2012年09月03日

海外生産立ち上げの落とし穴とは?

海外生産立ち上げとCopy Exactlyの落とし穴 -品質管理研究所-


日本企業は、昨今の円高による輸出産業への打撃や
現地生産・現地消費の地産地消の供給体制の確立をはかるために、
多くの企業が、海外へ進出して、活躍しています。

海外進出とものづくり

そんな中で、海外での工場の垂直立ち上げを行い、
お客様の要望にこたえていくためには、同時に高い品質を維持することが求められます。

過去成功した最新の改善が施された設備や工場の良い部分をそのまま展開して、
全く同じ状態を再現することで、製品の安定した品質を確保する考え方があります。


この考え方は、『Copy Exactly』とよばれ、多くの企業で実践されています。


今回は、この『Copy Exactly』の注意点について考えてみましょう。

海外に工場を作る場合には、
生産設備や工場を移転するだけで、同じものをつくることができるでしょうか。

モノをつくるのはあくまで、『ヒト』です。

経験豊富な人材をたくさん海外の新設工場に呼び寄せて
生産することができれば、安定した品質を確保することができますが、
それでは、海外に工場展開したメリットが少なくなります。

そのため、現地の優秀な人材を採用して、

経験ある人材が、限られた人数で現地メンバーを指導し、
情報を共有し、工場品質を高めていくことが多くなります。



例えば、最初からすべて出来上がったものがあれば、

決められたことを、決められたとおりに、
確実にチェックすることだけが仕事になりかねません。


長期的な視点からは、現地社員に、ただ同じ作業を繰り返すだけでなく、
問題点を自ら発見し、改善を図る考え方を同時に養うことがもとめられます。


工場をCopy Exactly(すべてを完全に複製)する場合には、

仕事が、すでにつくられたものをチェックして、実行するだけの単純作業になってしまうと
その作業の目的や背景、注意点を考えることの重要性がうすれてしまいます。


その作業の意味を考えてもらい、継続して作業を改良する意欲の種をうえるためには、

あえて、簡単なものから、現場の人材に作らせてみて、提案してもらい、
そのあとで追加すべき項目を一緒に考えるような親心も必要ではないでしょうか。


品質教育と成長


『Copy Exactly』では、すべてを丸ごとコピーすることで短期間に立ち上がる反面、

過去失敗を通じて育成された経験や考えは、十分に理解することができないまま、

単純作業化してしまう恐れがあるため、そのような失敗経験や改善行動、
目的意識をいかに共有するか、その具体的方法を考えることが求められます。


現地の人材とうまくコミュニケーションをはかるためには、
お互いのことを信頼できるような、共同作業の中での共育がかかせません。

お互いがお互いを知り、共に育つ『共育』の場をいかにつくるかが課題となります。


現地に展開した企業では、現地の人員を直接雇用するだけでなく、

現地で類似の製品を製造している現地メーカーと一緒に合弁企業を作ることもあるでしょう。

すでに他の製品での製造経験をもつ管理組織の力をかりて、
現地ならではの考え方もうまく吸収して、組織を管理することも大切なことです。


海外現地生産と品質管理


世界には、生活や宗教上の様々な違いがあり、
日本の常識は、世界の非常識といっても言い過ぎではありません。

ベトナムでは、お昼寝をする習慣があったり、
マレーシアでは、宗教のため、礼拝できるようにしたり、

現地ならではの働きやすい環境をつくるため、

現地の生活習慣や宗教にも配慮した工場運営を図り、
お互いの考えや風習を尊重することも重要です。

下記は、海外の経験をまとめた実務的なノウハウが詰まった書籍の内容を

惜しげもなく、無料公開されているQCD革新研究所 中村茂弘さんの著書で、
海外実務をするにあたって、大変参考になる資料なので、ご紹介させて頂きます。


■ 海外現地工場運営実務マニュアル 中村茂弘著
 (OVERSEA PLANT MANAGEMENT MANUAL)
海外事業展開する上での実務ポイントがわかりやすく紹介されています。

海外展開を成功させるためには、ハードウェアの移転にとどまらず、
『ハートウェア(心づかい)』をいかに移転するかが重要であり、
設備への気遣いや考え方を共有し、ヒトをいかに育てていくか、

海外赴任者の奥さんが料理を現地の方におしえる交流を行うなど、
大切な考えや実践的な方法を教えてくれています。



今回は、海外へ展開する工場を作る際に、知っておくべき
『CopyExctly』という考え方の注意ポイントについて紹介しました。

世界で活躍するためには、
グローバルに考え、ローカルにうごけることが必要です。

グローカルな企業で、日々はたらかられる皆さんの参考になれば幸いです。



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posted by かおる at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | グローバル品質
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