製品の品質を確保するためには、
その製品をうみだす工程のばらつきを把握し、
みながわかる指標で客観的に良し悪しを判断することが求められます。

今回は、企業をこえて活用される品質管理指標である
『工程能力指数 Cpk(シーピーケー)の計算方法』についてご紹介します。
なお、工程能力指数Cpk計算フォーマットは、
文中で、無料でダウンロードできるようにしています!
■ 工程能力指数Cpkの活用とは?
工程能力指数Cpkは、
出来た製品の特性のデータ群から算出される平均値μと標準偏差σから、
製品仕様書の上限規格値と下限規格値と比較して、
統計的にみて、品質が安定しているかを判断することができます。
一般的に、工程管理された製品の特性などは、
正規分布に従うことが多く、抜取検査された特性値であっても、
どの程度の不良が発生する可能性があるかも統計的に推測することができ、
抜取検査での不良のリスクについても考えることができます。
■ 理解しにくい?!工程能力指数Cpk
大きな企業との取引を通じて、
製品の重要品質特性を確認するために
工程能力指数Cpkを要求される場合も多く、
どのように計算すればよいか、良いのか悪いのか、
試行錯誤されたご経験のある方も多いのではないでしょうか。

工程能力指数Cpkは、
数式やEXCELなどの計算式が理解しにくいため、
指標として導入するためには、ハードルが高そうにみえますが、
いったん数字(測定データ)で具体的に算出できれば、
工程能力指数の指標自体は、単純明快に理解いただけると思います。
今回は、すこしでも皆さんの理解の支えとなるよう、
工程能力指数の計算フォーマットを無料で
ダウンロード(Excel)できるようにいたしましたので、
ご参考になれば、うれしく思います。
ぜひ、皆様の会社にあった形で、アレンジして活用いただければ幸いです。
■工程能力指数Cpk 計算フォーマット について

■ エクセル/PDFフォーマットのダウンロードはこちらからです!
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・

以下では、工程能力指数Cpkの計算フォーマットの簡単な使い方をご紹介します。
工程能力指数Cpk計算シートのEXCELの該当箇所に入力すれば、
複雑な計算は、自動でされますので、
実際に該当箇所に入力して、さわりながら理解していただくのがおすすめです。
■ 工程能力指数 改善フォーマットの簡単な使い方
(1)測定データの入力
製品の品質特性にかかわる下記のデータ2項目を入力してください。
@個々の測定データ(N =1〜100まで入力可能)
A仕様規格値(上限/下限)
※規格を越えた場合、測定データが自動で赤く表示されるように設定してあります。
(2)自動計算
自動的に下位の指標やグラフができるようになっています。
@工程能力指数Cpk
Aデータの平均値、標準偏差、MAX、MIN
Bヒストグラム
・ヒストグラムは工程能力指数とセットで必ず確認しましょう。
どんな問題があるのか、ヒストグラムをみれば、一目瞭然です。
・工程能力指数として、一つの数字に単純化されたことで、
そぎおとされた大切な情報もきちんと理解しましょう。
(3)その他の関連した必要情報の記載
@工場名、工程名、設備名、製品名、測定箇所がわかる図面など必要な箇所に記入しましょう。
・工程能力指数は、管理責任者やお客さんに説明する場合が多いのですが、
見るヒトの立場にたって、何を測定しているか、どこを測定しているのか、
わかりやすく表示することも大切です。
A目標となる工程能力指数と不良率も設定しておきしましょう。
・Cpkを設定すれば、自動的に統計的に推定される不良率が算出されます。
EXCELシート内の目標Cpkと不良率の関係から、どれくらいのCpkであれば、
どれくらいの不良率に相当するのかわかりますので、ぜひ、ご活用ください。
・Cpkは、グラフから読み取れる情報を単純化した指標ですので、
実測データを元に算出した統計指標を用いて算出した「抜取検査の不良率推定」の項目は、
現物の実際の不良率とは、異なりますので、参考(推定値)として、理解していただければ幸いです。
(4)Cpkの算出結果の解釈
@Cpkの比較と判定
・Cpkの値から、お客様が求める品質に十分こたえられる状態にあるかを判断し、
必要ならば改善アクションを明確にして、品質改善につなげていきましょう。
・一般的には、Cpk 1.33 以上あることが望ましいとされていますが、
製品の要求品質によって、基準を設定し、改善に役立てていくことが求められます。
※工程能力指数 Cpkの基準については、こちらの記事をご参考にどうぞ!
