2011年11月25日

【寄稿】品質管理とクリーン化

【寄稿】品質管理とクリーン化 -品質管理研究所- 

シーズシー有限会社(稲永代表取締役)より、2011年10月31日号のクリーンルームメールマガジンにて、寄稿、掲載頂きました「品質管理とクリーン化」の記事についてご紹介させて頂きます。

シーズーシー有限会社さまは、クリーンの見える化からクリーン機器の販売から指導までクリーンに関わるポータルサイトを運営され、様々なノウハウをクリーンルームメールマガジンで惜しみなく公開されています。

クリーンルームメールマガジンも無料で登録することが可能です。

品質管理研究所でも、動画で学べる『静電気』!(2011年2月14日)の記事にて、シーズシー様の動画を紹介させていただいております。静電気の実験など実務で理解しておくべきノウハウがふんだんに紹介されています。


以下で、寄稿しました記事を一部、修正し、ご紹介させて頂きます。

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2011年10月31日号 シーズーシー有限会社様 クリーンルームメールマガジン
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【寄稿】 品質管理とクリーン化  

はじめまして、さまざまな製造業の工場で、
現場を共に改善している 中小企業診断士 かおる です。

これまで、汚れていた工場を、クリーン化の基本である
3S(整理・整頓・清掃)の3つの徹底によって改善し、
工場の経営者と社員のみなさんが目の色をかえ、
やる気をおこす姿を見てきました。

そのことが、前向きな取引につながるきっかけともなり、
3Sが、企業の信頼を築き、社内が明るくなることを肌身で感じてきました。

そこで、今回、クリーン化技術をもつシーズーシー様のメルマガに
寄稿させて頂く機会を頂きましたので、

だれでも、簡単に、すぐに始められる、

『 クリーン化の原点 「3S」 』

について、やさしくポイントをご紹介できれば、うれしく思います。


■ 3Sとは?
製造現場での基本は、
3Sに始まり、3Sに終わるといってもよいでしょう。

3Sとは、整理、整頓、清掃です。
Seiri、Seiton、Seisou、の頭文字のSを並べて、「3S」です。

清潔(Seiketsu)、しつけ(Sitsuke)を加えた、
「5S」
という考え方もあります。

これは、まさに、日本を支えてきたものづくりの基本です。

製造現場で活躍されるみなさんにとって、耳にたこができるほど、
聞いておられる言葉かもしれませんね。

■ 3Sのメリットとは?
3Sを改善することで、どんなメリットがあるのでしょうか。

「見た目がきれいになる」という結果はもちろん、

・品質改善が進み、クレームが減り、お客様からの信頼が得られる。
・仕事の3ム(ムリ、ムダ、ムラ)が減り、効率が上がり、納期も確保される。
・安全な環境で、作業に伴う事故が減り、働きやすい職場になる。

といった効果が期待されます。

さらに、3S改善の取り組みで、社員の気持ちや雰囲気が明るくなり、
企業の中で見えていなかった価値や気づきが増えることが
この5S活動の魅力ではないでしょうか。


■ 3Sを活用するには?
現在、3Sの取り組みは、
さまざまな分野で活躍する企業において、
国内にとどまらず、世界中の工場へと広まっています。

製造現場に限らず、営業部門や総務部門でも
一緒になって、取り組むことができる活動である点もポイントです。

3Sは、だれもが簡単に取り組めることだからこそ、
ここまで世界に広がり、波及してきたのではないでしょうか。


しかしながら、現実の国内外の工場の現場を訪問すると、
3Sが十分に出来ていない企業が多いのも、また事実です。

では、なぜ、3Sが十分に出来ないのでしょうか。
あなたは、この難題に答えられるでしょうか。

3Sの整理、整頓、清掃をあらためて考えてみましょう。

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(1)整理(Seiri)
■ 整理とは?
整理とは、不必要なものを捨てることです。

あなたの会社にとって、また、あなたのお客様にとって、
不必要なものとは、何でしょうか?


