2012年11月15日

五感で感じる!官能検査パネラーとは?

資生堂の美を支える官能検査パネラーとは?
(2012年11月15日) 品質管理研究所


女性の『美』を支える資生堂

化粧品の確かな品質を支える検査のスペシャリスト『官能パネラー』について、
すばらしい映像が公開されていますので、ご紹介させていただきます。


品質検査では、製品の出来栄えを確認するために、
検査機器で測定をして、一定基準を満たす製品が合格とされる場合が多いかもしれません。

しかし、美などを追求する製品では、
製品の外観の変化はもちろん、色やにおいや使用感など、
人間の優れた五感で判断することが必要な場合もあります。


官能検査と色別

五感で感じ取られる製品のわずかなちがいをチェックする官能検査では、
品質検査のスペシャリストである『官能検査パネラー』とよばれる特殊な検査員が活躍しています。


美しさを追求する製品を創造する資生堂のベテラン10年の官能検査パネラーさんが
官能検査室で口紅の色みなど検査している様子が、下記で公開されておりますので、必見です。


■ 驚くべき、特殊能力をもつ人々 SHISEIDOofficial さん Youtube




@官能検査の注意ポイントとA色別能力トレーニングについて、
実務で役に立つ視点をわたしたちに教えてくれています。



@官能検査の注意ポイント
今回ご紹介した資生堂さんの官能検査パネラーさんから下記の管理ポイントが見えてきます。

・口紅の色の検査 わずかな色の差をみるため、自分の腕にぬってわずかな違いを検査
・五感にばらつきをあたえる体調管理は必須、かぜをひくことはゆるされないほどの意識
・季節ごとの予防接種によるインフルエンザやかぜなどへの予防措置の徹底
・においのつよい食べ物をふだんから食べないよう気をつけて、自己のにおいにも敏感に
・官能検査の前後での手荒い、消毒の徹底で、いつも清潔に

官能検査のパネラーとして、仕事以外の日常でも、
五感がばらつく要素を排除しようとする姿勢は、厳しく品質をみつめる
品質検査者、官能検査パネラーとしてのこだわりが感じられますね。

ひとつの仕事をつづけて、極めていく姿は、すばらしいものです!



A色別能力トレーニング
官能検査は、五感にたよるため、その識別能力を鍛えるための特殊な
色別トレーニングも紹介されています。

特に外観検査では、色の感覚が鈍ってしまわないように、

下記のような色彩弁別検査器の色見本の並び替えを実施して、
検査能力を鍛える取り組みが実施されています。


色彩弁別検査器は、明度や彩度が同じ100色相の色のこまを、
色相(いろみ)順にならべていくことで、微妙な色の違いを判断する能力を調べたり、
色を見わける能力訓練としても活用することができるツールです。


<100huetest(ND-100) 100色相配列検査器>

高い精度を要求される色彩識別能力テストの為の色彩弁別検査器!日本色研 100hue test (ND-100)...


資生堂さんでは、色彩の弁別トレーニングでは、色彩弁別検査器を使用し、
2分間でばらばらの色を正しく並べかえることがHPで紹介されています。

限られた時間の中で、正確に色を識別する訓練を絶えず実施することで、
官能検査員パネラーの色別能力そのものを維持していくことも重要です。

このように官能検査では、再現性のある品質検査が実施できるように、
検査員自身の能力を維持向上する検査教育訓練も大切な管理ポイントといえるでしょう。



以上、今回は、資生堂さんを官能検査の事例から、
ヒトの五感を活用する品質検査のスペシャリスト官能検査パネラーさんを紹介いたしました。


このように、私たちの製品の品質を支える検査員さんの仕事は、
世の中で知られるチャンスも少なく、地道な仕事が多いものです。

しかし、仕事で、工場監査などで訪問させていただくものづくり企業の検査室には、
日夜こうした検査を実施して、品質を厳しくチェックしている検査パネラーさんが働いています。

熟練者官能検査パネラーさんが、検査する製品をとりあつかう無駄のない動き、
するどい眼光をみれば、感動さえおぼえてしまうほどです。

日本の高い品質の製品は、こうした優秀な検査パネラーさんたちに、
日々厳しくチェックされることで品質保証され、

一般のお客さんからは見えない品質活動が基礎となって、
安心できるブランドにつながっているのではないでしょうか。



【関連記事】
外観検査の役割 5つの「みる」とは?
「外観検査」は、脳でみる?!
限度見本は、官能検査のかなめ?
限度見本の承認ラベルの作り方とは?
外観検査に適切な照度とは?
品質不良と検査時間
目視検査環境の作り方とは?
品質検査員の検査ばらつきとは?
実務で使える抜取検査とは?
ドットゲージの入手方法とは?
検査で品質は上がらない!?
検査員は、だれがなる?
posted by かおる at 22:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 品質管理 事例
この記事へのコメント
かおるさん、こんばんは

官能検査は、どんなに設備が進歩しても、欠かせませんね
だから、MSAや力量評価が無くならないのでしょうね。

人の作るものは、人が判断する・・
この真理は、今の様に機械が発達した世の中でも不変ですね。

しかし、今回の官能試験パネラーの拘りには、頭が下がる思いです。まさしく、プロフェッショナルの女性たちです。

私の会社の若いメンバーにも見せてやります。


Posted by 政之助 at 2012年11月18日 21:15
政之助さん、こんばんは、

品質管理研究所 かおるです。

官能検査は、検査機器が発達しても、
なくせない大切な検査ですね。

ひとの感覚は、繊細で、わずかな厚みの変化や外観の違いも
優れた検査員の手にかかれば、あっという間に判別されてしまいます。

他社で実施されている官能検査は、
通常公開されることも少なく、

検査員さんが社外へ訪問する機会や時間もないので
資生堂さんの映像を見ていただくと、刺激になるかもしれませんね。

これからもこのような品質プロフェッショナルや
品質向上に取り組む優れた企業の事例を
ご紹介していければとおもいます。

かおる
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2012年11月18日 22:29
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/60074660

この記事へのトラックバック