2011年11月26日

工程能力指数Cpkとは?

工程能力指数Cpkとは? -品質管理研究所-

品質管理の「管理」とは、
客観的な基準をもって、全体を統制することです。


工程能力指数Cpkと品質管理


「管理」につながる言葉をあげてみると、

品質管理、生産管理、部材管理、納期管理、労務管理、保管管理、
在庫管理、販売管理、出荷管理、与信管理、危機管理、原価管理

など企業でコントロールすべき大切な項目の多くに管理がついていることが理解できます。

品質管理においては、製品と工程の品質を管理するために、
製品の仕様書でスペックを定め、その仕様を満足する製造工程中の条件を
明確にすることが求められます。

その定められた条件の下で生産した結果はもちろん、
生産工程の品質状況が安定しているのか、
それとも不安定で改善が必要なのか判断することがもとめられます。

では、生産工程が、品質上安定しているとはどんな状態でしょうか。
また、どんな状態であれば、管理された安定状態といえるでしょうか。



今回はそんな工程の安定性を定量的に評価できる指標、
『Cpk工程能力指数』について、ご紹介します。


_____________________


(1)工程能力指数 Cpkとは?
(2)k(かたより)のないCpとは?
(3)Cpkの評価基準とは?
(4)Cpkを活用する前提条件とは?
(5)工程能力が大すぎる場合とは?
(6)工程能力指数の活用の仕方とは?

_____________________



(1)工程能力指数 Cpkとは?
Cpk(シーピーケー)とは、工程能力指数(Process Capability index)とよばれ、
工程品質の安定性を確認するために活用できる統計的な指標です。

Cpkという言葉は、きいたことがあるものの、
品質実務でつかいこなすことがむずかしい指標の代表かもしれませんが
計算上で覚えておく必要があることがあることは、実はごくわずかです。

Cpkは、製造工程の特性値(寸法、材料特性、電気特性など)の

@平均値 μ
A標準偏差(ばらつき) σ
A合否の基準となる規格の上限USLと下限LSL


の簡単な3つの数値から、規格の目標値への近さとばらつきを
定量的な下記の式によって、算出します。


工程能力指数(CpとCpk)


Cpkは、上限規格USL(もしくは、下限規格LSL)と平均値μとの差が、
標準偏差σの3倍と比較して、どれだけ余裕があるかということを比較します。

余裕があって安全なほどCpkが大きくなり、工程が安定していることを意味します。

この式の「min[ ]」の計算式は、[ ]の中の
(USL-μ)/3σの計算の結果と(μ-LSL)/3σの結果小さい方の値を
Cpkとして、採用するという意味があります。

これは、製品の基準となる上限規格と下限規格に対して、
平均値がどちらの規格により近いかを比較するものです。

合否の判定基準となるほうの規格に平均値が近い場合は、
工程の能力も低くなり、製造のばらつきにより、
規格値からはずれる可能性が高くなることから、

その小さい値を工程能力指数として採用して、
お客様に品質を保証するため、厳しく評価をする意図が含まれています。



(2)k(かたより)のないCpとは?
一般に工程能力指数というと、Cpという表現が多く紹介されていますが、
実務的には、Cpという値はあまり活用の場面がなく、
Cpkのほうが使い勝手がよいことを理解しておくことが大切です。

Cpは、以下の式で算出されます。


工程能力指数(CpとCpk)


Cpは、Cpkと違い、使用する前提条件があるのです。
ここが実務上の大きなポイントです。

そのCpが使用できる条件とは、

製品の上限規格USLと下限規格LSLから算出される
「規格の中央値」と測定された「データの平均値」が一致していることです。


工程能力は、日々変動する値の中から算出されるものですので、
平均値を常に規格の中央で管理できるとはかぎりませんので、
現実的に使用することが難しい場合が多いといえるでしょう。

実務的には、Cpではなく、Cpkを使用し、
中央値からはずれた場合を考慮できる算術式Cpkを使用することが求められます。

このことが理解されずに、データの中央値が、
規格の中心からずれているにもかかわらず、Cpが使われていると、

Cpが、実態の工程能力以上の高い値を示し、
計算結果と管理実態が乖離してしまうため注意が必要です。

取引先さんから、工程能力が提示されるときには、とくに注意しましょう。

ですから、中央値が規格の中心からずれている場合が多いため、
Cpではなく、Cpkで工程能力を算出するようお願いしましょう。

Cpkのkは、偏り(Katayori)の頭文字 kと覚えておくとよいでしょう。

Cpkは、Process capability index based on Katayori という
「偏りを考慮した工程能力指数」という意味合いです。


工程能力指数Cpkと品質管理

生産現場では、偏りが発生する場合が多いため、
数値だけが一人歩きしないように
実務に即した指標の活用をすることがなにより大切です。

このような管理指標は、現場の状況を端的な数値に表現したものであり、
すべての基本は現場にあることをわすれてはなりません。
現場に足を運んだ上で、これらの数値の意味することを理解することが求められます。



