2011年08月07日

工場監査の役割とは?

工場監査の役割とは? -品質管理研究所-


製品を造るためには、多くの部品や材料が必要です。

自社の製造工程だけでなく、
サプライヤーさんの供給部材の品質を管理することは、
製品の品質を管理する上でも、大きな課題のひとつではないでしょうか。

工場監査の役割


購入する部材が、優れた設計思想のもとでつくりこまれ、
信頼性試験などの現物での過酷な評価をクリアし、検証されたものでも、

製造工程にばらつきがあれば、残念ながら高い品質を維持することができません。

そのため、部材を生産する際には、実際の製造現場をチェックするために、
工場監査を実施することがかかせないイベント
となります。

工場監査は、部材を使用する立場で、
QC7つ道具であるチェックシートに基づき、

・品質管理の体制が整っているか?
・品質管理のルールがあるか?
・品質システムが、機能しているか?
・作業手順が明確で、指示通りに作業されているか?
・部材の保管管理ができているか?
・出荷検査が適切に実施され、品質が保証されているか?
・5Sが、徹底されているか?

など、

製造現場での品質管理のうえでの基本事項がきちんとできていることを評価し、
現場の問題点を改善し、要求されるレベル以上の品質を保証できるようにします。


ただ、このような監査における評価・改善活動は、あくまで、

そのとき、そのときでの外からの改善活動や評価であり、
継続した自主的なチェックや改善を促すことこそが、大切なことです。


そのため、「向上監査」では、次のようなポイントを大切にしましょう。

・部材が、最終商品にくみこまれて、どんな役割が期待されるのか?
・そのために部材として、どんな管理が求められるのか?
・最終商品になったときに、一般のお客様は、どのようなことを望んでいるのか?
・最近のお客様はどのようなことを望むような傾向があるのか?

部材を製造する立場では、なかなか知りにくいお客様の要望や
その想いを反映するものづくりへの体制確保
など、

直接お伝えして、理解していただき、
問題意識をもって、自主的に改善するように促すことが大切です。


もちろん工場監査では、第三者的な視点からチェックリストで評価し、

現場の問題点を指摘して、その場を少しでも良くするということは、
初期の製品品質を高く維持する上では、大切な活動であることはいうまでもありません。

しかし、工場監査の監査員が、もぐらたたきのように、
現場の品質問題点をその時にいくらつぶしても、
生産していく中で、現場で発生する品質問題に対処し、
改善ができるわけではないことも、十分理解しておく必要があります。


あくまで、改善をするのは、サプライヤーさん自身です。

工場監査では、問題点を指摘することで、その場を改善することにとどまらず、

製造現場での「問題点のポイント」や「管理のきびしさ」の理由や背景を共有し、

・なぜそのような品質管理の必要性があるのか
・どのようなレベルで品質管理をする必要があるのか、

ということを直接共有し、改善を継続していただくことが大きな意味を持っています。

理由なき厳しさは、現場への理解が十分えられず、一過性の改善にとどまってしまいがちです。

サプライヤーさん自身が納得して、自己の問題として捉えていただくことが、
改善を促すための大きなポイントです。

工場監査の役割

また、その改善の意図や背景を理解し、
社内での自主的な活動を効果的に促すために、

工場監査では、サプライヤーさんの下記の主要メンバーに、可能な限り、
ご参加いただけるように事前に調整した上で、実施することがかかせません。

@製品の品質に最終責任をもつ経営層
A製造、設備、品質などの責任をもち権限を委譲された部門長
B実務で責任を担う現場責任者・現場リーダー
C実際に製品をつくる現場作業者、検査者

多くの関係者と直接お話をし、「製品品質に対する自社の考え方」をお伝えして、
どのような品質の製品を一緒に作り上げていきたいかというビジョンをしっかり共有しましょう。


きちんと品質に対する考え方や想いが伝わったとき、
監査の最後には、サプライヤーさんから、

「次は、いつ来ていただけますか?」

という、うれしいお言葉をいただけるはずです。
監査がうまくできたかどうかのひとつの判断基準は、この言葉です。

そんな言葉をくださる企業は、その後も品質問題もない状態で安定生産し、
監査をしなくてもよい高い品質レベルで維持・管理されて、
逆に工場監査から遠ざかる状態となっているのが、うれしい実態です。

「向上監査」では、品質上の目に見える問題の改善に加え、

今後発生する可能性のある目にみえない問題に対しても対処できるように
自主的な改善のきっかけややる気の源をプレゼントしていきたいものです。


工場監査の役割


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posted by かおる at 01:37| Comment(5) | TrackBack(0) | 工場監査
この記事へのコメント
かおるさん、こんにちは。

私の場合、工場監査するより
工場監査される事のほうが多いです。


「工場見学だからそんなに気にしないで」といいながら、何か見つければ指摘されるということもしばしば(汗)油断できないですね。


最近は動作不良の基板が返却され
「調査依頼」というものが多く、
報告書を作成する毎日です。


なかなか原因を特定するのが難しく
調査が進まないのも多々あります。


製造に問題がない事を祈りつつ
「回路の問題だったらな〜」と
ドキドキの調査です。


今日から夏季休暇に突入しましたが、
休み明けの立ち上がりには特に注意が必要ですよね?




