市場の製品の入れ替わりが激しい業界では、製品の開発期間が短くなるなかで、
いかにして品質を確保するかという課題を抱えている
企業も多いのではないでしょうか。
短期間で製品の品質を確保するためには、
製品を構成する部品の信頼性を確保することもかかせません。
新規部品を採用する際は、加速試験を活用し、
より短い期間の中で、部品の長期信頼性を検証していきます。
数多くの部品の信頼性を確保するために、
実使用環境条件を考慮した要求品質を部材メーカーさんに開示し、
既に採用した他の部品と比較できる条件のもとで、
加速試験を部材メーカーさんに実施いただくことがおすすめです。
もちろん、最終製品での加速試験を自社で実施して、
トータル品質を確保することはかかせませんが、部品としての試験も重要です。
部材メーカーさんに協力いただき、試験を実施いただいた結果は、
書面上で、各種の信頼性試験、試験条件、試験時間、試験数、合否基準、判定などが
記載され、「合格」という判定があれば、つい「ほっ」としてしまいます。

しかし、部品メーカーさんに試験をして頂いた場合は、
不思議と良い評価結果がでてくる場合が多いのはなぜでしょうか。
それは、売り手と買い手の立場が違えば、
製品の見方もかわるからではないでしょうか。
売り手の立場では、きちんと設計した製品なので、
問題ないはずだという「確認の位置づけ」で試験をします。
いかに製品を購入してもらうか、
そのために良い情報に焦点をあてやすくなる傾向があります。

一方、買い手は、お客様に販売する前にひとつでも多くの問題を解決して
品質を高めようとする「改善の位置づけ」で試験をし、厳しい目でチェックします。
部材メーカーさんで加速試験を実施する場合には、
この立場の差を理解した上で、結果を正しく認識する必要があります。
試験結果、試験サンプルの作成方法、試験手順と評価測定方法、
試験槽内部の投入状態などの前提条件となる「情報」を確認することはもちろん、
「試験後の現物サンプル」をしっかり確認することが大切です。
ものづくりの基本、3現主義のひとつ「現物」は、加速試験の判定においても重要ですね。
部材メーカーさんが、加速試験を実施し、
実は出したくない試験結果になっていたような場合は、
後出しでサンプルを要望しても、出していただけない場合がありますので、
事前に、現物サンプルを試験後に提出していただくことをきちんとお約束しておきましょう。

特に実績のない海外の新規取引先など、書面上の情報データだけを信用して、
良し悪しを判断すると、痛い目にあうこともありますので、ぜひ注意していただきたいポイントですね。
品質の高い製品をつくるためには、
お互いの信頼関係のもとで、品質のよしあしをありのまま伝え合い、
問題を前向きにとらえ、共に解決していく関係を築きたいところですが、
すべての企業で、そのような対応ができるわけではありませんので、
ひと手間ふえますが、わずかの注意で鋭い品質チェックができる
試験後サンプルの「現物確認」をぜひ活用してみてくださいね!
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