2011年07月07日

「外観検査」は、脳でみる?!

「外観検査」は、脳でみる?! -品質管理研究所-


製品の品質を維持・確認するために、
製品を構成する部材の受入検査、加工品の工程検査、最終製品の出荷検査の
3段階の品質検査が実施されます。

品質検査は、お客様の要望にこたえられるように
個々の製品に応じて、適切な手法を選択する必要があります。

限度見本とドットゲージ

実務上、最もよく実施されている検査は、
人間の感覚を活用した「外観検査(官能検査)」ではないでしょうか。


目視による外観検査は、製品によらず、容易に実施することができ、
機械による自動検査では、判断できないような、
ごくわずかな変化に気づくことができる優れた検査のひとつです。

検査員は、目を通して、感じた外観情報をもとに、
総合的に脳で判断して、合否判定をしています。

つまり、外観検査は、「目でみる」というより「脳で判断する」作業ということになります。

検査で重要なことは、

脳が判断できるような判定基準を明確にし、
検査員などに依存しない安定した検査を行うことです。

そこで、検査での合否判定基準を明確にするために
単に知識として、合否基準を理解しているだけでなく、

(1)外観限度見本 や (2)ドットゲージ などの判断の手助け
となる品質ツールを活用するのが、おすすめです。


限度見本とドットゲージ



今回は、(1)外観限度見本 と (2)ドットゲージについて、ご紹介します。

_______________


(1)外観限度見本
(2)ドットゲージ

   @「ドットゲージ」とは?
   Aドットゲージの特徴
   Bドットゲージの活用方法

_______________



(1)外観限度見本
「外観限度見本」は、製品の良品と不良品の外観の判断基準となる見本です。

言葉や写真だけでは説明しにくい良品と不良品の限度見本をお客様と目あわせし、
お互いが納得した基準として、現場の判定の手助けとなります。


外観検査員が、合否の判断に迷う場合の合否の判断基準として、
製造現場になくてはならないのが、限度見本ですね。

ひらめき限度見本の活用手順については、こちらの記事をご参考に!


■ 限度見本は、官能検査のかなめ? (品質管理研究所)
 
(2)ドットゲージ
外観検査の判定の基準となるものは、限度見本だけではありません。

限度見本のように現物を活用して比較確認する方法だけでなく、
不良対象を定量的に測定できる「ドットゲージ」も活用することができます。

@「ドットゲージ」とは?
「ドットゲージ」とは、

検査で、異物となるような点や、キズとなるような線の形状
がさまざまな面積で表示された基準ゲージです。


■ ドットゲージ

ドットゲージ


※左端の( )の中の表示が面積 mm^2 です。 
 例)(0.05)の場合、0.05mm^2 です。


Aドットゲージの特徴
ドットゲージは、透明なシートのため、
検査の判定に迷う製品の外観不良部に直接のせて、
寸法や面積を比較確認することができます。

ノギスのように金属部を接触させたりして、傷をつける心配もなく、
やわらかい透明のペットボトルのような素材のため、
検査による損傷もなく、安心ですね。

また、「ドットゲージ」は、
現場で活用できる手のひらサイズのもので、

毛のような形をしたものなど、さまざまな形状の各種ドットが、
微小面積ごとに区分されて表示されていて、
まさに、現場の検査での判定に活用できる実践的なツールといえます。


Bドットゲージの活用方法
一般的に、製品の取引開始時には、納入仕様書が締結されます。

納入仕様書の中の外観項目には、
広く不良をカバーするために、定性的に、
品質上影響をあたえる「異物なきこと」「きずなきこと」「欠点なきこと」「異常なきこと」など、
あいまいな表現で、記載されることもありますが、


