部品の製造現場では、
4M(Man、Machine、Material、Method)のばらつきにより、
工程内不良が発生しています。
その不良の一部が、検査の過程でもれてしまい、
製品工場に納入され、納入不良として報告されてしまうことがあります。
納入不良の発生経緯を探ってみると、
現場でのさまざまな人間ドラマがみえてきます。
そんな納入される不良一つ一つについて、
日々、不良内容、その原因と対策を確認し、
妥当性や有効性を確認させて頂いているなかで、
製造するものが異なる企業であっても、
問題が発生しやすい共通点があることに気づかされます。

より高いレベルで品質を管理するために、
現場でどのようなことに着目すればよいでしょうか。
製造現場で連続的に発生する傾向的な品質不良は、
かたまって発生しやすく、検査でも発見しやすいのですが、
突発的な不良については、
単発で発生するため検査でも、確認がもれやすい傾向にあります。
そのような突発的不良を生む要因は、製造中の「変化点」です。
この変化点を管理することが、
納入不良を ppm(1ppm=1個/100万個)オーダーという品質レベルで改善をするポイントになります。
製造現場での日常の変化点には、下記のようなタイミングがあります。
@設備の緊急停止時
A勤務交代時
B業務休憩時
C食事休憩時
D作業停止時
E作業開始時
F作業場を離れる時
G不良発生対応時
H部品補給時
I設備調整時
J管理者に声をかけられた時
このような変化点では、
他の事象に意識が集中してしまうあまり、
本来業務への注意が散漫になってしまう傾向があり、
要注意していただきたいポイントです。
たとえば、変化点管理の事例として、
機械の故障や不具合の発生で、緊急的に生産ストップさせたときに、
現場を復旧するために気をとられ、手に持っていた仕掛品の取り扱いが不十分となり、
未加工のまま、次工程ながされ、不良が流出してしまうことがあります。
このような変化点のリスクを認識し、
製造設備の緊急停止時の仕掛品の取り扱いルールの明確化と教育、
仕掛品置き場の設定と識別管理の徹底、工程飛ばし防止機能の検知治具の追加、
など、未然に対策を講じることが大切です

また、機械を緊急停止させるために、急いでとめた結果、
誤って、違うボタンをおして停止させてしまい、
おもわぬところで、製品に傷が入り、
突発的な不良が発生するといったこともありますので
製造設備の緊急停止時の製品に与える影響の事前評価と工程のつくりこみ、
緊急停止ボタンの明確化と他のボタンがおせないようなボタンカバーの設置、
緊急停止後前後の製品の再検査ルールの明確化と教育、
など、通常作業とは異なる変化点でのルールづくりと事前の教育が大切ですね

生産立ち上げ時には、このようなポイントには、気がつきにくいものです。
製造業とは、違いますが、東日本大震災において、
夢の国「ディズニーランド」での地震発生時の対応のすばらしさに
見習うべきポイントがあるように思います。
9割以上がアルバイトといわれるキャストさん(従業員)の迅速かつ
柔軟な対応のすばらしさについて、本当に驚かべき対応力です。
■ 再び余震発生、キャストの落ち着いた対応、揺れる照明 @ディズニーシー
HOTD2010さん Youtube
■ 東京ディズニーランドの地震発生時の様子
bounonushiさん Youtube
「全てはゲスト(お客さん)の安全と安心のため」という
ディズニー哲学が、キャストさんに浸透しているとともに、
地震発生時の避難訓練を、年に180回も実施しているという驚きの事実があります。
(2日に1回程のペースで実施していることになりますね

まさに、変化点を予期した事前の心構えと訓練による賜物なのではないでしょうか。
そんな意識の高い対応を、製造業でも見習わなければなりません。
私たちの製造業は、ディズニーランドのように夢の国ではありませんが、
夢のある製品を生み出す製造工場です。
お客様の安全と安心を第一に考え、変化点となるポイントを抑え
安定した品質のものをお客さんに提供していきたいものです

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TDLのキャストへの教育方法みたいな話については確か本が出ていませんでしたか?
私はまだ読んでいませんが、この本を読まずともTDLの教育方法は評価が高いみたいですね。
これは私が想像するに「経営トップの想い」が形を変えずに末端まで伝わっているのではないでしょうか。
これって中々難しいと思いますよ。
むしろ、そんなこと本当に出来るの?と思います。
でも、TDLではそれが出来ているんですよね。きっと。本当に凄いと思います。
ディズニーランドのすごさについては、
本でも出版されているほど、
見習うべきポイントにあふれていますよね。
QA課代さまのおっしゃるとおり、
なかなかまねのできないことですね。
企業としての理念の浸透がはかられれば、
どれだけ強く、そして、お客さんに愛される
企業になるかよくわかりますね。
数少ないそんな理念ある企業を、
これからも応援したいところですね。