■ 工程能力指数Cpkとは? (品質管理研究所)
ACpkの月別推移
・工程能力指数Cpkは、中長期にわたり、時間的な変化を通じて、
品質が安定していることを確認することが大切ですので、
Cpkの月別の推移グラフをいれて、毎月の変動をチェックできるようにしています。
以上、簡単に使える『工程能力指数Cpk計算フォーマット』について、ご紹介しました。

さらなる品質向上のきっかけになれば、うれしいかぎりです。
【関連記事】
・工程能力指数Cpkとは?
・工程能力指数Cpkと不良率の関係とは?
・動画で学ぶ工程能力指数Cpk
・パレート図の作り方とは?
・品質不良改善シートとは?
・品質管理研究所サイトマップ
【工程能力指数(Cpk)の最新記事】
コメントありがとうございます。
品質管理研究所 かおるです。
工程能力指数Cpkのサンプルフォーマットが、
前田さまのご理解にすこしでも、
お役に立っていればうれしく思います。
エクセルの規格外の自動色づけ設定方法について、
下記の記事にて、
設定方法と注意ポイントをまとめましたので、参考になれば幸いです。
■ EXCEL条件付書式による品質検査値の自動判定とは?
(品質管理研究所)
http://quality-labo.sblo.jp/article/61512391.html
EXCELの『条件付書式設定』という機能になります。
ぜひ、うまくご活用くださいね。
品質管理研究所 かおる
大変頼もしいエクセル自動計算を使用させていただきました。が、
測定値26.981を入力すると強制的に26.98となってしまい、3桁の値が消えてしまいます。
何処に問題があるのでしょうか?
教えてください。
はじめまして、
品質管理研究所 かおるです。
Cpkの計算について、お役に立てて幸いです。
小数点桁表示の修正方法について、簡単な2つの方法について、ご紹介いたします。
@EXCELのセルの書式選択方法
小数点の桁数を変更したいEXCELのセルの範囲を指定して、右クリックして、
下記の順番で設定を変更することができます。
・「セルの書式設定」を選択→表示形式の「分類」で「数値」を選択→「小数点以下の桁数」を調整→OK
AEXCEL画面上、ツールバー上の小数点桁上げ機能使用方法
小数点桁上げ機能と桁下げ機能が画面上に表示されている場合は、
そのボタンを押すだけで簡単に桁数を修正することができます。
「小さな0が3つと矢印→」が記載されているボタンが画面上にあれば、
押してみると桁数の調整が簡単にできますのであわせてうまく活用してみてください。
上記は、EXCEL のVerによりすこし異なる可能性がありますが、
基本機能なので、うまくご活用すると大変便利ですね。
測定値を報告資料とするような場合、
小数点の桁数がばらついていると見栄えもわるくなりやすく、
また、測定された数値の細かな数値よりも大きな値の差の違いに注目できるように
小数点の桁数を制御するような書式にしています。
また、印刷をされるとき、EXCELの場合、
桁数が多くなると、印刷時に画面上では見えていても、
印刷するとひとつのセル内の桁数が多くなりすぎて、
数値が見えなくなることがありますので、
桁数がおおくなるときには、追加でご注意いただければ幸いです。
精密な測定差をチェックするためには、小数点桁数を修正して使用することが
望ましいと思いますので、うまく修正してご活用いただければうれしい限りです。
かおる
お陰さまで、桁数の件解決しました。
次の質問ですが、
データ記入欄において、No20までは問題ないのですが21から、100までのNo欄が###と表記されています。このような状態でデータを入力しても計算上問題ないでしょうか。
以上よろしくお願い致します。
いとう
USL:26.985 LSL:26.980において、
20個のデータを入力しましたが、ヒストグラムの横軸メモリが全て27.0と表示されてしまいます。
何処がまずいのでしょうか
以上よろしくお願いいたします。
品質管理研究所 かおるです。
頂きました2つのご質問について、下記参考になれば幸いです。
@###表示について
数字を入れた状態で、###が表示されている場合は、
EXCELシートの列(ABCD・・)の横幅がせまく、
数字が表示されていないときに変わりに表示されるもの場合だと思います。
列幅を少し広げて見ると、入力された元の文字が確認されるかと思います。
測定値の入力桁数が多い場合は、横幅(列)を調整していただければ幸いです。
Aグラフの横軸メモリの表示
USL:26.985 LSL:26.980で、20個のデータを入力した結果、
ヒストグラムの横軸メモリが、全て27.0と表示されている場合の対応について
下記参考になれば幸いです。
もともとのフォーマットでは、グラフの表示は、
少数点桁数を1桁に設定しているため、測定数値の小数点以下の桁数が多い場合、
グラフの横軸メモリの少数点桁数も同じように調整することが必要になります。
ヒストグラムの横軸数値上で右クリックして、「軸の書式設定」を選択して、
「表示形式」のタブを選択して、「分類(数値)」で
少数点以下の桁数を3桁に増やすと、全てが27.0という表示ではなくなります。
かおる
ところで、同心度などの場合どの様に使用すると良いのでしょうか?
