2011年07月16日

「食」の品質管理とは?

「食」の品質管理とは? -品質管理研究所-


「日本を食卓から元気にしたい」コープの「食」の品質管理の取り組みをご紹介します。

2008年1月に発生したコープ手作り餃子の中毒事件をうけて、

コープネットでは、コープ商品を管理する日本生協連とともに品質管理を強化した経緯があり、
安全や品質管理の強化のためにどのように体制を構築したかをみていきましょう。

【コープ(生協)のおいたち】

コープは、1844年、イギリスのロッチデールの町ではじまり、
「混ぜもののない」「量目にごまかしのない」商品を手に入れるために、
28人の織物工が、苦しいくらしの中から、一年をかけて一人1ポンドを積み立てて
ロッチデール公正開拓者組合をつくり小さな店舗を建てました。
その小さな輪は世界中に広がり、今では7億6千万人の人々が協同組合に参加し、
世界最大の非政府組織(NGO)になっています。
※参照 コープ事業連合HP  より

生活協同組合連合会 コープネット事業連合の公式Youtubeチャンネルより
食の品質管理の考え方が、ふんだんに紹介されていますので、映像でご紹介していきます!



■ 安全・安心の取り組み 品質管理強化編 coopnetwebさん Youtube



食の品質管理のポイントとしては、コープで紹介されている取り組みを
ものづくりの品質管理と重ね合わせて、考えて見ましょう。

【品質管理のポイント】

@商品の品目数を削減と商品担当者の拡充

商品品目数を削減することで、社内管理コストを低減できるだけでなく、
ひとつの製品あたりへの決め細やかな対応がはかれます。

さらに、管理コスト低減分を商品担当者への拡充とすれば、
費用をかけずに、高い品質を維持できることにつながります。

品質を上げるためには、製品品質そのものに着目しますが、
「増えすぎた製品点数の削減」「管理担当者の拡充(組織変革)」
重要な視点ですね。


A工場点検者の拡充(工場点検課の設置)と製品点検頻度の増加

工場内での製品の点検頻度をふやし、検査によるチェックを拡充することは、
その管理強化を、製品製造者につたえることで、より品質の高い製品を出荷するよう
見えないプレッシャーを与え、製品品質の維持を図ることにつながります。


B工場で使用する薬剤の管理強化

製造現場では、工場内では、製品にはならないものの、
工程中で使用される副資材があります。

エタノール、アセトン、純水などは、別の適量な容器にいれかて、
使用しますが、識別管理のために表示ラベルをつけて、
誤使用がないように管理する、適切な量が消費されているかなど
注意を図ることが必要ですね。


C工場の出入り管理の強化  

工場へ外部の人がはいることで、異物や菌などが工程に持ち込まれる恐れが
あることはもちろん、悪意をもったヒトがはいってこないように、
工場の出入りを管理することは大切ですね。

・守衛をつける
・監視カメラをつける
・社員の個人カードによる通門許可制にする
・携帯カメラの写真部分に目張りをする
・社外通門者は、事前申請制度にする

などの防犯上のセキュリティチェックは、どんどん厳しくなる方向にあります。

特に、製品の立ち上げで外部設備メーカーさんや部材メーカーさんの出入りが
多くなる時期は、要注意ですね。


また、工場にはいってくるのは、ヒトだけではありません。

特に、小さな虫も、工場にはいってきますので、
製品に付着しないように、下記のような防虫管理も大切です。



<発生防止>
・周囲のたまり水の除去(産卵防止)
・周囲の草木の除去          

<進入防止>
・扉と窓の開閉ルールの明確化(時間制限)
・二重扉の設置
・換気扇の外の網戸張り
・窓への網戸の追加
・虫の寄りにくい蛍光灯、カバーの追加
・エアーカーテン(見えない空気の壁)の設置 ※シャッターとの連動設置が有効

<除去対策>
・捕虫機の設置
・工程内持込物のチェック(エアブローがけ)
・作業者服装の着替えと入室前の衣服清掃(ころころロールがけ) 


など、さまざまな取り組みを検討し、防虫管理をすることが大切ですね。


D試作品検査、初回生産品検査、年1回以上の既存品検査

製品品質を確保するために、販売前の試作品のチェックはもちろん、
試作品のレベル以上の品質が確保されているかを初期生産品でチェックし、
その品質が維持されているかを継続してチェックする段階的な検査が、
製品品質を維持する上で大切ですね。

