2012年02月25日

生産設備の体調管理とは?

生産設備の体調管理とは? -品質管理研究所-


寒い季節になる変わり目は、かぜをひきやすく、

こどもの運動会のお父さんのかけっこなど、
久々に運動するときは、けがをしやすいものです。

企業の市場競争

私たちの体と同じように、

日々の生産を支える生産設備も、
設備の変化点となる節目、節目での健康状態を見守り、
異常を早期に発見したり、けがを未然に防止する必要があります。


生産設備の日常の健康状態を管理し、ケガを防止するためには、

始業時、終了時、休憩後、生産シフト交代時の日常変化点、
さらに緊急停止時、不良多発時、停電時、長期休暇時、メンテナンス時などの特異な変化点
など、負荷やミスの発生しやすい変化のタイミングでチェックを行うことがかかせません。


安定した品質の製品をより多く生み出すために、
製品(プロダクト)工程(プロセス)の2つの視点から、
設備の健康状態をどのように確認することができるでしょうか。


____________________

<生産設備の体調管理>

1)製品の出来栄えで確認する方法(プロダクト)
 @製品の出来栄えの確認

2)設備の状態を直接確認する方法(プロセス)
 @設備の設定値と実測値の確認 (定量的)
 A設備の状態の確認       (定性的)

____________________



<生産設備の体調管理>

1)製品の出来栄えで確認する方法(プロダクト)
@製品の出来栄えの確認
寸法、特性、外観などの製品の品質要求項目が、
生産された製品で満たされているかを確認します。

製品の出来栄えがよければ、製造設備の状態も良い可能性が高いといえます。

しかし、ある結果で、製品が仕様を満足していることを証明できても、
継続して安定した品質を維持できている保証とはなりません。


本質的には、できた製品の結果ではなく、

造る生産設備のプロセス管理ができなければ、
製品の安定した品質を確保することは難しいものです。

設備管理と部品


製品の出来栄えの管理にとどまると、
不良品が出たあとに、設備を改善する「受身の改善」になってしまいます。
「受身の改善」にならないようにするためには、何をすればよいでしょうか。



2)設備の健康状態を確認する方法(プロセス)
製品を生み出す設備が、安定したよい状態であることを確認して、
不良品が発生するのを未然に防止することが大切です。

@設定値と実測値の確認 (定量的)

・圧力は適切か
・温度は適切か
・流量は適切か
・高さは適切か
・電流は適切か
・液面位置は適切か
・速度は適切か    など、

設備の定められた設定値(基準と範囲)に対して、

実測の測定値が、基準の許容範囲であり、
さらに中央値に近いことを確認することは、管理の基本といえるでしょう。


設備の設定値は、製品の量産前の事前の条件出しにより、
明確にされる大切な値であり、その値を遵守することが大切です。

これらの設定と実測値が変化点で維持されているかをしっかり確認しましょう。

設備の体調管理


■ チェックシートは、数値で記載する?

管理値が、許容範囲内で妥当であることを確認するために、

チェックシートには、設定値(基準値)といれて、実測値を定量的に記載し、
許容範囲にはいっていること、さらに、中央値にも近いことを確認します。

設定基準の下限ぎりぎりや上限ぎりぎりの場合には、もちろん設備の微調整が必要です。

これらを具体的にチェックするためには、

事前に具体的な設備管理項目を洗い出し、
設備の日常点検表(チェックシート)に、管理設定値(基準)を数値を明記しておき、
実測値を記入、確認できるようにしておくことが、おすすめです。


実際の現場での設備日常点検表では、
基準値の定量的な記載が抜けている場合がよく見られるので、
ぜひ、現場のシートを確認してみましょう。


■ 頼りすぎも禁物?チェックシート!

チェックシートは、毎日実施していると、作業化してしまい、
チェックではなく、記録に陥ってしまう傾向
があります。

チェックシートの弊害

記録にならないように数値で記入することはもちろん、現物で確認できるように、
メーターなどには、基準範囲に、具体的に上下限に印をつけて、
だれが見ても一目で正常か異常かを判定できるようにしておくのがおすすめです。


■ 不良品を生み出す誤設定の防止のためには?

設備設定値は、ヒューマンエラーを含め、誤った設定になる可能性が潜んでいます。

通常、設備責任者以外、設定の変更ができないように

ソフト的なパスワード設定をしたり、
誤って接触して、設定が変更したりしないようにハード的に物理的なカバーをつけて、
変更されないようにするなど、工夫をしています。


また、製品ラベルの印字など、
類似製品での入力ミスや確認漏れなどにより、
誤った状態で製品化される恐れのあるものは、

設定者と検査者で、インプットとアウトップの別々の2名でのチェックを行う、
チェックシートに記載するなど、具体的な行動で見える化して、
記録を残し、確認することもおすすめです。



