製品の品質を安定して維持するためには、製品の設計品質はもちろんのこと、
製品をうみだす工程そのもので、品質を作りこむ発想が求められます。
「結果よければ、すべてよし」、結果オーライの考え方ではなく、
その良い結果にむすびつくプロセスにも重点をおき、再現性を高めることが大切です。
では、「工程で品質を作りこむ」とは、いったいどういうことでしょうか。
そのヒントは、次の質問に素直に答えることでみえてくるはずです。
『もし、検査工程がなかったら、あなたは、製品をどのように製造しますか?』

検査員がいない工場で、もし、あなたが製品の加工者なら、何をするでしょうか。
問題がおきないように工程を改善しなければ、全てのクレームをあなたが受けることになります。
そんな状況におかれたとき、あなたが、品質を保証するために加工者として何をするでしょうか。
検査を前提とした加工優先のマインドから、
検査に頼らない品質重視のマインドにかわるだけで大きく発想がかわるのではないでしょうか。

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私も同感です。
製造業の究極は作ったものが全て良品になることです。
極論かもしれませんが、品質管理や品質保証といった部署は本来必要無いと思っています。
しかし、現実はそうでは無いですけどね。
私の会社では検査工程は不良品を選別する工程という考えがまだまだ大半を占めています。
私が勤務している事業所のトップは「品質は工程で作り込むもの」と常々言っていますが、中々この考えが定着しないですね。
悩ましい限りです・・・。
品質管理研究所 かおるです。
最近は、世界で勝負するために、
海外現地からの部材調達で海外生産する動きも強くなり、
これまで日本で実績のあった取引先
から海外の現地ローカルメーカーと共に成長を
図る企業もどんどんでてきています。
そんな現地の新規工場に不足しているのが、
この工程での品質つくりこみの考え方ではないでしょうか。
できるだけ不良を後工程に送らず、
工程ごとに責任をもって、
よいモノを作り上げる姿勢は、
すぐにはみにつきにくいかもしれませんが、
こどもの大切なしつけと同じで、
身につけられるまでしっかりと教育するのも、
親としての役割かもしれませんね。
ある企業では、
装置に顔写真をはって、責任を明確にし、
一人の重要な責任者としての意識をもたせて、
工程管理してもらうようにして、品質の意識を高めています。
また、ある企業では、設備には、
特性の管理値を示す管理図をはりつけることで、
日々の変動をチェックして、不良の発生と連動して、
現場でデータをタイムリーに見直せるようにするなど
さまざまな工夫をして、工程での品質作りこみを実現しています。
社員が、工程品質管理に興味をもてるような
きっかけを提供することが、ポイントかもしれませんね。