(3)Cpkの評価基準とは?
Cpkは、工程能力指数の名前のとおり、「能力」ですので高いほど良く、
大きい数値になるほど、工程が安定して良いことを示すポジティブな数値です。

基準は、特性データの標準偏差σの3倍、

3σをベースにしていることが評価の基礎となっており、
この3σに対して、実態がどれだけ余裕があるのかを比較することになります。


算出されたCpk値として、一般的には、下記の4段階で評価されます。

@1.67≦Cpk     
工程能力としては、十分なレベルです。

※規格が厳しすぎて、コストアップに繋がっている場合
規格の見直しを含め検討することもできます。

A1.33≦Cpk<1.67 (=5σ/3σ)
工程能力としては、十分あり、現状の管理状態を継続して維持することが必要です。
工程能力としては、1.33以上を目標に改善をしていくことが多いでしょう。

B1.00≦Cpk<1.33 (=4σ/3σ)
工程能力はありますが、十分とはいえず、
1.33以上になるように改善をすすめることが必要です。

CCpk<1.00 (=3σ/3σ)
工程能力としては、不足しており、工程改善による不良の発生防止及び、
全数検査による流出防止など、早急に改善を要する状態です。

※Cpkが0より小さくなる場合とは?

Cpkが0より小さくなるということは、
規格値から平均値がはずれている場合です。

なかなかお目にかかることはありませんが、
マイナスの数値なっていないことは確認しましょう。
EXCEL等を使用したCpkの計算間違いなどの可能性もありますので注意しましょう。

このように、得られた特性データを3σと比較し、
Cpkを算出して評価することは簡単ですが、
実態として、この数値を達成したら、どれだけの不良になるのでしょうか、
また、お客様に対してどのような影響があるのでしょうか。


工程能力指数Cpkと品質管理

企業の作り手の立場で、多くの製品の中でごくわずかの製品だけが不良となってしまっても、
購入したお客様にとっては、ひとつ購入したものが不良になれば、つかえません。

また、ひとの命にかかわるような大切な部品であれば、不良は許されませんし、
工程能力指数もその製品の特徴やお客様の影響に応じて、
設定をより高くすることも考慮にいれるべきでしょう。


Cpkが1.33以上になったらOKとか、NGとか、
単なる数字遊びにならならいように、その意味を考えることが大切です。



(4)Cpkを活用する前提条件とは?
一般に、工程が管理された状態であれば、
多くの場合、特性が正規分布のような統計的な分布に従うことが知られています

この指標を活用する上では、このような管理された状態=統計的分布に従う状態(正規分布)
であることが大前提となっていますので、

Cpkを求める前には、QC7つ道具であるヒストグラムを作成し、
どのような分布になっているかを確認しましょう。


2つ、3つの山になっていたり、はずれた特異点がある場合などは、
なんらかの変化点による課題が隠れていることを示していますので改善をふまえ、
正規分布となっている特性のCpkを算出して、管理に活用しましょう。

工程能力指数Cpkと品質管理


(5)工程能力が大すぎる場合とは?
工程能力指数Cpkが、3.0、4.0 ・・・、などと大きくなっている場合、
下記の問題はないか確認してみましょう。

@正しくCpkの算出がなされているか
 EXCELなど計算式が間違っていないでしょうか。

ACpkの算出のための十分なサンプリング数が測定されているか
 測定対象数がすくなく、同じ値が出ている場合Cpkが高くなります。
 一定数以上のサンプルを測定して、妥当な結果かどうかを判断することが必要です。

B工程の管理基準となるUSLやLSLの設定が妥当な値であるか
 ゆるすぎる基準や仕様から大きくはずれた基準になっていないか確認しましょう。

C測定精度が低く、測定結果がほとんど同じ値になっていないか
 検査精度の読み取り値がすくなくないか、
 検査精度のある測定ツールや測定設備を使用しているかを確認しましょう。


 工場監査などで現場を確認させていただくと、測定機器の精度が低く、
 どれも同じ値で記入している場合が多くありますが、チェックシートに
 記入する際に、小数点何位まで記入するかなど明確にすることも
 管理をする上での大切な下準備となります。

