2012年03月11日

品質会議とは?

品質会議とは? -品質管理研究所-


品質会議は、多くの企業で実践されていますが、
はたして、実のある会議になっているでしょうか。

品質会議による問題解決と情報共有

スポーツの世界では、現場の情報共有は、勝敗をかける重要なポイントです。

企業においては、どうでしょうか。

経営者の顔色を伺うような
形式的な品質会議になってはいないでしょうか。

お客さんの満足度を高めるために、
品質会議をどのように活用すればよいでしょうか。

5W1Hの切り口で、『品質会議』とは何か、考えてみましょう。


(1)WHY  〜なぜ、品質会議をひらくのか?

品質会議は、品質情報を共有し、品質改善を図るためのひとつの「手段」です。

品質会議とチームワーク

なぜ、品質会議を開く必要があるのでしょうか。


@問題解決
品質問題が発生したときに、お客様のために、迅速に対応するためには、
単一部門だけでなく、関連部門の知恵と協力が欠かせません。

経営者や部門責任者が集まり、経営上の大きな問題に対して、
具体的なアクションを迅速にとるためには、品質会議を通じて集まり、
お互いの考えや対応者を明確にすることが、改善への近道となります。

品質会議で、部門横断で横串をさして取り組むような改善や
投資が必要な大きな改善などを迅速に図ることができれば、

出続ける損失が抑制され、結果として、
経営上の収支も改善することにつながります。

A情報共有
自社の品質に対する考えを社内で共有し、
また、現状の自社の品質情報を正しく理解するために
品質会議により関連部門と情報を共有し、
記録にも残して、情報を蓄積していくことが大切です。

発生した問題に対する対応や取り組みを「組織の経験」として、
蓄えて、品質を高めていくことが大切です。

『Aさんに聞けば、あの品質問題はわかるはず。』
『Bさんに聞けば、原因は知っているはずだよ。』など、

ヒトに依存しすぎた仕事の仕方にならないような情報共有を図りたいものですね。

品質会議と三現主義


(2)WHEN 〜いつ品質会議を実施しますか?

@計画的な品質会議
ISO9001(品質マネジメントシステム)を取得している企業の多くでは、
定期的に品質会議が実施され、品質状況がフォローアップされています。

PDCAの改善のサイクルをまわし、継続的に品質を維持向上していくために、
品質会議を計画的に実施していくことも大切です。

例えば、月例の品質会議という形であれば、経営者層が確実に参加できるように

「毎月の第1週の木曜日」「毎週水曜日の午後13時から」というように、
具体的に日時を設定しておくとスムーズに開催できまるでしょう。

品質会議では、経営上の大きな品質問題を浮き彫りにし、共有するために
社内の経営者層が参加できる条件を整えておくことが大切です。


A緊急的な品質会議
市場や工程で重大な品質上の問題が発生した場合には、
緊急的に品質会議をひらき、問題解決を図る必要があります。

現場の品質会議

突発的に発生した品質問題に対して、柔軟に対応するためには、
実務では、現場のことを理解した実務責任者を集めて、
迅速に品質会議を実施することも求められます。



(3)WHO 〜だれが品質会議に参加しますか?

品質会議は、だれが参加すれば、効果的な改善が進むでしょうか。

@経営者
品質会議には、経営責任を持つ経営者に参加していただくことが大切です。

ただし、経営者がみこしに担ぎ上げらるように、
品質会議という報告会に出席しているだけでは、品質の改善にはならないでしょう。

品質会議と経営者

経営者が、経営数値と直結する品質について、
お客様や工場の生きた情報を正しく理解し、経営判断することが必要です。

ISO9001では、Management Review(マネジメントレビュー)という形で、

品質のマネジメントシステムがうまく機能していることを確認するために
品質方針に基づく品質目標とその進捗状況を確認し、
継続的な改善が図られていることを確認することが求められます。

当然、品質がよいのか、悪いのか、
何が改善ポイントで、どんな取り組みをしているのか
経営者自らが、自分のことばで、『過去』と『現状』と『将来』の3段階で
経営品質状況を語れないようでは、話になりませんね。


品質会議では、良い情報だけでなく、悪い情報をより多く、そして、
その改善が迅速にできるように鮮度の良い情報が共有化されなければなりません。

改善の状況によって、
トップダウンで、現場で不足している資源(人、もの、お金)を見極め、
資源を配分していくことが求められます。


経営者の品質に対するこのようなトップダウンのアプローチが、

企業としての品質に対する考え方につながり、
製品やサービスの品質を良くも悪くもしていくきっかけになることを
経営者自身が、認識することが求められるのではないでしょうか。


