2012年08月27日

キープサンプルとは?

品質保証の砦『キープサンプル』とは? -品質管理研究所-


品質問題が発生したとき、

迅速にお客様の声にお答えするために必要となる
『キープサンプル』の考え方について、ご紹介します。


キープサンプルと品質保証

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(1)キープサンプルとは?
(2)キープサンプルの活用!
  @製品品質の再確認と迅速な不良対応
  A定期信頼性試験による品質保証
  B工場間の品質格差の是正
(3)キープサンプルの保管方法とは?
  @温度・湿度・光などの劣化を防ぐ保管管理
  Aキープサンプルの保管期限
(4)キープサンプルを保管する企業事例
  @京都の半導体メーカーROHMさんのキープサンプル体制 

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(1)キープサンプルとは?

『キープサンプル』とは、出荷された製品をロット別に保管して、
問題が発生したときなどにすぐに検証できるように保管する大切なサンプルのことです。


通常、製品品質を保証する上での保管の対象は、
製品を生産したときの生産履歴や検査履歴などのトレーサビリティといった
さまざまな『情報』ですが、

キープサンプルは、その名の通り、
『現物の製品そのもの』が保管の対象となります。



(2)キープサンプルの活用方法
@製品品質の再確認と迅速な不良対応

製品の品質を保証するためには、

企画、設計、調達、製造、検査、輸送といった
一連のプロセスの品質管理は、当然重要です。

出荷された製品は、本来すべてが良品であることが理想ですが、

出荷後に、納入不良として確認されることや、
市場不良という形で、お客様からのクレームに発展することもあります。


そんなとき、実際に当時出荷した製品がどのような状態であるか、
現物を回収して判断しますが、

世界中のお客様に出荷しているグローバル企業の場合、
通常では、距離が遠く、すぐに現物確認することは、難しいものです。


キープサンプルとグローバル品質

そのため、出荷する製品の一部を、
一定期間、『キープサンプル』として保管し、

出荷後に問題が発生したときに、
当時生産した製品サンプルをすぐに確認できるようにして、

迅速に原因究明して、対策を施せるように
品質保証のサービス体制を手厚くすることが、実務では行われています。



A定期信頼性試験による品質保証

キープサンプルでは、外観や機能性などの出来栄えを評価するだけでなく、
長期にわたる信頼性を維持できているかを定期的に評価するためにも用いられます。

製品の初期状態だけでは、見えない特性の違いを、

各種の加速試験(熱衝撃試験、高温高湿試験、紫外線照射試験など)を通じて、
ごく短期間で評価し、製品の出来栄え、安定性を定期的に確認することも、
品質保証を行う上では大切なことです。


生産されたものが長期的に安定した品質であることは、
本来、設計品質、製造品質の造りこみで保証するものですが、

さらに、実際に信頼性試験をして、
その変化を実際に短期間に評価することができれば、
さらなる品質の安心材料とすることができます。



B工場間の品質格差の是正

グローバルに生産を行う企業では、世界各国に生産拠点を持っており、
地産地消でコストを削減して、品質の高い製品を
各拠点のお客様に納入する体制を持っている場合が多いのではないでしょうか。

通常、基本となるマザー工場の製造管理・品質管理体制を移管したあと、

安定した品質を維持できていることを、キープサンプルを回収し、
他の生産工場と比較して、評価することがあります。


第三者的な立場で、各工場で生産された製品を定期的に抜き取り、
その製品の出来栄え品質や信頼性を比較確認することで、

グローバルな製品品質を維持管理するためのチェック手段として、
キープサンプルを活用することもできます。



(3)キープサンプルの保管方法
@温度・湿度・光などの劣化を防ぐ保管管理

キープサンプルの保管のためには、製品の特性に応じて、
温度や湿度、紫外線等により、劣化するような材料もあります。

専用の保管アルミバックで、湿度や紫外線を遮断すること、
温湿度管理ができた専用倉庫に保管するなど、
適切な保管方法や保管場所を検討することが必要になります。


Aキープサンプルの保管期限

キープサンプルをロットごとに取得していくと、
あまりにキープサンプルが多くなり、追加の倉庫が必要になるため、
保管期限を設定し、順次廃棄していくルールを明確にすることも大切です。

長期間保管することで劣化する場合は、
キープサンプルとして役に立たたなくなりますので、
適切な保管管理期間を検討しましょう。


キープサンプルの保管方法

保管場所がかさみ、余計なコストがかかることで、
製品コストに跳ね返ることのないように、製品の使用寿命とあわせて、
費用面も含めたかたちで、管理期間を適切に調整することが求められます。

多くの企業では、顧客企業との仕様書などでは記載されていないもの

自主的な品質取り組みとして、キープサンプルを保管している場合が多く、
保管期限を独自に設定している場合が多いでしょう。



(4)キープサンプルを保管する企業事例
@京都の半導体メーカーROHMさんのキープサンプル体制 

当時の製品状態を再度検証できるように、キープサンプルシステムを構築して、
全製品を完備しているなど、ロームさんの独自の取り組みが、HPで紹介されていますね。

 ・ROHM HP Our Approach to Quality



 今回は、グローバルでの迅速な品質保証に役立つ『キープサンプル』について
ご紹介しましたが、お客様と結びついた品質保証を考えるきかっけになれば幸いです。




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posted by かおる at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 品質保証
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