■ 品質を揺るがす生産設備の設定変更

生産量が、急激に増加するとき、納期対応を優先させ、生産数を上げるために、
タクトタイムを早めて数を上げることもできますが、

設備の加工速度などの条件を設定外で早めることは、
品質を維持するために、あってはなりません。

設備の設定条件の上限と下限の設定値を明確にして、
常日頃から設備設定値の重要性を徹底する風土を醸成しておくことが大切です。



A 設備状態の確認 (定性的に確認)

・異音がしないか
・異臭がしないか
・変色していないか
・異物が付着していないか
・磨耗していないか
・水漏れしていないか
・部品が欠落していないか、
・メンテナンス後の部品忘れがないか
・破損個所はないか
・消耗品は補充されているか
・磨耗品は交換されているか

など、

定量的になりにくい設備の異常や変化を、
人の五感もはたらかせて、確認することが大切です。


点検表の中で、確認できるように項目として、明記するのもよいでしょう。


以下では、設備管理のポイントをご紹介します。


■ はなれた場所や小さな場所には、落とし穴!

直接の設備は、目が行き届きますが、その設備と繋がった先で、
離れた場所にある配管の目詰まりや小さなフィルターの目詰まりなど、

担当管理者が異なるような離れた場所や、小さなところに
設備の変動要因が潜んでいますので、ぜひ注意してください。

五感が届きにくい所こそ、設備管理の注意ポイントです。


■ 消耗品や磨耗品は大丈夫?

設備には、グリスやアルコールなどの消耗品、
ばねやローラーなどの設備稼動部の磨耗品など、
交換を必要とする大切な部品が多くあります。

このような部品を適切な頻度で交換することが、
製品の特性のばらつきを抑え、良品を安定して生産することにつながります。

このような消耗品、磨耗品をいつ交換したか、
どんな製品をどれだけ加工して、どれくらいの使用回数、
どれくらいの時間・期間使用できたか、
新規に使用してから交換するまでの記録をとることも忘れがちです。

日々消耗するアイテムも、きちんと記録を残すことが大切です。

この交換記録をベースに設備部品の交換頻度を設定し、
部品の劣化、交換時期を予測し、設備異常を未然に防ぐことが求められます。


設備ごとに、消耗品、磨耗品リストとその交換計画があれば、さらによいでしょう。

さらに、様々な部品や磨耗品をできるだけ交換せず、維持費も少なくするため、
壊れにくい部品や磨耗品に変更していくこにも、注意がいくことになるでしょう。


■ 母子手帳と設備管理記録

日本には、こどもひとりひとりのために、母子健康手帳があります。

母子手帳と設備記録の管理

妊婦さんの出産前後での健康状態(過去の病歴や職場環境、
妊娠中や産後の体重変化の記録)、産声をあげた赤ちゃんの出生日や時間、
体重や身長、胸囲や頭囲(乳児身体発育曲線との比較)、
予防接種の記録、虫歯の状況、年齢別の成長状況など、

ことこまかにチェックすることができます。

【参考】日本 厚生労働省HP 母子手帳 


元気にこどもを育てたいと思う親であれば、
だれかに指示されずとも健康記録、成長記録は、とりたいはずです。


品質の良い製品を生み出し、お客様に喜んで使用いただくために、
製品の立ち上げ時や運用管理時にも、母子手帳と同じように、

製品量産前の設備評価、条件出しのことから、
設備稼働後の設備の健康状態の記録まで、きちんと記録を残し、
設備と製品の状態をきちんと見守ることが大切ではないでしょうか。



■ 設備にも、個性や特徴がある?

同じ機種、同じ仕様の設備でも、さまざまなばらつきがあります。

調子のよい設備もあれば、調子の悪い設備があるものです。
若い設備と年老いた設備でも、設備の状態は、異なります。

まさに、人間の年齢や健康状態、個性のようなものが設備にもあります。

設備とヒトの個性


製品をつくる上でかかせない設備を理解し、
管理するためには、何をすればよいでしょうか。


設備管理に注意している企業では、
設備に親となる現場の設備管理責任者の顔写真と名前と連絡先を貼って、
設備の管理責任者を明確にして、管理を徹底しています。

最近では、輸送用のトラックのおしりに、
運転手さんの名前と安全運転をすることが記載された掲示を良く
見かけるようになりましたが、後続の車の運転手さんにみられていることを
常に意識してもらうことで、安全運転を促す効果が期待されます。

生産設備でも同様に、管理責任者を明確にして、周りから見られる状態にすることで、
自己の問題意識を高めて、より注意を払うことができるようになるのではないでしょうか。


設備とひとが一体になることで、設備への気配り、心配りもくわわり、
設備も大切に扱われれば、製品の品質も向上するのではないでしょうか。




今回は、生産設備の体調管理について、ご紹介しました。

製造業では、全社的な活動として
TPM(Total Productive Maintenance)活動として、
品質不良、災害、設備の故障などの削減と生産効率化を目指して、
現場の設備保全を中心として、改善に取り組んでおられる企業も多くあります。

企業の経営や品質を支える設備管理について、
あらためて考えてみるきっかけになればうれしく思います。



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posted by かおる at 19:37| Comment(5) | TrackBack(0) | 設備管理
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