Posted by みず at 2011年08月07日 11:20
みずさん

こんにちは、
品質管理研究所 かおるです。

みずさんのように
工場監査を受ける立場であれば、

取引先さんが、工場見学という位置づけでも、
現場で問題点があれば、改善要望されるので、

いつ、どこの現場をみられたとしても、

大丈夫なように
維持しておかなければなりませんよね。


みずさんは、
いよいよ夏季休暇突入ということで

連休明けの品質管理は、
大きな変化点ですので、要注意ポイントですね。

休暇時に、設備をとめる場合、

特に、連続生産しているほうが、
安定して稼動しやすい設備など、
夏季休暇明けの稼動には、要注意ですね。

また、「休みぼけ」という言葉があるように、
検査員については、

休暇明けに、限度見本を再度確認して、
不良モードを改めて、
徹底することも大切なことですね。


回路基板の問題など、
気になることもあるようで心配もありますが、

お休みを活用して、心も体もリフレッシュして、
新たな気持ちで品質改善にとりくんでくださいね!


品質管理研究所 かおる
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年08月07日 19:42
こんばんは、かおるさん。

かおるさんのようにその会社の内情も理解して、監査をされる方にこれまで巡り合ったことがないですね。
私の会社は監査に対してはその場で取り繕う傾向が強いです。
お恥ずかしい話ですけど・・・。
根本的に末端の作業員まで品質意識が伝わっていないの現状です。
これを変えていかないといけないです。
そこで品質強化月間という取組みを製造部と共同ですることにしました。
強化月間というネーミングが適切ではないですが、1個のテーマを取り上げて長期的にそれに取り組み必ず達成させるという内容です。
私の会社は熱しやすく、冷めやすい会社なので、必ず達成させるというのがポイントです。
これまで品質改善プロジェクト的な話はありましたが、悉く中途半端で終わっています。
ですので、笑われてしまうような簡単なテーマをやって(簡単なことが出来ていない会社なんで)、その過程の中で末端まで品質意識を根ざしていこうと考えています。
こういう取組みを他の会社でやっていませんか?また、成功事例などもあれば教えて欲しいです。
Posted by QA課代 at 2011年08月09日 20:42
こんばんは QA課代さん

品質管理研究所 かおるです。


おもしろそうな品質改善取り組みを始められるのですね。


QA課代さんの企業の風土にあわせて、

1つのテーマに絞り、完結させる取り組みは、
今後の大きな底力になりそうですね。

このような部門横断型のプロジェクトの場合、
身近なオーケストラにたとえて、
考えて見るとおもしろい発見があるかもしれませんね。

オーケストラでいう指揮者は、
プロジェクトの推進リーダーです。

リーダーがいなければ、音がきれいにまとまりません。

また、各楽器を担当するメンバーは、
各部門の改善推進者です。

優秀な演奏者がいなければ、
よいハーモニーを奏でることができませんので、
メンバーの選定は、特に成功の鍵をにぎる大きなポイントです。

また、きれいなハーモニーを奏でるためには、
日頃の練習もさることながら、

お客さんや演奏者がのぞむ、よい楽曲(テーマ)の選定に加え、
むずかしすぎる選曲ではなく、段階的に達成感を味わい、
上達できる曲選びをすることも非常に大切です。

そして、なにより、最後に発表する演奏会の場を事前につくり、
オーケストラとしての一体感ややる気を高めておくことが大切なことです。

プロジェクトの場合、期間をきめて、社長などの経営職の前で発表する
日取りを事前に設定し、計画的に推進すると、よりひきしまった活動になります。

品質改善には、終わりがありませんが、
品質強化を図るプロジェクトでは、
達成目標と段階的な達成期限や発表の場を明確にし、
節目管理していくのが、おすすめです。

このような取り組みが安定的におこなわれてくると、
この発表行為自体が、マンネリ化しますので、
発表の場所を変える、時間を変える、外部の人にきて高評してもらう、
外部に発表しにいく機会をもうける、

などの変化をつけるように、各社工夫をされています。


品質管理では、変化は嫌われますが、

このような改善の取り組みを継続させるためには、
人に刺激を与える変化をいかに生み出すかということも、
大切なことではないでしょうか。


一般の成功事例としては、

日本科学技術連盟さんの
QCサークル誌やクオリティマネジメント誌などの
業界紙で、各社の取り組み事例が紹介されていますので、ご参考まで。

下記のHPより、一部閲覧できますので、
プロジェクトを成功させるヒントをぜひ探してみてください。
http://www.juse.or.jp/publishing/635/


品質管理研究所 かおる

Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年08月10日 22:08
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