この問いに答えることができるでしょうか。
整理は、この問いに答えることから、始まります。

整理は、単にモノを捨てるだけの行動だけではなく、意思決定を伴います。

意思決定とは、何をやらないかを明確にして、進むべき道を選択することです。
不必要なものを捨てる整理は、まさに意思決定といえます。

何が必要で、何が不必要か、
何を捨て、何を残すべきか、
判断が求められます。

判断のためには、「ものさし」となる基準が必要です。
その判断基準が何かを明確にすることこそ、
まさに「整理」のスタート
です。

あなたの会社、あなたの組織、あなた自身で、
その整理のための判断基準は、明確になっていますか。


そして、その判断基準に基づいて、行動がおこされていますか。

多くの場合、この判断基準が曖昧なため、
不必要なものを区別できないまま、捨てることができずに、
長期間保管されたり、複数余計に保管されてしまっています。

■ 整理の難しさとは?
では、なぜ、多くの企業で、整理の判断基準が明確にならないのでしょうか。

組織としての判断基準は、企業理念、企業方針、企業風土さらには、
個人の意見などから形成されていくものです。

特に、現場での限られた範囲での判断が必要な整理においては、
組織の構成員となる関係者の判断に左右されやすいため、
日頃、どのような判断をしているかを理解することが、
整理のポイントを理解する上では、大切です。

私たちがモノを捨てる際には、
どのような気持ちになり、どのような考えが頭に浮かんでいるでしょうか。


実際には使っていなくても、
「まだ使えそう」「もったいない」「いつか使うだろう」
と思い、ついつい「もったいない」の思考で、捨てるのをためらい、
残してしまうことはないでしょうか。

最近では、一般生活において、断・捨・離(だん・しゃ・り)という言葉で、
「不要なモノを断ち」、「不要なモノを捨て」、「モノからの執着から離れる」
という考え方で、多くの人たちの興味を引きつけ、人気を集めていますが、

このような「さまざまなモノやしがらみを断ち切ること」は、
個人においても、身近で簡単でありながら、なかなかできないものです。

この断・捨・離(断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう))
の考え方は、ヨガに端を発する哲学です。

昔の世界の人々にとっても、
このシンプルな行為がいかに難しいことであったかがうかがえます。

このように、個人でさえ、「整理」の判断基準が明確にできていないのですから、
意見が複数交わる組織で整理の判断をすることが難しいのは、当然かもしれません。

このように整理をするときには、個人や組織で、
さまざまな葛藤や考えの違いのせめぎ合いが起こります。

モノは、使って初めて価値があるので、
今使かわないのであれば、捨ててよいという発想
一方で、将来使うかもしれないモノを捨てるのはもったいないという発想

さらに、企業の大きな設備資産の整理の場合は、
安易に捨てることができないのも事実、移動が難しいことも頭に浮かびます。

確かに、整理ができない理由を探せば、いくらでもあげられます。

できない理由におされて、使われない設備・道具、在庫、
壊れた備品などが、工場内にあふれていないでしょうか。
持ち主のわからないモノが、ずっと置いてあることはないでしょうか。


そんな長年の年月をかけて集められた不必要なモノを整理するための
決断ができるように、まずは、「整理の判断基準」から明確にしていきましょう

■ 整理の仕方とは?
具体的にどのような整理の判断基準があるのでしょうか。

整理の判断基準を「一定期間、使用していないもの」と設定し、
使用していない不要なものに、赤札をはり、
整理をしていく簡単な方法をご紹介します。

客観的な整理の基準は、「どのくらいの期間使用していないか」です。

期間を基準にして集められたものを、ただ捨てるだけでなく、
現場の関係者と話し合い、発生した要因や不良とする理由など明確にして、
誤って捨てることのないよう、また、次にそのような整理できていない状態に
ならないようにお互いに理解しながら、捨てていきます。

そのためにも関係者をうまくまきこんで、
わいわい、がやがや、整理を行うのが、おすすめですね。

下記では、赤札による改善方法について、
紹介されていますので、ご参考にして頂ければ幸いです。

1)ジット経営研究所さんの赤札作戦(pdf) 
情報番号:20070215 テーマ:整理1/要らないモノが誰でもわかるように「赤札作戦」
編著者:ジット経営研究所 平野裕之・古谷誠

2)赤札作戦 株式会社アスクさん5S動画事例(Youtube)
「具体的な『5S活動』とは?」 品質管理研究所 

整理の判断基準は、ほかにも企業の業態に応じて適したやり方で
みなさんが独自の基準で設定するものです。

企業の風土や業態に応じた基準をうまく作って、
整理を推進するのがおすすめですね。

整理の基準を明確にし、不必要なものを捨てさることで、
工場も、心も、きれいさっぱりしたいものです。


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(2)整頓(Seiton)
■ 整頓とは?
あなたは、必要なモノを探すために時間を費やしていませんか。
たとえば、次のような状態になっていませんか。

