2013年01月15日

日産自動車の品質物語

日産自動車の品質物語
(2013年1月15日)品質管理研究所

日本のものづくりの柱ともいえる自動車は、
ヒトの命にも関わる高い品質が要求される製品のひとつです。

今回は、世界で活躍する自動車の大手メーカーである
日産自動車さん(NissanNewsroom)の『品質物語』をご紹介します。


自動車業界とは異なるものづくりの企業ではたらかれている場合でも、
興味をそそられるおもしろい品質動画がたくさんありますので、ぜひご覧ください!


■ 日産: もうひとつの品質物語 "細かすぎて報われた研究員"



新しいチャレンジ的な製品には、あたらしい試験方法の開発も必要になります。
お客様のつかわれかた、部品の弱み、想定される苛酷な自然環境の観点から、
新しい試験条件の内容が検討され、試験方法そのものを開発されている点がすばらしいですね。


■日産: もうひとつの品質物語 "クルマを作らない工場"



自動車を生産するための最適条件を事前に見出して、
世界の生産拠点に転写する方法は、Intelさんの「Copy Exactly」の考え方と同様に、
生産立ち上げ期間を短縮する優れたやり方です。

もちろん、設備の条件だけでなく、自動車の立ち上げをおこなう人材もきちんと育てて、
日産の考え方そのものまで移植させる取り組みは、なかなか真似のできることではありませんね。


■ 日産: もうひとつの品質物語 "雪男、砂漠に現る "



自動車がさらされる自然環境を再現する試験設備が紹介されています。
雪を降らせて試験する降雪試験など、世界の厳しい気象環境を再現し、自動車の品質が確保されています。

日頃、私たちが使用させていただく多くの製品もまた、
かげながらこのような品質マンが地道に試験をしています。
多くの企業で品質試験に取り組む品質担当者の姿が重なり、応援したくなりますね。


■ 日産: もうひとつの品質物語 "1/100の世界"



これまでのやり方そのものを見直すことの重要性に気づかせてくれます。

新規の製品の開発だけでなく、新しい始点で、新しい方法を取り入れ、
進化させなければいけないものが製品だけでないことを教えてくれているように感じます。


■ 【もうひとつの品質物語】猛獣使いと5000tプレス



自動車の骨組みをつくるプレス。金属の板から流線型のボディ形状をうみだす
ダイナミックなプレスの動きの中で求められる寸法精度や外観の品質には目をみはるばかりです。

自動車の美しさの背景にある力強さは、まさに、
このような製造現場の猛獣使いによって、生み出されているのでしょう。



■ 【もうひとつの品質物語】ストイックな「感性」探求者



感性にうったえかける魅力的な品質=感性品質の重要性に気づかされます。
だれしも、ひとたび見ただけで、製品からただよう美しさ、高級感、その製品の良さを感じて、
ひとめぼれすることがあるのではないでしょうか。

日産自動車さんでは、このような感性の品質を重要な視点としてとらえ、美と性能を兼ね、
製品の良さを伝えるデザインをもったクルマになるように、
感性品質を高めるPQ(Perceived Quality:パーシブド・クォリティ)という考え方を
1999年に資本提携したフランスの自動車メーカー「ルノー」さんから取り入れたそうです。

【参考資料】 NISSAN DESIGN NEWSLETTER Vol.12 

感性にうったえかける魅力的な品質という視点を、実務でどのように具現化していくか、
多くの企業が、悩みを抱えているポイントのひとつといえるのではないでしょうか。

P:Product Quality (製品の設計品質)、
P:Process Quality(製造プロセスの品質)に加え、第三のPとして、
P:Perceived Quality(感性の品質)


をうまく取り入れて、喜ばれるモノを産み出していきたいものです。



今回は、日産自動車さんの品質物語をご紹介しました。

業種の異なる優れたものづくり企業の品質思考にふれることで、
これからも、楽しく品質を学んでいければ、うれしくおもいます。



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posted by かおる at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 品質管理 事例
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