欧米などの海外との取引では、日本的な表現が許容されにくいため、
要求仕様が受け入れられにくいこともあります。

そんなときは、外観不良モード(キズ、異物、しわなど)別に、
合否の基準を定量的に具体的に記載します。

厳密に基準を設定するとなれば、

外観不良の項目別に不良内容を図示して、
外観不良の寸法(縦、横、高さ)、面積を、
製品の不良の発生場所ごとに、細かく定義することになります。

限度見本とドットゲージ


しかし、不良の外観は、いびつな形状をしたものも多く、
実際に本格量産しないとわからない場合も多いのが実情です。


ですから、想定される形状を記載はしつつも、
面積などを表記し、広範囲の外観不良形状をカバーする場合があります。


そんな品質基準を設定したときは、製品にキズをつけずに、
面積を比較できるドットゲージを活用し、合否を判定するために使用します。

上記のドットゲージの写真をみていただくと、
ドットゲージの左端についている( )の中が、面積を表示していますので

現物の製品の不良箇所に、ドットゲージをのせて、
すかしてみれば、その面積を比較することができるのがわかります。

客観的なゲージをもとに面積を推定すれば、
検査員の力量によらず的確に判断することにつながります。


このようにドットゲージは、製品の外観不良を面積(寸法)で測定し、
合否判定を行う上での基準として、活用すれば、より精度の高い品質チェックが実施できます。


ひらめき外観検査は、「脳でみる」検査です。

客観的に検査をおこなうための判断基準を明確にした上で、

判断を補助する限度見本やドットゲージを活用し、
ばらつきのない外観検査を実現したいものです。



【関連記事】
検査で品質は上がらない!?
検査員は、だれがなる?
限度見本は、官能検査のかなめ?
外観検査に適切な照度とは?
試験データはうそをつく?
品質不良と検査時間
品質検査員の検査ばらつきとは?
実務で使える抜取検査とは?
ドットゲージの入手方法とは?
限度見本の承認ラベルの作り方とは?
品質管理研究所サイトマップ
posted by かおる at 21:19| Comment(8) | TrackBack(0) | 限度見本
この記事へのコメント
こんばんは、かおるさん。
外観検査はとても優れた検査方法と思います。
人間の感覚はとても優秀で機械には検出出来ないものも検出出来ます。
ただ、人間がする検査なのでメンタル面や体調、経時的な目のズレなどが起こるので、優秀ですがその半面不安定な側面もありますよね。
外観検査は奥が深いです。
ところで話は全く変わりますが、教えて欲しいことがあります。
抜取り検査の抜取り数を決める指標でAQLってありますよね。
母数の選択は分かるのですが、合否判定の基準を決定するAQL(合格品質水準)の算出の仕方が分かりません。
どうやって算出したら良いのですか?
教えて下さい。
Posted by QA課代 at 2011年07月07日 23:26
QA課代さん

こんにちは
品質管理研究所 かおるです。

AQLについて、JISに詳細内容が記載されていますので、取り急ぎご参考まで!

JISのHPへアクセスしていただき、
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html

「JIS規格番号から検索」のところに、

 「Z9015」と入力していただくと、

下記の4項目が抽出されてきますので、
詳細な内容が、説明されていますので、
ご参考にしていただければ幸いです!

JISZ9015-0
計数値検査に対する抜取検査手順−第0部:JIS Z 9015抜取検査システム序論

JISZ9015-1
計数値検査に対する抜取検査手順−第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式

JISZ9015-2
計数値検査に対する抜取検査手順−第2部:孤立ロットの検査に対するLQ指標型抜取検査方式

JISZ9015-3
計数値検査に対する抜取検査手順−第3部:スキップロット抜取検査手順


AQLについては、奥が深いので、
また、別の記事でご紹介できればと思います!


Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年07月08日 07:20
こんばんは、かおるさん。

参考資料の情報提供ありがとうございます。
普段からよく迷うのは抜取検査数です。
過去の知見からこれくらいの数を見れば、大丈夫かなぁ・・・で決めています。
でも、本来は統計学に基づいて「これくらいの母数なら抜取数は何個だね」みたいに論理的に抜取数を決定したいと思っています。
物性試験、外観検査などで使える抜取検査数の決定はやはりAQLなんでしょうか?
それとももっと簡易的にかつ、統計的な抜取検査数決定方法があるのでしょうか。
教えて下さい。
Posted by QA課代 at 2011年07月08日 22:55
QA課代さま