経営者が、品質に対する意識が薄いと感じられる場合は、
ライバル企業の状況と自社の状況をベンチマークとして比較したり、

第三者外部機関によるランキングなどの指標を活用するなど
競争意識を喚起して、社内の品質意識を高めていく取り組みも大切となります。

内部の品質メンバーに品質向上を訴えられるよりも、客観性のある事実から、
自ら理解して、必要性に気づく機会を提供することが大切ですね。



A品質部門
品質部門は、品質会議の主催者です。

品質会議の召集から、品質会議資料のとりまとめ、
品質会議の当日の進行、議事録などの記録と回覧、
といった品質会議運営上の基本業務を担っています。

品質会議の運営上の目的は、

品質を継続的に改善し、お客様を幸せにすることであり、
資料をうまく作ることでも、問題なく品質会議を終わらせることでもありません。


品質部門は、現在抱えている品質問題を明確にし、
その是正・予防のフォローアップを促す大切な役割を担っています。

品質会議の準備にも時間がかかりますが、本来の目的からはずれずに、
効率のよい運営ができるような工夫も大切です。

B関連部門
品質会議は、もちろん、品質保証・品質管理部門だけが参加する会議ではありません。

品質改善は、企画、設計、生産、調達といった
製品を生み出すプロセスの中で行われるものであり、

企画、技術、生産、購買などの関連部門の責任者が、品質会議に参加し、
各部門に展開された品質目標に対する具体的な進捗状況を
積極的に説明することが求められます。


品質会議とチームワーク

会社を上げて、品質を高めるために、

部門横断的に関係者をまきこんで、協力して改善することが求められるため、

お互いの課題を共有し、仕事がしやすくなるよう、
品質会議の場を活用することが求められるのではないでしょうか。

C第三者
事業部制の組織体系を持つ大企業であれば、
本社で全社の品質を統括するメンバーがより客観的な目線で
アドバイスができるオブザーバーのような役割で参加することもあります。

全社の品質情報共有し、異なる視点からの改善アプローチを図るためにも大切です。

また、契約している外部のコンサルタントさんなどを招いて、品質会議の内容に対して、
アドバイスや講評をもらうことで、引き締まった品質会議にすることもできます。

特に中小企業メーカーさんなどでは、いつも関係者同士が身近で顔を合わせており、
コミュニケーションが豊富であるため、日頃の馴れ合いで、
品質会議がきちんとできていないこともあります。

第三者の人材をいれることで、品質会議のやり方を見直し、
会議自体を引き締めて、改善の手段として、品質会議のやり方を工夫することも重要です。

品質会議と参加者

費用をかけずに行う場合は、納入先の外注管理者などに
来ていただき、特定の製品品質に関する品質会議という形で
現場確認とあわせて、報告会をするということもおすすめです。

D協力会社・取引先
協力会社さんの加工委託や外注品などで、定例的に品質会議を行う場合は、
協力会社さんが主体となり品質会議を開催します。

社内の管理部門や技術・品質部門などが参加し、
協力会社さんの工場長や生産責任者や品質責任者などの
主要メンバーを集めて、実施することが求められます。



(4)WHERE 〜どこで品質会議を実施していますか?

@社内品質会議
品質会議は、複数の拠点の関係者が集まり、実施する場合があります。
TV会議システムなどで連携することは、もちろん効率的で経費削減につながります。

品質会議と効率性

一方、品質会議の後に、現場確認を行うために、

複数の拠点がある場合、

今月は、A拠点で開催、来月は、B拠点で開催、再来月はC拠点で開催というように、
場所をローテーションしながら、現場の工場に行って、実施することも大切です。


現場にいかないとわからない情報こそ価値があり、そんな情報を経営者が理解することが、
ものづくりの現場では、大切ではないでしょうか。


A社外品質会議
社外品質会議では、協力会社さんに来て頂き、自社の会議室で品質会議を
実施することも大切ですが、複数拠点にまたがる@社内品質会議の場合と同様に、

協力会社さんの現地工場に行って、会議の後、具体的に現場で改善の話をすすめる
ことができるように、会議場所をローテーションさせる仕組みもおすすめです。

品質会議とチームワーク


(5)WHAT 〜なにを品質会議で議論しますか?

品質会議では、何を議論し、品質をどのように向上させればよいでしょうか。


@経営者からの言葉
経営状況や品質に対する考えや方向性について、品質会議を通じて、社員に教育し、
経営者としての考えを社員に理解してもらうことが大切です。

A品質目標と実績
各部門に展開された品質目標と毎月の実施対応状況を確認し、
品質の継続した改善を図ることが大切です。

A‐1 市場品質目標と実績
・営業部門やCS部門を通じて集計された市場のお客様の品質状況の確認
 お客様からのフィードバック状況(市場不良発生率、クレーム受信内容)など

