■ P管理図のフォーマットのダウンロードはこちらからどうぞ!

ひらめきP管理図(エクセルフォーマット)

ひらめきP管理図(PDFフォーマット) (閲覧参考用にどうぞ!)


EXCELの黄色のセルの部分に不良数、生産数、不良項目などの簡単な設定をするだけで、P管理図を活用できるようにしていますので、P管理図の作り方の参考になれば、幸いです!

もともと、管理図は、製品の要求仕様にある寸法などの特性値を満たしているかどうか、単なる結果に満足することなく、製品をうみだす工程での変動や異常に対して、その原因となる問題点を取り除き、品質を安定させるために活用するものです。

さまざまな数値を管理するための管理図の中で、特に不良率に着目した管理図が、P管理図です。
実践的に活用できる品質改善にかかせないツールですので、ぜひ実務で活用してみてください。


(2)P管理図の計算とは?
市場のお客様での品質不良をへらすためには、その前提となる
購入材料の不良と工程内で発生する不良が、実際に生産した量に対して、
どのくらい発生しているのか、不良率として把握することが求められます。

P管理図の管理対象となる不良率は、ご存知の通り、
下記の非常に簡単な計算式で求められます。


■ 不良率(%)=不良数(個)/生産数(個)×100

P管理図では、この不良率を時系列に並べて、
管理限界線という基準線をひいて、傾向的な変化をとらえていきます。


もし、基準がなければ、ひとによって、変化のとらえかたはことなり、
対応の基点にも、ばらつきが生じます。

何を変化ととらえるか、客観的な基準となる管理限界線をもちいることによって、
客観性のある判断にもとづく、アクションのきっかけを明確にできます。

P管理図のつくり方


P管理図のグラフで表現される管理限界線は、中央のCLを境にして、UCL、LCLの2つがあります。

@CLは、Center Lineで、不良率の平均値(pバー)になります。
      ※「pバー」を以降、「p」と記載します。
AUCLは、Upper Control Limitは、上方管理限界線となります。
BLCLは、Lower Control Limitは、下方管理限界線となります。


具体的には、下記の算術式より、
統計的なばらつきの尺度である3シグマに相当する管理限界線をもとめます。

pを過去一定期間の平均不良率、
nを1日の生産数(検査数)として、

CL=p 
UCL=p+3×(p(1−p)/n)^(1/2)
LCL=p−3×(p(1−p)/n)^(1/2)


管理限界線が算出することができます。 ※^(1/2)は、√「ルート」をあらわしています。

なお、P管理図の管理限界線の計算は、EXCELフォーマット内の数式で、
自動で計算していますので、ぜひ、あわせて、ご確認ください。



(3)P管理図の計算上の注意ポイント
上記の計算式において、1日の生産数 n が変動している場合、
毎日都度計算をおこなうと、管理限界線UCLやLCLの式の中のnが変化し、
管理する側の限界線が、グラフ上で都度うごくことになるため、注意が必要です。

品質関連の参考書籍などでは、
変動した管理限界線を活用している例もみられますが、
基準の変化がともなう使用方法は、実務上おすすめできる方法ではありません。


そこで、CL、UCL、LCLを求める際には、過去の平均的な1日あたりの生産数を n とする簡易的な方法をここでは活用しています。

管理限界線が、不良率のようにふらふら変動するグラフでは、
基準を管理しているのか、管理されているのか良くわからなくなります。

管理基準は、品質が安定している過去のデータから作成し、
例えば、前月度の1日の平均生産数をもとにnを算出して、
基準として設定するのもよいでしょう。

P管理図のポイント

さらに、生産数nの大幅な増減がある場合や、
品質の改善状況とともに不良率が変化している場合などのタイミングで
適宜管理限界線の基準を更新していくようにするのがおすすめです。


今回、紹介しているEXCELのフォーマットでは、
前月度のデータ(過去のデータ)をもとに管理限界線を設定するフォーマットにしていますので、
最初の一月目は、基礎となるデータを取得して、管理基準を設定し、
2ヶ月目からP管理図として、活用していただくことを想定しています。


(4)P管理図の導入障壁とは?
P管理図で扱われる不良率は、割り算だけの簡単な計算のため簡単ですが、
管理限界線のUCLやLCLなどの数値計算となると、
ばらつきを含む計算でむずかしそうに感じてしまいがちです。


現場で忙しいうえに、細かな計算までしていられない、
細かな計算をするくらいであれば、グラフの傾向からざっくり判断して
改善対応を迅速にすればよいと思っている方が、実際には、多いのではないでしょうか。