 データの取り方にもばらつきを生じさせる要因がありますので、
 測定ばらつきが生じさせず、
 真の製品のばらつきを評価できるよう工夫することが大切です。

工程能力指数Cpkと品質管理


また、Cpkが大きすぎる場合には、逆に、管理基準が厳しすぎて、
管理コストアップに繋がっているのであれば、品質に影響のない範囲で緩和して、
品質とコスト両面を適正な範囲にする余地がないかを確認することも大切です。


(6)工程能力指数の活用の仕方とは?
工程能力指数を活用する方法は、社内の管理と社外の管理の2つの視点があります。

工程能力指数Cpkは、自社の品質管理状況を把握することに使用されるのが
一般的ですが、社外の購入部品の品質管理状況を把握、改善するために
活用するのがおすすめです。


製品を出荷する際には、出荷検査をして、
製品特性(寸法や材料特性、電気特性など)を測定していますので、

まずは、そのような出荷データを取りまとめて、Cpkとして算出してどのような管理状態が
実現されているかを取引先さんに確認していただくことは、
継続的に品質を改善するきっかけとなります。

不良があるから取引先さんとコンタクトをとるのではなく、不良がおきないように、
未然に情報共有をはかり、品質を改善していく取り組みがかかせません。

そのために活用できるのが、工程能力指数Cpkです。

出荷検査データなどは、すでに取得されており、既存のデータを活用するため、
取引先さんにも負担をかけずに、データを集計して確認していただくだけですむため、
手間もかからず、効果の高い品質改善活動になります。


いったんCpkで確認する重要性を取引先さんに認識いただければ、
日常管理としてもCpkが定着しますし、継続的な品質改善につなげることができます。

また、同じ部品を2社購買している場合などは、
部品の品質状況をCpkで比較確認することもできます。

日々の部品の品質状況の課題を見出し、
問題がおきないような未然防止の品質管理にCpkを活用いただければ幸いです。


ひらめき今回は、工程能力指数Cpkについて、ご紹介しました。

統計的な品質手法は、むずかしそうに見えますが、実態はそんなに複雑ではありません。

一度理解さえしてしまえば、実務で容易に活用できるはずです。
失敗をおそれず、まずは、どんどん活用してみるのがおすすめですね!



【関連記事】
工程能力指数Cpkの計算方法とは?
工程能力指数Cpkと不良率の関係とは?
動画で学ぶ工程能力指数Cpk
posted by かおる at 20:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 工程能力指数(Cpk)
この記事へのコメント
こんばんは、かおるさん。

工程能力で質問しようとちょうど思って、品質管理研究所のサイトに行ったら、工程能力の記事が載っているではありませんか!
かおるさんに心を見透かされた気分です・・・。

本題になりますが、例えば、1ロット毎の能力検証で工程能力が1.33以上ありましたが、数ヶ月分のロットを集計してみると色々な細かいバラつきで1.33以下になっていました。
仮に1.33以下は工程能力が無いというルールを私の会社で設定していたとしたら、これは工程能力が無いという判断になるのでしょうか。
先日、この議論を製造部門としていたのですが、結局、工程能力がある、ないという判断を下す時に集計する期間によって能力が微妙に変動する場合はどういうジャッジをしたら良いと思いますか?
何を基準にして集計期間を決めて、能力がある、無いと言えば、良いのかが分からなくなりました。
社内にはこの期間に関する明確な基準はありません。
ですので、基準を設けたいのですが、アドバイスを頂けたらと思います。
Posted by QA課代 at 2011年11月26日 23:04
QA課代さん

こんばんは、
品質管理研究所 かおるです。

Cpkの運用に関して、実際にいろいろなデータの見方を
製造部門と品質部門で話し合っておられ、すばらしいですね。

そんな議論をすること自体に大きな価値があるように思います!

以下では、ご質問いただきました社内の基準設定に関して、

これまでの経験をふまえて、Cpkに感じていることをまとめてみましたので、
何かヒントになることがあれば、うれしく思います。


■Cpkの集計期間の設定について
Cpkの集計期間については、
できるだけ期間を大きくとれば、サンプリング数がふえるため、
生産工程の実質の能力に近づく結果になると思いますが、

日々改善すると言う視点からみれば、
1ロット毎や1日単位などの小さな単位でCpkを算出することも大切です。

実際には、日々の工程能力を折れ線グラフにとり、管理図のようにして、
管理状況を把握している企業もありますし、
工程の改善などの検証比較のために、Cpkを算出比較したり、
様々な目的に応じて使い分けているのが実態ではないでしょうか。