特に、自社商品以外の外部購入部品や製品の点検は、
お客さんに安心して購入してもらうために、強化を図ることも必要
ですね。


E産地判別検査

食べ物では、その取れた産地によるおいしさやブランドが、
購買理由になっていることも多く、トレーサビリティが確保できていることがかかせません。

食の品質管理


製造業の場合でも、同様に、
製品の見た目は同じでも、製品の製造場所が違えば、製品の品質は大きくかわります。

特に、同じ企業が製造した製品でも、生産拠点の違い、組織構成や品質管理体制の違い、
製造する機械の種類や古さ、機械の安定性など、ばらつき要因4M1Eの変化をうけ、
品質が変動が大きく変動することをわすれてはなりません。

どこのどの工場のどのラインのどの機械で製造したかということを指定することも重要です。

たとえば、重要部品の工場監査では、ラインごとに認定し、

ラインAを認定していた場合、他のラインBを追加するときは
その都度、自らの目で現場確認し、チェックするという承認プロセスをへることも重要ですね。

F輸入食品の品質管理ガイドラインの作成とチェック(リスクの高い海外食品対応)
コープでは、輸入品のすべての製造日別の検査をするなど、海外のリスクの
高い食品に対して、重点的にチェックされています


製造業においては、海外のお客様と日本のお客様では、品質に対する意識も違うため、
海外では、当然合格となるレベルの品質も、日本では不合格になるということが起こります。

その品質のレベルの差をしっかり伝えるためにも統一した品質管理ガイドラインを作り、
社内レベルの標準化をはかり、社内外に「品質ポリシー」を伝えることが大切
ですね。

G検査担当者と検査機器の増加(残留農薬のリスク低減)
検査を拡充させるためには、そのための検査機器を増加させることは重要ですね。
大きな設備投資が必要ですが、検査員の量と質の拡充もわすれてはなりませんね。

Hサプライチェーンでの各段階での点検や仕様書の強化
食品では、製品の品質管理だけではなく、陳列時の商品の目視確認など
製品がお客さんの口にはこばれるまでのサプライチェーン上での各段階のチェックを強化することも大切です。

食の品質管理


そして、どのような条件で品質管理すれば、問題なく品質を維持できるか、
「仕様書」で具体的に明記し、取り交わしておくことが大切です。

製品を渡す側、製品を受け取る側で、お互いの情報を提示して、管理項目を
明確にすれば、未然に品質問題を防ぐことにつながりますね。


I中国製製品の製造時に立会い確認

海外からの輸入品は、さまざまな食にかかわる問題が提起されていますので、
リスクが高いことを認識して、受入検査を実施するだけでなく、

現場確認を実施して、信頼できる経営者、組織であるかを見極め、
安全、安心の商品をうみだせる工場になっているか自らの目で確かめる必要があります。

現場を確認することは、品質管理の「基本中の基本」ですね。


J事件や事故の予兆管理を行う専門部門の設置
(お客様の声に耳を傾け、情報を一元管理する情報システムの構築)

食べ物は、ひとの口にはいるため、商品のおいしさはもちろんのこと、
安全性や品質が確保されていることが欠かせません。

お客様からの「おなかをこわした」「変色している」などの情報を
吸い上げて、統計的に管理することで、問題の原因を追究ができれば
被害の拡大を防ぐ予兆管理につながります。




■ 安全・安心の取り組み コミュニケーション編 coopnetwebさん Youtube




厳しい品質管理を実践していることは、自社の取り組みとしておくだけでなく、
商品検査レポートの提供を図るなど、情報開示することも必要ですね。

いくら品質管理のための確認をしても、その取り組みが十分伝わらなければ、
お客さまには、安心してもらうことができません。

部品を最終製品メーカーに納入する場合でも、お客様に納得いただけるように
製品の事前の試験検証や評価、初期流動確認、量産時の安定性確認
によるデータ開示を前向きに実施し、安心して、商品を使用していただくために
不安なポイントをお互いに共有し、改善していく姿勢が大切ですね。


お客様に安心して、納得して、購入してもらう「攻めの品質管理」をしたいものです。



■ 安全・安心の取り組み 工場点検編 coopnetwebさん Youtube





食品でも、製造環境のチェックは、重要です。
異物を検出する金属探知機の検出力のチェックの必要性についても紹介されています。

製造業では、

・製品を製造するための製造設備の点検と管理
・製品を自動で検査する自動検査設備の点検と管理
・製品の特性を評価するための測定機器の点検と管理
・製造ばらつきを抑える加工治具そのものの点検と管理


などを現場確認時には、チェックすることがかかせませんね。


■ 安全・安心の取り組み 商品検査編



食品の商品検査を強化されるために、コープさんでは、
下記のような取り組みが実施されているようですね。

・残留農薬や食中毒菌の検査を行う独自の商品検査センサーの設置
・メーカーだけに頼らない独自検査の実施
・宅配で商品が家庭に届いた状態を再現した試験の検査の実施
・新商品の検査、店内陳列商品の検査の実施