こんばんは
品質管理研究所 かおるです。

抜き取り検査について、
下記の記事にまとめましたので
ご参考になることがあれば幸いです。


■ 実務で使える抜き取り検査とは?
 (品質管理研究所)
http://quality-labo.sblo.jp/article/46678087.html

統計的に、高い品質基準の抜取検査を行うと、
抜取サンプル数が多くしなければならず、
全数検査になってしまうということが起こりえますので、
抜き取り検査のサンプリング数は、非常にあたまをなやませるところですね。

ご質問にありました、
物性試験は、AQLというより、
破壊検査になりやすいため、
出荷検査頻度に応じて、
品質の一定性を事前に確認した上で、
コストを鑑みて、適度な頻度を設定して
実施している企業が多いように思います。

また、外観検査の場合は、
基本簡易に検査ができるだけでなく、

外観は製品の顔ですので、
業界とはず、全数検査で保証している場合が多いのが現状ではないでしょうか。


Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年07月10日 23:02
こんにちは。

ドットゲージで検索をかけたら、とてもいい場所にたどり着きました。
私は、品質管理担当者です。
ドットゲージはどこのメーカーから購入できるのでしょうか?
理化学機器の代理店から購入できるものでしょうか?
ご回答よろしくお願い致します。
Posted by pin at 2011年07月29日 19:36
Pinさん

こんにちは、
品質管理研究所 かおるです。

ドットゲージについて、お探しということで、

下記の記事で、ドットゲージの入手方法についてご紹介いたしましたので、ご参考にして頂ければ幸いです。

■ドットゲージの入手方法とは?

http://quality-labo.sblo.jp/article/47035062.html



品質管理研究所 かおる
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年07月30日 12:47
はじめまして
OEM元の品質管理をしている者です。

キズや汚れのある商品に対し、受入れの際の判断基準がないかと調べていたところ、このページにたどり着きました。
サンプルとしてOfficeted社の カードサイズドットゲージ購入する事になりました。
これから合否の判定基準を検討しなければならないのですが、参考となる指標等は無いのでしょうか?
既に活用されている企業はどの様に運用されているのでしょうか? 事例等がありましたら教えていただけたらありがたいのです。

よいサイトに巡り合う事ができ、いろいろ勉強させていただきたいと思います。
現在少しずつですが、初めから順を追って拝見しており、とてもためになっております。
よろしくお願いいたします。
Posted by サンリ at 2012年07月12日 18:57
サンリさま

はじめまして
品質管理研究所 かおるです。

サンリさまの参考になる記事があればうれしい限りです。

■ 記事の一覧が見られるサイトマップはこちらをどうぞ!
http://quality-labo.sblo.jp/category/996299-1.html


ドットゲージの活用を図るためには、
その基準となる製品仕様の中で、
外観基準を明確にしておくことが大切ですね。

ゆるすぎる基準は、お客さんを満足させられませんし、
厳しすぎる基準は、必要以上のコストを発生させる恐れもあります。

ご質問いただきました参考となる検査の指標については、
その製品を使われるお客さんが望まれるレベルを想定しなければならないため、
製品個別に考えることが求められます。

もちろん、お客様の視点も大切ですが、作る側の視点も忘れてはなりません。

製造工程中で、製品のどのような部分にどんな不良が出ているかを現物確認して、
不良モードと不良の理由などを明確にして、製造先での実態を把握するのがおすすめです。

この場合、軽微な不良を含め、多くの不良が流出せずに、
工程内検査で除去されているはずなので、
納入された製品では、見えにくい不良をお互いに認識することが大切ではないでしょうか。

このような工程内不良を網羅し、
その他、一般に想定される外観不良項目を抽出して、
その不良を数値でおきかえた基準をつくったうえで、
ドットゲージのような比較基準を活用することがおすすめです。

キズ、クラック、カケ、汚れ、バリ、異物付着、寸法不良など、
様々な不良モードの解釈にも間違いが生じやすいので、
模式図や写真などで一覧表をつくっておくことがおすすめです。

さらに、このように一覧表にされた基準は、仕様書にも盛り込んで、
製品の要求事項として、お互いに明確にしておくことも大切ですね。

Posted by 品質管理研究所 かおる at 2012年07月17日 08:02
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/46602665

この記事へのトラックバック