統計的品質管理の導入の難しさは、このような計算の煩雑さにも課題があります。

■ 自転車と補助輪
はじめて、こどもたちが、補助輪なしの自転車にのるとき、どのようなことをするでしょうか。

補助輪をつけた状態で、のりなれた自転車から、
ひとつずつ補助輪をはずして、
2輪の自転車にのれるようになっていくのではないでしょうか。


統計的品質管理という難しそうなことにはじめて取り組む場合、
自転車にうまくのるためのプロセスと同じで、
段階的に取り組んで、成長をうながしていくことは大切なことです。

P管理図の活用


自転車にのる楽しみを味わった上で、補助輪をはずすことも大切です。

管理限界線を用いた管理に移行する必要性を認識し、
徐々になれていけるように時間をかけて教育することが、
統計的品質管理の実務への活用においては、大切なことではないでしょうか。

品質管理手法の座学教育では、
統計的な品質管理によるメリットが一方的に説明されるものの、
実務上の有効性や必要性、簡便性が感じとりにくければ、
現場でいくら統計的手法を導入しようとしても、なかなか定着しません。


本質的な意味や必要性が十分理解されるように、
あわてず、いそがず、段階的な導入をすることも検討したいものです。


(5)P管理図の活用手順
具体的にどのように段階的にP管理図を活用していけばよいでしょうか。

P管理図を導入するにあたって、企業の不良に対する管理レベルに応じて、
6段階的のステップで取り組んでみてはいかがでしょうか。


@不良情報の収集
製造工程中での不良率をすいあげる仕組みとして、チェックシートに記入して、
定期的に情報をすいあげる仕組みが構築されているでしょうか。

十分に不良率が把握されていない現場では、まずは、
この情報収集の仕組みを構築することからスタートしなければなりません。


A不良情報の集計
不良の情報はタイムリーにまとめて、次の不良の防止に役立てることが必要です。

不良の情報を集計して、現状の品質実績がどのような実態であるのか集計して、
見えるようにすることが求められます。

集計したデータはあるものの、十分に生かされていない企業が非常に多いものです。
不良の情報は宝の山です。


B目標不良率の導入
不良の情報とともに品質目標を設定し、改善目標を明確にして、
リーダーはもとより、現場ではたらく全てのメンバーに伝えることが必要です。

P管理図の活用

今回紹介しているP管理図のフォーマットには、品質目標も設定して、
グラフに反映していますが、通常のP管理図では品質目標ははいっていません。


P管理図の管理限界線を活用する前に、品質目標達成の手段として、
品質目標となる不良率を設定して、改善に役立てることも大切です。


目標を達成できた場合は、次の新たな高い目標を設定します。
逆に、目標が達成できなかった場合には、どのような品質問題が発生していて、
達成できなかったのか、どのようなアクションを次に講じるのか、
改善の基本PDCAのサイクルをまわして、改善していくことが必要です。

このような改善進捗状況をフォローアップしていくためには、

経営者の参画する品質会議を定期的に行ない、
品質問題が、経営上の重要な課題であることを徹底し、

朝礼のリーダーミーティングや現場の交代時のミーティングでは、
横のつながりを通じて、大切な情報を共有することがかかせません。



C品質不良グラフの現場での掲示
品質不良率を常に意識できるように、各工程で白紙のP管理図を掲示しましょう。

管理図の中に設定した目標不良率で、改善状況を見えるようにします。
不良率を現場で共有して、改善の意識を高めることが大切です。

不良率が見える化されて、工程品質の重要性が認識されれば、
管理限界線をいれて、管理することの意味も理解できるようになるでしょう。
また、管理限界線をいれずとも、その不良の発生の変化に注目する意志が高まれば、
わずかな不良の発生に対しても、すぐに現場での改善の必要性に気づくはずです。

品質管理に力をいれている企業の多くで、かならずといってよいほど、

休憩室や現場への通路に最新の不良率の推移が掲示されており、
改善取り組みが紹介され、品質意識を高めるための工夫がされています。


P管理図の掲示


D管理限界線の活用
不良率のグラフが社内に定着すれば、P管理図の役割である
統計的な変化を示す管理限界線の活用がより実務的になるでしょう。

管理限界線を活用して、品質不良を引き起こす変動要因を改善するためには、
管理限界線からはずれたときだけでなく、不良の傾向性にも着目して、
変化に対して、先手で対応することが求められます。