品質管理研究所かおるです。
CpkのEXCELシートがまるさんのお仕事のお役にたてており、うれしいかぎりです。
Cpkを適用する前には、必ず特性値のヒストグラムを描いて、どのような特性分布があるかを理解することがかかせませんね。
ある特性値が、管理された分布に従わない場合には、Cpkによる数値管理の前に、外れ値や不規則な分布の問題点の原因を解決していくことが必要になります。
Cpkは、工程中の特性値をたったひとつの数値にまとめた丸められた値です。その数値にいきつくまでに失われた情報もあることを理解して、活用することがかかせませんね。
そこで、Cpkとともに、日常の時間変化をとらえることが必要な特性の場合は、管理図を活用して、品質を確保していくことも大切になります。
管理したい特性値にあわせて、どのような品質手法を使えばよいか、まるさんのように考えられることは非常に大切なことだと思っています。
品質管理研究所 かおる
勤め先にて品質関連の仕事に従事しており、社
員教育資料作成の為インターネット検索をして
いて御社の公開している情報「工程能力指数」に
関する掲載に辿り着きました。
2点教えて頂きたいです。
@公開されている「工程能力指数Cpk計算フォー
マット」のエクセルverにて、データ区間の1〜
20のうち、3,8,13,18の4区間の範囲が
変な気がするんですが、これで問題は無いのでしょ
うか? どなたからも指摘が無い様なので念の為に
確認させて下さい。
A自動で描かれるヒストグラムについてですが、自
動的に太枠で囲まれる範囲は計測データの最小〜最
大を対象とされている様ですが、横軸の最小と最大
値について、規格値のUSLとLSLを自動反映さ
せる方法があれば教えて下さい。
大変判りやすく纏められているので、これから
色々と利用させて戴きたいと思います。有用な
情報発信頑張って下さい。
応援いただきありがとうございます。
品質管理研究所 かおる
@EXCELのデータ区間の範囲について
少数点1桁までで表示しておりますが、
実際には、その下の桁までありますので、
EXCELの少数点の桁を2桁まで表示できるようにすると、区間間隔が0.42で同じになります。
区間の問題はありませんが、表示上気になりますので、2桁目まで表示するほうが親切ですね。
Aヒストグラムでの規格値の表示
グラフに追加した最大と最小で区切った枠線は、自動ではなく、手動で加えて、確認するようにしています。
グラフの横軸の数値は、区間幅で指定しているため、
USLとLSLの値が、区間幅の間にくる場合も生じるため、
線を適切な位置に追加することがむずかしいため、手動で設定するようにしている次第です。
これからもお役に立つ情報をご提供していければ幸いです。
STDEV.Pで標準偏差を求めると分母はnです。どちらを使用すればよいのでしょうか。
品質管理研究所 かおるです。
細部にわたり、ご確認いただきありがとうございます。
品質管理研究所でダウンロードできるCpkのEXCEL計算表では、
標準偏差を求める際に「STDEV」という関数を使用しています。
STDEV関数は、測定対象となる母集団の標準偏差の推定値を求める際に使用され、
EXCEL関数として、計算上の√内の分母は、(n-1)となっています。
標準偏差を求める時の分母をn-1とnにするかは、
何を母集団とするかに依存しています。
確認したい特性値が、母集団全体である場合は、STDEVP 関数となりますが、
通常、Cpkを算出する際の元データは、抜き取られた一部のデータ(標本)であることが多くなります。
抜取検査で標本として、母集団から抜き取られた一部の測定値により推定されることを考慮して、
STDEV関数(分母がn-1)を使用して、Cpkを算出する計算式としております。
なお、測定時の抜取数が多い場合には、分母のn-1とnがほぼ同じになるため、
このSTDEVP 関数とSTDEV関数の2つの計算がほぼ等しくなり、
Cpkの結果もほぼ等しくなることが理解できます。
これからもお役に立つ品質のヒントをご提供していければ幸いです!