■最低のサンプリング数
Cpkを算出するためには、
最低のサンプリング数の目安を設定しておくことも大切ではないでしょうか。

一般の品質関連の書籍には、100程度以上のサンプリングするのが、
望ましいとかかれているものもあります。

ご存知のとおり、サンプリング数が少なければ、
Cpkの値と工程の実態と乖離しやすくなるため、
最低限のサンプリング数の目安を示しておくことで、
Cpkの値を議論する上での前提を明確にしておくことも大切です。

■CpkとXbar-R管理図・ヒストグラムの併用
日々の生産での特性を管理するためには、Cpkだけではなく、
Xbar-R管理図(特性値の平均値と範囲)やヒストグラムを併用していくことがおすすめです。

Cpkは、工程の変化を端的な数字で表したものですので、

それらの変化を具体的に読み取るためには、
Xbar-R管理図やヒストグラムをもとに確認することが必要になります。

Xbar-R管理図では、個々のデータの変動を見ることができますし、
連など、その傾向的なデータの変化の客観的なルールもあり、
見た目でわかりやすいため、実務運用しやすいツールです。

また、Cpkの前提は、あくまで工程での特性が正規分布になることですので、
特異な形状や特異点があれば、Cpkがいくらよくても、問題となります。
そのため、ヒストグラムを描いて、実態を把握することが大切になります。

■ Cpkは、うそをつく?
例えば、取引先さんからCpkの値を確認して、
1.33を越えているからといって、数字だけを鵜呑みにしてはいけません。

ヒストグラムを描いて見ると、ヒストグラムの形状が
山形ではなく、少しだけ絶壁型となっていて、実は工程が不安定で、
規格外の不良の寸法の製品を流出防止のため取り除いて出荷しており、
不良を取り除いたヒストグラムでCpkを算出している場合もあります。

その様な場合は、生産工程の実態よりもCpkが高い値を示し、
工程能力を過剰に評価してしまっていることになります。

ただ、単にCpkが高い、低いだけで、工程能力がある、ないを議論してしまうと、
実態を見落としてしまうこともあるため、ぜひ注意をしていただきたいポイントです。

■ 全数検査と抜取検査の違いとCpk
全数検査される特性の場合は、Cpkが低くても
基本的に、検査により、規格外のものは取り除くことができるため、
不良品の出荷リスクは低いといえます。

極端にいえば、全数検査で保証されているので、仮に、Cpkが低くても、
お客様に対して、ご迷惑をかけるリスクは、極めて低いといえます。

もちろん、全数検査により品質を保証するのではなく、
品質を工程で作りこむことが大前提であり、
Cpkの低さの原因を追究し、継続して改善することは必要です。

また、全数検査しているとはいえ、人間のミスにより流出させてしまう可能性を
できるだけ排除することが求められるため、
不良を作らないことが根本にあることはいうまでもありません。

一方、抜取検査による特性の場合、
サンプリングしたものが規格範囲内で合格しているだけではなく、
サンプリングできていない未検査のものも合格していることが必要です。

検査確認できない製品もありますので、規格ぎりぎりで
サンプリング品が合格している場合は、ばらつきによって、
未検査品が不良品となるリスクがあることを理解することが大切です。

そのため、サンプリング品において、Cpkで工程能力を確認し、
そのリスクをCpkから把握し、規格外れの製品の可能性について、
議論することは大切です。

また、実務上では、抜取検査の特性の場合は、
製品の出荷検査規格よりも厳しい自社基準の管理規格を
工程管理値として設定し、サンプリング品が自社基準ぎりぎりで合格しても、
ある程度のばらつきの中で、未検査品も最終出荷検査規格の範囲に入ることを
保証できるようにすることが大切です。

もし、ばらつきの大きいような特性の場合は、
全数保証するために、工程の改善がすすむまで、
暫定的に全数検査により保証していくことが求められます。

■Cpkは、あゆみ!?
Cpkは、学校の成績で頂いたあゆみのようなものです。
A、B、Cなどのランクや1から10段階などの数値で評価された指標はあるものの、
それだけがすべてではありません。

数字だけではなく、そのこどもひとりひとりをみて、
点数ではあらわれないことも、みることが大切ではないでしょうか。
あゆみの余白には先生からのことばの欄があるように

できの悪い子にとっても、ほめるべきところはあり、
できの良い子は、どんなところがよかったのか、さらにのばしてあげることが必要です。

数字になることで、あたかも的確にあらわされたようにみられてしまいますが、
数字になることでうしなわれた大切なことを見つめることが、
数字を理解する上で、逆にもとめられているような気がしています。


ぜひ、Cpkを活かして、現場の皆さんを鼓舞し、
改善を促すために、うまく活用いただければうれしく思います!


品質管理研究所 かおる
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年11月28日 20:23
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