品質問題とクレーム

・市場の声として、不良率という悪い情報だけでなく、良い情報も含め取引先に対して、
 CS(顧客満足)アンケートをとって、各種質問項目で評点していただき、
 お客様の声と満足度を理解することも大切です。(情報は、自らで取りに行く)
・市場のお客様のクレームに対する具体的な対応と製品改善への対応状況の確認
・新たに発生した品質問題の確認と過去の問題に対する是正・予防状況の確認

A-2 工程品質目標と実績
・自社で生産している製品の工程品質状況(直行率、歩留り、不良率)と改善対応の確認

 例)歩留りや直行率の時系列表、ヒストグラムで表された品質特性分布、
   工程内管理特性の時系列分布、工程能力指数Cpk、

・工程不良のパレート図による不良比率の確認と改善対応の確認
・各製品別の問題・課題点と対応の確認       など

A-3 部材品質目標と実績
・社外で生産されている部品や部材の納入品質状況の確認と改善対応の確認
 
B内部監査・外部監査の報告
・社内の内部監査と社外の監査(ISO9001取得、継続審査、取引先様からの監査)の
 実施計画(Plan)、実施状況(Do)、問題点との確認(Check)、改善対応(Action)

C前回の品質会議の残課題事項のフォローアップ
・前回の監査で残したフォローアップをきちんと行うことが大切です。

D品質に影響を及ぼす国際規格や国内法令等の変更確認
・RoHS対応、Reach規制、IEC規格、UL規格等の変更などの社外規格の変更に伴い、
 品質上影響を及ぼすような項目がないか日頃からウォッチし、変化に対して、
 早期に対応できることが、新たな製品が市場で売れるチャンスにも繋がります。


E品質改善のための提案
・問題が起きたことに対して、受身で対応するだけが、品質改善ではありません。

 問題を未然に防ぐために、
 新たにどのようなことをすべきかを提案していく場を設けることも大切です。


品質不良と改善提案

F今回の品質会議の課題事項の明確化
・品質会議の中では、課題に対して、だれが、いつまでに、どのような体制で実施するのか
 問題解決を妨げる障害があれば、それをみなの知恵を結集して、取り払うことが必要です。

 
(6)How 〜どのような品質会議を実施していますか?

@品質会議の雰囲気
品質会議では、重大な問題に対して、厳しいことばがとびかうことがあります。

しかし、問題が発生したことに対する個人の責任追及の場となってしまうと、
問題を報告しにくい会議体となりますので、個人攻撃することなく、

次のすばやい改善を図るために、だれが、何を、いつまでにすべきか、
みなの知恵を出し合し、協力体制をつくるような前向きな会議にしていきたいものです。


品質会議とチームワーク

問題が起こってしまった場合、起こったことは事実として受け止め、反省し、

現状のお客様に対して、何ができるのか、二度と同じ問題を再発させないように、
どう改善すればよいのかを迅速に図ることが求められるのではないでしょうか。


A品質会議とおやつ
ヨーロッパの企業には、会議室に、
コーヒーや甘いお菓子を置いて、場を和ませているところもあります。


日本の企業では、仕事モードで、緊迫した感じがありますが、
海外では会議によりリラックスして、
参加できる環境づくりにも注意をはらっているのかもしれませんね。

お菓子があれば、甘いものに誘われて、
厳しい会議にも参加しやすくなるかもしれません。

気分をかえて、品質会議をしたいとき、
おやつと飲み物を用意して、会議をしてみたり、
会議をする場づくりにも気を配ってみてもよいのではないでしょうか。



今回は、『品質会議』について、ご紹介しましたが、
みなさまの仕事のヒントになることがあればうれしく思います。


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posted by かおる at 18:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 品質会議
この記事へのコメント
 ISOはちゃんと科学者との対話が出来ている規格か?正規分布だけがバラツキの指標で、CPKなんかを言っているが五万と確率密度関数のモデルはある。とにかく規格を制定する過程に関与した委員(EU)に資質不適格メンバーが選ばれ、確率の深い議論が出来ていないようだ。規格は信頼性を担保するのだから、真っ先に確率密度関数の性質解析が必然だったが、ISO側が日本語で制定過程をオープンにしたことはない。日本人は操り人形だよといっているように思える。
Posted by 欧州打破 at 2012年08月23日 22:05
欧州打破さま

はじめまして
品質管理研究所かおるです。

ISO9001などの品質マネジメントシステムやCpkなどの指標は、
品質を継続的に改善するための手段として、
それ自体が目的化しないように注意が必要ですね。

海外のメーカーでは取引上、
ISOを取得してさえいればよいという発想で、

品質システムと社内実運用の差がある場合もあり、

第三者的な立場からは、それがどこまで
有効に機能しているかという視点を持つことが
大切かもしれません。

実運用上どのような方法で品質を管理していけばよりよい改善や管理に結びつくか、

新たな品質手法もふくめて、
考えていきたいものですね。


品質管理研究所 かおる

Posted by 品質管理研究所 かおる at 2012年08月24日 07:40
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