・机の大切な書類が、乱雑におかれている。
・赤ペンや付箋などの文房具が、すぐにでてこない。
・同じ工具が、2つ、3つ・・・、でてくる。
・倉庫の保管品のどれが新しいかすぐわからない。

整頓とは、必要なときに必要なものがすぐに取り出せるように、
置き場・置き方、置く物、置く量を明確にすることです。

これらは、「定位置、定品、定量」と簡単に覚えることができます。
3つの「定」の頭文字をとって、「三定」といいます。

例えば、大切なお客さんが来られるとき、
見えない所にモノを押し込んで、
とりあえず片付いたようにしておくことではありません。

いらないモノを「整理」したあとに、
必要なものが、だれでも、すぐに取り出せて、
必要なときに使用でき、すぐに元に戻せるように管理することが「整頓」です。
整頓は、モノを使用する仲間に対しての思いやりといえるでしょう。

■ 整頓の仕方とは?

<1STEP>
整頓の基本は、「正しい状態(三定)」を明確にすることです。
まず、最初に、「定位置、定品、定量」を現場で決めましょう。

<2STEP>
次に、目標となる正しい状態(三定)に戻すための
ルールを組織で明確にしましょう。

整頓がうまくいかない理由の多くは、
この2STEP目の整頓のルールが明確になっていないことにあります

整頓では、5W1Hを明確にするルールの設定を行い、
ルールを共有し、ルールに従った管理を継続することが必要です。

いつ整頓するのか、(WHEN)
どこに整頓するのか、(WHERE)
だれが整頓するのか、(WHO)
何を整頓するのか、(WHAT)
どのように整頓するのか、(HOW)
なぜ整頓するのか、(WHY)

モノを使用した後は、整頓するのが基本です。

整頓の理由・背景となるWHY(なぜ)をきちんと理解することも、
継続的な取り組みにするためには、かかせません。

整頓を実践することができれば、3ム(ムダ、ムラ、ムリ)が減り
組織として、仕事をより楽に、より効率的に行えるようになります。

さらに、3ムが減れば、時間に余裕がでることはもちろん、
設備の変化、製品の外観の変化などのわずかな変化に気づくことも増え、
しいては、現場での見えない問題点にも敏感になり、
品質改善にも結びついていきます。

■ 現場の整頓の事例とは?
下記でわかりやすく整頓の事例内容について、
説明している動画がありますので、ご参考になれば幸いです。

1)株式会社アスクさん5S動画事例(Youtube)
「具体的な『5S活動』とは?」 品質管理研究所 

・工具の形跡管理、
・作業場、通路、置き場などペンキで色わけ識別管理
・置き場の番地表示(ロケーション表示)による識別管理
・危険箇所の虎マークによる安全管理、
・FIFO(First In First Out先入れ先出し)の在庫管理
・事務ファイルの斜め線管理
・製品の面出し管理

など、現場でできることがたくさんあるはずです。


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(3)清掃(Seisou)
■ 清掃とは?
清掃とは、掃除をして、汚れをとり、きれいな状態にすることです。

小学校では、みんなで掃除をするときは、
どのようにしていたか思い出してみてください。

クラスで、複数の班を作って、交代制で、毎日清掃します。
机の上にイスをあげて、机を下げて、前から後へと清掃しています。

これは、工場で言い換えれば、
組織をつくり、清掃頻度をきめ、清掃する場所を決めて、
清掃しやすく、より汚れがとれる手順を明確にし、清掃することです。
工場でも学校でも、清掃の基本は、もちろん同じです。

こども達が、毎日実施できていることが、
工場の大人が、できない理由などありません。


学校の先生のような存在の指導が必要であれば、

経営者自らが、製造工程を率先して、
パトロールしてチェックすればよいのです。


企業の規模が大きい企業ほど、
経営者が製造現場から遠ざかる傾向にありますが、
ものづくりは、現地、現物、現実の三現主義が基本です。

経営者が工場を定期的にチェックすれば、
現場のメンバーも現場をしっかり清掃し、
自主的に問題点をみつけるようになるはずです。

現場のメンバーが、すみずみまで、掃除していれば、
汚れの発生源や設備故障などの変化点にも気づくことができます。
これは、清掃を通じた、「問題の見える化」です。

汚れをふくめた異常な状態を取り除くことで、現場での汚れだけでなく、
問題を見つけ出し、未然に防ぐことが、清掃の大きなねらいです。

自分が清掃した工程や工場であれば、
できるだけ汚さないように気を使うことはもちろん、
清掃が楽になるように改善する知恵もはたらくでしょう。

非核三原則の「もたず、つくらず、もちこませず。」という3つの原則のように
「汚れがない状態にすること、汚さないこと、汚れを持ち込ませないこと」
を現場で徹底していくことが清掃のさらなるステップアップにつながります。