今回提供しているP管理図には、不良の原因追究がしやすいように、
不良項目別の不良発生数も記録できるようにしています。

どんな不良が発生しているかもしっかり数値に残しておくことで、
効率的な改善につなげることも大切です。


EP管理図による改善の実施
P管理図は、いったんつくると、満足してしまいがちです。

P管理図を作成した後に管理図として活用し、問題が確認されたときに、
具体的にどのような対応を実施するかということが、最も大切なポイントです。


P管理図のEXCELフォーマットには、具体的な改善対応策、対策担当者、日付をいれて、
改善アクションを明確にできるようにしています。

いつどのような対応を講じて効果があったのかが、一目でわかるように活用しましょう。


(6)P管理図の活用のコツ
@不良モード別に層別してデータを取得

ただ、単にひとつの製品の不良率をざっくりと把握するだけでなく、
どのような不良が多く発生しているのか、不良項目別の集計をできるような
チェックシートを現場に用意しておくことが事前の準備として大切なことです。


細かく分析できるデータを取得することで、
品質問題の原因とその対策をより明確にすることができます。


A工程別に層別してデータを取得
ひとつの製品の不良率を詳細に分析するためには、
どこの工程でどれだけ加工して、どれだけ不良が発生したのか、
工程ごとの不良データを集計することが求められます。


だれが、不良を発見したかという履歴も記載しておくことで、
後々の原因調査にも役立てることができます。

さらに、不良の発生状況や問題の原因など、
その場で感じた作業者のコメントなども原因究明と対策にはかかせません。


Bリアルタイムでデータを活用
不良のデータは、現場でリアルタイムに取得して、活用することが大切です。
多くの企業では、管理図を現場ではなく、現場からはなれた居室で時間が経過した後に、
報告書としての役割をかねて、作成されて使用されている場合も多いものです。

時間が経てば、傾向的に発生している品質不良も手遅れとなりやすいため、
問題の発生を最小限にくいとめるために、生きたデータをもとにすぐに改善する
即時性を重視することが、管理図運用の大切なポイントとなります。


現場でパソコンを置いて、タイムリーな情報を入力して、
社内のイントラネットシステムで共有すること、

現場に管理図を設備の前に掲示して、
担当者が打点しながら管理していくこともおすすめの方法です。


C生産数と不良率の関係性に注意
P管理図では、不良率をみるときに、生産数に大きな違いがないことを確認することも大切です。

生産数が極端に少ない日に、不良が発生すれば、
不良率は大きな変動をしやすくなるため、数値の取り方によって、
まどわされないように注意することが必要になります。


何が変動か、単に数値やグラフに惑わされずに現場に足を運ぶ基本を忘れなければ、
P管理図は生きた品質管理ツールとしてつかいこなせるはずです!



以上、今回は、QC7つ道具の『P管理図』についてご紹介しました。

P管理図フォーマットをうまくカスタマイズして、
実務にあわせて、ご活用いただければうれしく思います。


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posted by かおる at 21:02| Comment(8) | TrackBack(0) | 管理図
この記事へのコメント
かおるさん、こんばんは。

今回は、P管理図ですね。
なかなか、楽しくて懐かしくて・・
懐かしいと言うのは、私が品質管理を勉強しだしたころは、全てが手計算で、今の様に「R」やミニタブ
の様な統計管理ソフトが無かったので、よく怒られたなぁと思い出していました。

確かに、かおるさんの仰る通り、PでもXバーでもI-MRでもそうですが、管理図を書く事が仕事になったり、1か月書き終えてから眺めたり、「管理図はタイムリーが命」なのですが・・

私の若い部下に、管理図が日記に成らない様に、管理図の癖が何を言っているか、読み取れる様になって欲しいです。
Posted by 政之助 at 2013年03月17日 00:11
政之助さん

こんにちは、品質管理研究所かおるです。

X-R管理図やP管理図は、
昔から活用されている便利な品質手法ですね!

失敗したり、怒られたりしたことは、
ほんとうに良く覚えているものですよね。

管理図も、単なる日記にならないように、
交換日記のように先生(現場リーダー)と
生徒(現場作業者さん)の交流もかかせませんね。


統計ソフトを導入していない企業や
現場にパソコンを置けない企業など、

電卓をたたいて、さまざまな計算をされている
企業は、今でも多くありますね。

電卓を使用すると計算間違いがあるので、
現場で使用する電卓では、2人目が再計算してチェックするとか、
打ち込んだ数値をしゃべってくれる電卓を使用するとか、
想定される失敗を先回りして、管理することが大切ですね。



品質管理研究所 かおる

Posted by 品質管理研究所 かおる at 2013年03月19日 07:28
P管理図の中でも一番使いやすい仕様で活用させて頂いています。品質目標数値の設定は、どのように算出すれば宜しいでしょうか。ご教授お願い致します。
Posted by 隆幸 at 2017年02月01日 18:29
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