特に、店内陳列商品の検査や宅配で商品が家庭に届いた状態を再現する試験は
現場の実環境を考慮したすばらしいチェック方法ですね。


食の品質管理


製造業では、

・出荷前の梱包品をランダムサンプリングし、出荷品を開梱して実施する抜取検査、
・輸送品質の確保のための、輸送振動試験や実輸送試験
・出荷初期に、一定期間使用された製品を回収して、問題点を洗いだす回収点検

などを独自に実施している企業もあります。

作る立場だけでなく、使い手の立場で、
できる限り実環境を考慮した商品検査を目指すことが大切ですね。



■ 安全・安心の取り組み 店舗宅配編 coopnetwebさん Youtube





食卓にのぼるまでの食の安全と品質強化のためにさまざまな配慮がされています。
コープさんでは、下記の取り組みが実施されています。

・商品の段ボール箱の汚れ匂い、しみのチェック
・配達容器の防犯・安全対策
・物流倉庫に監視カメラの設置


食の品質管理


梱包に使用する梱包段ボールの管理、製品を管理する物流倉庫の管理、物流業者などの
社外の協力会社さんの指導も、自社の品質ポリシーに従い、実施することが重要ですね。




今回は、コープの品質の取り組みについてご紹介しました。

業界は違っても、品質を管理する上での基本ポリシーや品質体制は
相通じるものがありますので、他社の良い事例を吸収していきたいものですね。

自信をもって、お客様によろこんでもらえる製品をつくりだすために!



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posted by かおる at 13:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 品質管理 事例
この記事へのコメント
こんばんは、かおるさん。

AQL勉強中です。
それはさておき、食の品質管理ですね。
ありましたね〜、ぎょうざの問題。
具にダンボールを混ぜてるとか、色々な話がありました。
雪印や赤福の話もありました。
品質は時に会社を潰れるところまで追い込むケースもありますね。
特に食品関係は品質や衛生管理が厳しそうです。
とてもコストが掛かってそうなんだけど、実際に売り出している商品の値段はそれ程でも無いところがすごいと思います。
かおるさんの経験上、最も品質管理が厳しい業界はどこになりますか?
やっぱり航空宇宙業界ですか?

Posted by QA課代 at 2011年07月18日 21:57
QA課代さま

こんにちは、
品質管理研究所 かおるです。

食べ物については、
ひとの体にはいるものですので、

品質管理や衛生管理は、
厳しくしなければいけませんね。

また、最近では、安心、安全を保証するために
トレーサビリティがとれるバーコードつきの野菜や
顔の見える果物など店頭で販売される機会が増えているように思います。

わたしたち消費者の目線も
一段と厳しくなっているのかもしれませんね。


特に、品質レベルが、厳しい業界としては、

やはり、ヒトの命にかかわる乗り物、
自動車、新幹線、軍需品などの分野がきびしいように思います。

品質の厳しさに加えて、

異なる業界での品質管理の考え方の違いが、
役に立つことがありますので、

さまざまな業界の品質管理について
これからもご紹介していければ、幸いです。




Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年07月19日 18:25
おはようございます、かおるさん。
今日は先日、休日出勤したときの代休です。

色々な業界の品質管理を是非紹介して下さい。
私は他の業界に中々関わる機会が無いので、他の業界の考え方など知りたいです。

確かに人の命に関わる業界は管理が厳しいですね。
航空宇宙の業界は一般的なISOだけで無く、専用のISOが存在したり、サプライヤー向けのNADCAP?というかなり専門色の強い認証プログラムがあったりしますね。
MIL規格とかも有名ですね。
航空宇宙業界が最高峰じゃないんでしょうか。
でも、医療業界も厳しそうですね。
医療業界の品質管理も知ってみたいです。
Posted by QA課代 at 2011年07月20日 09:49
QA課代さん

こんばんは
品質管理研究所 かおるです。

異業種交流などで
ことなる発想をもっている方に
お会いすると刺激をうけるように、

品質管理でも、
他の業界のよい取り組みや失敗の事例など
から、考え方をまなびとりたいものですね。

最近、医療業界のある企業が、
糖尿病関連の製品で出荷検査が一部
実施されていないまま出荷され、
業務停止命令が出されたことが報道されました。

その原因は、「忙しさ」だったようです。
どこの企業でも存在する
忙しさが理由ということで、

このような出来事の要因を理解し、
気をひきしめていきたいものです。




Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年07月20日 21:55
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