■ 清掃は、コミュニケーション手段?
清掃は、コミュニケーションの手段としても活用できます。

納期や数量の変更を依頼する営業部門と
必死に現場で対応する生産部門を近づけるために、
定期的に営業マンも製造現場を一緒に清掃を取り組む企業もあります。

日頃、顔を合わせたコミュニケーションの機会が少ない、
営業部門と生産部門の垣根を取り払い、お互いの仕事をスムーズ
に行うための手段として、清掃を活用すれば、一石二鳥です。

現場のことを肌で感じて、理解して、
現場の生産者のみなさんにも融通がきく営業マンほど
お客さんにとって、心強いものはありませんね。


………………………………………………………………………………………………


(4)まとめ
このように、3S (整理、整頓、清掃) をうまく活用すれば、
企業の品質改善、経営改善にもつなげられます。

多くの企業では、生産現場にいる社員のみなさんが、日々の生産に追われ、
他社の現場を見る機会もあまりないことが多く、
3Sについて、どの程度改善すれば良いか、他社と比較したときの
自社の良し悪しを十分認識できていない場合が多いのではないでしょうか。


自社の環境、自社の管理方法だけしか知らないだけで、

他社の取り組みを知る機会さえあれば、
自ら進んで3Sを実践するきっかけにもなります。

経営者や責任者は、企業の底力UP、人づくりのため、
社員に対して、社外の工場の空気を肌で感じてもらうような
教育の機会を与えることも重要ではないでしょうか。


下記は、徹底した3S活動(整理・整頓・清掃)の取り組みを実践されている
枚岡合金工具さんという金型の設計・製作をされる町工場の成功事例です。

■ 枚岡合金工具 株式会社 
 『儲けとツキを呼ぶ3S活動の秘訣』  

3S活動を徹底的に行うことで、経営革新をすすめ、

結果として、工場の見学会を通算300回以上実施されており、
製造業やサービス業(旅館・美容など)2,000社以上、
7,000名以上におよぶ方が、工場見学されており、

3S活動が企業の活性化につながることが、
枚岡合金工具さんのHPで紹介されています。

このような成功事例の工場を実際に見たり、理解することで、
自社との違いを認識し、3Sに取り組むやる気を向上させることも大切です。


11月は、品質のお祭り、品質月間です。

誰でも簡単にできる3Sで、いまいちど
製造現場の足元を固めなおすのもよいのではないでしょうか。




----<あとがき>---------------------------------------------------

『トイレでわかる?3S!』

整理、整頓のきちんと行き届いた多くの企業においては、
トイレを見ると、日常のその整頓状態がよくわかります。

整頓が行き届いた企業のトイレでは、
トイレのスリッパの足跡マークをつけて、
形跡管理をし、チェックシートで定期清掃を行い、
いつもきれいな状態を維持できるようなところまで
配慮が行き届いていることが多いのは、おもしろいことです。

工場監査のときだけでも・・・と、
整理・整頓を工場の現場で徹底しようと
事前努力されている企業もありますが、
なかなかトイレまでは、気がまわらないものです。

監査後に、「実は、前日必死に、3Sやっていたのですよ・・・。」
という後日談も、しばしばお聞きします。

整頓がきちんと社内徹底されていれば、

製造現場では、おさまらない活動へと発展していることから、
トイレを見れば、企業の3Sの取り組みが、
どの程度徹底されているかを推測することもできるのではないでしょうか。

あなたの会社のトイレは、どのようになっているでしょうか。
みんなが共有して使える場所ほど、きっと、3Sや5Sが求められるはずです。


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以上、寄稿文をご紹介させて頂きました。

これからも、品質管理研究所をご覧頂いております皆様に
現場で感じたことをすこしでもお伝えしていければ、うれしく思います!


※このような寄稿の場を与えて頂きました
 シーズーシー有限会社の稲永代表取締役には、お礼申し上げます。

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posted by かおる at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | メディア掲載
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