品質管理研究所 かおるです。
お客様からのご要望で、Cpkを計算される機会をいただいておられたのですね。
少しでもわかりにくい用語や計算の理解の助けになればうれしく思います。
Cpkは、お客様と製造側の品質共通言語です。
お客様を製品だけでなく、
数字で安心させられることも大切ですね!
大変素晴らしいフォーマットをありがとう御座います。
使用にあたり困っている事がありますので是非ともお教え願います。
データは、N数50個 最大値31.10 最小値31.06 上限31.12 下限31.02 です。
ヒストグラム下の横軸項目が同じ数字になってしまいます。また、範囲のグラフ数字も2つずつ同じ数字になってしまい困ってます。
測定値の幅を広げて入力すると問題は解決?というかグラフなども綺麗になるのですが・・・
例えば1か所に31.02を入力すると範囲のデータが同じ数字が並びません。
上記質問で伝われば幸いです。
何卒宜しくお願い致します。
ご質問いただきました内容について、ご質問状況を再現したご回答になっているかどうかわかりませんが、ご参考になれば幸いです。
グラフ横軸メモリの表示は、もともとのフォーマットでは、少数点桁数を1桁に設定していますので、測定数値の小数点以下の桁数が多い場合、グラフの横軸メモリの少数点桁数も同じように調整することが必要になります。
EXCELのバージョンにもよるかと思いますが、ヒストグラムの横軸数値上で右クリックして、「軸の書式設定」を選択して、「表示形式」のタブを選択して、「分類(数値)」で少数点以下の桁数を3桁に増やすとうまく表示されないでしょうか。
ご期待そった内容になっているかわかりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
品質管理研究所 かおる
工程能力を取引先に提示する方法を探っているうちにココにたどり着きました。
素晴らしいエクセルシートなので是非活用したいのですが、1点確認させてください。
提出したい工程能力は片側規格(上限のみ)なのですが、その場合は「上限規格 USL」欄にのみ記入すればいいのでしょうか?
工程能力では、片側規格がありますので、
上限規格のみの場合には、下記の計算式になります。
Cp=(USL上限規格値‐μ平均)/(3σ標準偏差)
これは、EXCELシートで説明している
かたよりを考慮した工程能力指数Cpkの計算の一部と同じです。数値の分布の中心が、上限規格に近い場合と同じ計算式です。
計算過程については、ダウンロードいただけるEXCELシートの
工程能力指数Cpkの上の図を少し移動させると、
下に計算式が見えますので、ご参考にして頂ければ幸いです。
上限規格だけということですので、
下限規格は、「0」など追加の設定はせずに
空欄のまま指定すれば、上限だけの計算が反映されます。
あくまで、かたよりという概念は、上限と下限の基準があってこそ設定されるものですので、かたよりを考慮したCpkではなく、Cpという表現になります。
工程能力指数は、客観性のある品質数値として
ものづくりの共通用語として価値がありますが、
あくまで全体の分布と規格がどのようになっているかをひとつの数値に簡略化するための方法ですので、そこで失われた大切な情報をみおとすことのないように注意が必要となります。
ヒストグラムや時系列分布をとり、特異点や変動傾向について、ぜひ注意して頂ければ幸いです。
取引先さんとのコミュニケーションで使用されるということで、大切なお仕事の責任まで品質管理研究所でおえませんが、お仕事のヒントになれば、幸いです。
品質管理研究所 かおる
はじめまして
下限規格のみの部品でcp値を出そうとしたところ
負の数値が出てしまったのですがどのように解釈すればよいでしょうか?
浜田と申します。宜しく お願いします。
フォーマットの中で、数式が不確かなセルがあります。
正しい、数式をご教授下さい。
申し訳ありませんが、至急回答頂けると幸いです。
1.AQ31〜AQ50
2.AW31〜AW50
3.AZ31〜AZ50
4.AZ51