2013年01月17日

EXCEL条件付書式による品質検査値の自動判定とは?

EXCEL条件付書式による品質検査値の自動判定とは?
(2013年1月17日)品質管理研究所


製造現場の品質検査では、製品仕様どおりの出来栄えになっているかを確認するために
寸法や特性などを測定し、合格判定基準と比較して、合否を判定します。

ものづくりにおけるさまざまな製品の品質は、『数字』によって、管理されています。

品質検査値の自動判定方法

ライン別にある製品の特性を測定したところ、下記のデータが得られたとします。
数値を見て判定する際、上下どちらの表が見やすいでしょうか。


EXCEL条件付書式と品質検査自動判定

もちろん、不合格の数値が、赤く色づけされた
下の表のほうが見やすいことでしょう。


多くの企業で、このようなたくさんの数値をあつかう検査などの業務では、

EXCELシートが記録簿として活用され、
検査成績書もEXCELシートで作成されていることもしばしばみうけられます。

業務で活躍するEXCELシートですが、検査で測定されたたくさんの数字がならんでいると、
検査員の見間違いも生じやすくなるのも、また事実です。

検査員の仕事は、単に検査数値の記録や入力ではなく、
品質基準にてらして、合否を判定することが、大切なミッションですが、
検査の判定という目的意識が、日々の業務で以外とおろそかになりやすいものです。


毎日同じように行う検査は、検査員にとっては、検査ではなく、
単なるひとつの流れ作業に陥りやすいことを十分認識しなければなりません。

特に、工程の管理数値など、日常的な数値の管理として、
チェックシートに記入しているものの、実際には、合否の判定ができておらず、

基準から外れた結果を記入しているにもかかわらず、
気がつかずにそのままになっている場合が、多くの現場で見られるものです。


当たり前のことを当たり前と思わず、
毎日しっかり確認することは、ことのほか難しいものです。
小さなことをこつこつ継続して行なうものづくりの基本を持続することは容易ではありません。


そこで、今回は、検査をきちんとおこなった結果から正しい判定をくだすために、
EXCELシートを活用して、自動的に判定を行ない、色づけしてわかりやすくすることで、
品質業務のミスを防止するおすすめの手法をご紹介いたします。


検査員が、測定した数値と合否判定基準を頭のなかだけで数値比較するだけでなく、
EXCELの『条件付書式設定』という機能で、
色による識別判定を行なうシンプルな方法です。

すでに、ご存知のEXCELの機能かもしれませんが、
品質の実務に活用している方は、以外と少ないのではないでしょうか。

EXCELの『条件付書式設定』の活用により、
EXCELシート内の指定したセルの値が、合否判定基準外になる場合、
不合格を意味する赤字に設定することができます。


数値の見間違い防止と検査としての判定を行なう手助けとして、
実務ですぐに活かせるおすすめの方法ですので、
ぜひ、業務にご活用いただければうれしく思います。



<エクセル 条件付書式設定 簡単7ステップ 〜品質検査自動判定編〜>

(1)自動で判定したいセルを選択します。
  ※複数のセル範囲をまとめて選ぶこともできます。

EXCEL条件付書式と品質検査自動判定

(2)メニューバーの『書式』を選択して、『条件付書式の設定』 を選択します。

(3)条件1 『セルの値が』 『次の値の間以外』を選択します。

(4)合否の判定基準となる上限値と下限値の数値を設定します。

条件付書式設定方法

  『次の値の間以外』という表現は、その数値自体は、含まれていることに注意が必要です。
例) 『セルの値が』 『次の値の間以外』 『12』と『15』 の場合、12≦X≦15ということで、
Xが、12.0〜15.0の範囲であれば、色が変わらず、合格ということになります。

(5)『書式』を選択して、『フォント』タブの『色』で赤色(不合格の色)を選択して、『OK』にします。

条件付書式設定方法

(6)最後に、『OK』を押して確定すれば、条件付書式の設定完了です。

(7)最後に実際に数値の境界値をいれてみて、基準に合致している変化があらわれるかをきちんと確認しておきましょう。

 Dライン品のような境界値の場合を想定して、11.99や12、15や15.01など基準の境目の値を実際に入力して、検証を実施することが大切です。

EXCEL条件付書式と品質検査自動判定

すべてをEXCELの機能に任せるのではなく、
あくまで確認を手助けするツールとして、検証もおわすれなく。

検証がおわれば、数値をいったん消して、特定の名前をつけて保存し、
条件付書式の入力フォーマットシートの完成となります。



<エクセル 条件付書式設定 注意点 〜品質検査自動判定編〜 >

今回の事例では、ABCDの4つのラインでの検査結果という事例を用いています。
※平均値が同じになるようにわざと設定してあるところが、ポイントです。

判定基準に対して、個々の測定値と平均値の値を、判定基準値と見比べてみてください。


Aライン品は、個別の5回の測定値とその平均値は、全て、判定基準内の合格です。
Bライン品は、個別の5回の測定値はすべて判定基準外ですが、平均値は合格です。
Cライン品は、ひとつだけ測定値が判定基準外で、平均値は合格です。
Dライン品は、境界値ぎりぎりのものが2つ判定順外で不合格ですが、平均値は合格です。

