三重県伊勢市にある『伊勢神宮』、
1300年間もの間、
20年に1度、建て替えられていることをご存知でしょうか。
神宮には、東と西に同じ広さの敷地があり、
20年ごとに同じ形の社殿を交互に新しく造り替えます。
神宮の建て替えを行い、神宝をつくりかえることは、
伝統的な建築や工芸の匠の技術を後世に脈々と伝え、
神宮の歴史、日本の文化をも伝えていくことにつながります。
木造建築の神宮をつくるためには、何が必要でしょうか。
神宮建設のためには、
大量の檜(ひのき)の木や屋根につかう萱(かや)が、必要です。
そんな材料としての木材も、
伊勢神宮さんが、山林をそだて、萱山で萱を10年がかりで集め、
200年もの壮大な森林計画で森づくりをしています。
木材の準備に4年、伐採後に2年間貯木池に沈め、
1年間のざらしにして、四季のある自然環境で木をならし、
製材され、はれて、神宮の一員となれるというのです。
長く、厳しい下済みを経て一人前の木材になった木は、
そったり、割れたりしない、しっかりとした木材になります。
まさに、ひとの成長と同じです。
20年の役割をおえた木材も、地方の神社に配られるなど、
日本各地とのつながりを持つことにも生かされています。
時代が変われども、
変わらない伝統と、引き継がれる歴史。
毎年 数百万人が、参拝にも訪れる伊勢神宮で、
このような伝統が維持されることで、
技術を伝承し、こだわりをもってつくりあげる思想が、
日本人の考えに、受け継がれているのではないでしょうか。
ひとをそだて、ものをつくり、時代を越えて、技術を継承する。
自らで材料をそだて、こだわり、あますことなくつかいきる。
長期的視点で考え、短期的な視点で行動する。
時代を越えて1300年も続く仕組みには、
品質思想や教育のヒントが、隠れています。

【参考文献】
・【ニュースレター】20年ごとに建て替えることで永久を保つ − 伊勢神宮の遷宮 枝廣淳子さん
・伊勢神宮 式年遷宮
・伊勢神宮式年遷宮広報本部
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