Aライン品では、もちろん許容範囲内なので合格で問題ありませんが、

Bライン品のように、平均化することで、個々の値が、全て不合格でも、
平均値という指標で判定する場合には、合格となりえることに注意が必要です。


検査では、平均値で代用する場合もありますが、個々の値をどのように捉えるか、
丸められた平均値では、見えない数値の意味について考えることが大切です。


Cライン品は、ひとつだけはずれていますが、たくさんの数値が並ぶ中で、
赤く彩られなければ、以外と発見しにくいことがわかるはずです。

下記の元データだけをみれば、
数値を比較する作業が、いかに大変かが容易に想像できます。

EXCEL条件付書式と品質検査自動判定

Dライン品のように境界値が出た場合を想定して、
EXCELの条件付書式を設定した後に境界条件の確認検証は、必ず行いましょう。


特に、類似の製品で、EXCELシートをコピーして、条件付書式を活用する場合には、
過去の基準がシートに残っている場合など、
本来、検査で確認すべき基準とずれてしまう可能性があることから、
忘れずに、この見直しと検証作業を実施しておくことが求められます。


また、このような検査基準の設定ミスを防止するために、
基準となる数値をEXCEL上のセルに入力して、そのセルの場所を合否判定基準の上下限に
個別に指定することで、見える化をすることもおすすめです。

さらに、エクセルシートの保護機能も併用すれば、操作ミスによる無意識の編集防止など、
予防を図ることも可能ですので、工夫次第で、品質業務がどんどん楽しくなります。


以上、今回は、エクセルの条件付書式設定を活用した
品質検査値の自動判定方法をご紹介しました。

みなさんの日々の業務が、より楽に、より楽しくなるヒントになれば、うれしい限りです。


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posted by かおる at 01:35| Comment(4) | TrackBack(0) | 品質検査
この記事へのコメント
かおるさん、明けましておめでとうございます。
もう、こんな挨拶はいけませんが、今年の初投稿と言う事でご容赦ください。

当課でも、かおるさんのご指摘の通りの対策を実施しています。記入する値は間違え無かったのですが、記入する列や行を間違えて書いた等、勘違いと呼ぶには、「怖すぎる」ミスですよね。

現在は、全ての品質記録や品質文書が電子化されて運用される時代です、この手の対策は、われわれ品質管理に携わる者だけでは無く、製造分野全体に言えることでしょうね。

今年も、よろしくお願いします
Posted by 政之助 at 2013年01月20日 23:58
政之助さん

あけましておめでとうございます。
品質管理研究所 かおるです。

条件付書式の対策をすでに実施されているのですね。さすがですね。

記入する行や列などの間違いも、実務では、うっかり間違いが発生しやすいポイントですね。

現場でPCを見ながら、急いで、測定値をそのままデータ入力するときなど、特に注意が必要です。

作業者さん自身が、まちがえる可能性があることを認識して、慎重に作業できるかどうかも大切なことですが、

できるだけひとに負担をかけずに、作業や管理ができるようなしかけをうまくつくることが、多くの製造現場での共通課題ですね。

また、小数点等を含む数値の入力は、
大変手間もかかり、間違いやすいので、

検査の記録においては、測定毎にEXCELに自動で記入出力していくような機能をもっている測定機器(厚み測定など)をPCと接続して、自動入力機能を活用している企業もあります。

作業のミス防止と業務時間短縮をかねて、

時代とともに進化した新しい機能もうまく取りいれて、電子化されていくさまざまな記録や判断のミスを防いでいきたいですね。

今年もよい1年になりますことをご期待しています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


品質管理研究所 かおる
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2013年01月21日 07:47
かおるさん

初めまして、FIFOと申します。
EXCELファイルを用いた品質検査値の管理法、非常に分かり易く解説されていたので参考にさせてもらいました。
私のクライアントでもまだ適切に品質検査値を管理できていない&コスト的にシステムを導入できない会社がございます。

今後もいろいろと勉強させてください。よろしくお願いします。

FIFO
Posted by FIFO at 2013年02月03日 12:00
FIFOさん

はじめまして、品質管理研究所 かおるです。

品質検査値の管理について、
業務にご活用いただき、うれしいかぎりです。

日本のメーカーさんでも、
本格的な管理ソフトを導入せずに、

EXCELをうまく使いこなして、
管理している企業が多くあります。

費用をかけず、効果的な品質管理の方法を
これからもお伝えしていければうれしい限りです。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


品質管理研究所 かおる


Posted by 品質管理研究所 かおる at 2013年02月03日 12:46
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