2011年04月17日

品質目標とは?

品質目標とは? - 品質管理研究所 -

日本企業の多くは、
年度のはじめとなる上期の始まり4月や下期の始まりである10月に

前年・前期の品質状況を総括し、
新たな品質目標を設定するタイミングとなります。

今回は、改善活動の旗印となる「品質目標」について考えていきましょう!

_____________________

<品質目標について>

(1)品質目標とは?
(2)具体的な品質目標とは?
(3)品質目標の重要性
(4)品質目標の落とし穴
   @数値であらわれない5感で感じる情報も大切に!
   A品質目標は、具体的に何をしめしているのか?
(5)達成可能な目標設定
(6)目標の達成のために

______________________



(1)品質目標とは?

 品質目標(Quality objectives)は、その企業独自のDNAである経営理念、経営信条
そして、品質方針にもとづいて掲げられる品質に対する指標です。

お客様に対してのあるべき姿を実現するための具体的なターゲットです。

品質目標は、その達成度が、測定可能であることがとても大切です。

具体的な数字で表現された定量的な目標を設定することで
日々の改善状況をフォローし、PDCAのサイクルをまわすことで、
真に価値のある活動になっているか見直しをかけることができます。

ISO9001 (品質マネジメントシステム)を取得する企業では、

品質方針にもとづく品質目標が設定されていますが、
ISO9001の有無にかかわらず、実務上、非常に役にたつものです。


(2)具体的な品質目標とは?

「品質目標の例」としては、どんな指標があるでしょうか。

品質目標は、品質(Quality)にかぎったものではありません。

品質に密接にむすびついているコスト(Cost)納期(Delivery)にかかわる目標や、
顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)などに
関わる目標なども含めて、設定することが大切です。

【品質目標の例】
・工程内不良率〇%以下 (Quality)
・工程内手直し率〇%以下 (Cost)
・納期遵守率〇%以上 (Delivery)
・市場不率〇ppm以下 (CS)
・市場クレーム発生件数〇件以下 (CS)
・社員定着率〇%以上 (ES)

ものづくりにおいて、
日頃みなさんが大切にされている項目ばかりです。


(3)品質目標の重要性

 企業の品質目標は、いわば、飛行機のコックピットの計器指標です。
企業は、「空を自由にとぶ飛行機」のようなものです。

経営者は、企業という「飛行機を運転するパイロット」として、

飛行がみだれないようにコックピットの計器をみて、

現状の状況を客観的に把握することがもとめられます。
その計器で示される指標こそが、まさに「品質目標」といえます。

企業経営とフライト


現状の品質状況を正しく把握できるような品質の指標を設定し、
常に安定した飛行を維持し、お客様を目的地に送り届けることが大切ですね。

安全な飛行をする上で不可欠な指標となれば、
どれだけ指標が大切であるか容易に理解することができますね。


(4)品質目標の落とし穴

@数値であらわれない5感で感じる情報も大切に!

 飛行機(会社)において、数値(品質目標)で具体的に表示される計器ばかりに注目してしまうと、
飛行機の窓から見える外界の天候や気流の変動状況(市場や製造現場の状況)を見逃してしまいますので、

客観的な計器で確認できる数値(品質目標)に加え、
外界の状況を見て、五感で感じ、複合的に判断して

安定性を維持向上させることが重要ではないでしょうか。

企業経営とフライト


そのためには、数値で表される「品質目標」だけではなく、
『三現主義』でものづくりの「現場」で「現物」を確認し、
「現実」を把握する基本をわすれてはなりません。

数値では、あらわれにくい情報や、見えにくいものにこそ
価値があることもくれぐれもわすれずに!

企業経営とフライト


A品質目標は、具体的に何をしめしているのか?

計器に表示される品質目標の数値は、測定可能である
ことが大切ですが、具体的に何を測定しているのか、
その指標の定義を明確にすることが重要です。

たとえば、市場クレーム率であれば、
そのクレームの定義があいまいであれば
正しく現状を把握することができなくなります。

お客さまからのクレームには、

「製品本体の不具合クレーム」に加え、

「納期遅延に対するクレーム」、
「輸送業者さんのミスによる配送クレーム」、
「故障修理サービス対応に対するクレーム」、

などがありますし、

ときには、

「お客様の間違った使い方による故障クレーム」

もあるでしょう。

品質を維持向上するために、クレーム率の中には、
どんな内容をふくめるべきか言葉の定義を明確にして、
測定できるようにすること
が大切ですね。

企業経営とフライト

どのようなクレームが、数字にあらわされていないのか?
どんなクレームをきちんとクレームとして認識すべきなのか?

数値を見る経営者や品質責任者が明確にし、
必要な情報を正しく吸い上げる体制をつくりあげることにも配慮することが必要ですね。


(5)達成可能な目標設定

 目標設定をする際には、自社の現状を理解し、達成可能な目標を設定することが大切です。

 
工場監査をさせていただくと、

「クレームゼロ」

という高い目標掲げている企業もありますが、

そんな企業ほど、実際にクレーム率を測定しておらず、前年度と比べ
何か新しいことを具体的にやっているわけではなく、

目標を立てることが目的となり、
「絵に描いた餅」になっている場合がみうけられます。


企業経営とフライト

もちろん品質方針として、クレームゼロを目指して、
本当にものづくりに望む姿勢があればうれしいのですが、
現実的には、目標を新年度に掲げているだけで
形骸化している場合が多いように思います。

クレームの件数を着実に減らしたいのであれば、

目標設定値は、前年度の結果から、
10%DOWNで設定するなど達成可能な指標にする必要があります。


成果に結びつかない目標設定にならないように注意が必要ですね。


(6)目標の達成のために

 会社としての品質目標は、さらに具体的に実現するためには、

 品質保証部や技術部や生産部、購買部など関連部門に数値目標を反映させて、
さらに具体的な個別の目標に落とし込み、さらに現場の担当責任者が
期限とアクションアイテムを明確にして、周囲を巻き込んで推進をしていくことが必要となります。

企業の品質目標を社員全員で推進するためには、
以下のような取り組みが各社で実際におこなわれています。

@部門や個人の業務目標シートに品質目標を含んだ項目を明記する。
A品質目標に基づく個人カードに個別の品質目標を記入し、携帯する。
B品質目標を工場内、事務所、会議室に掲示する。
C工場内のパソコンのスクリーンセーバーに品質目標と達成状況を定期的に流す。
D経営者自らが、全体に対して、品質目標と達成状況について報告・共有する。
E定期的な品質会議で品質目標の達成状況について継続的にフォローする。


ひらめき品質目標が、社員のみなさんのやる気の源になるよう、
手段として、うまく指標をつかいこなして頂ければ、うれしい限りです!


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posted by かおる at 17:59| Comment(12) | TrackBack(0) | 品質目標
この記事へのコメント
かおるさん、こんにちは。
品質目標の作成といっても、色々なポイントがあって奥が深いのですね。
まだまだ、品質目標を作成する立場ではありませんが、今後、そういう立場になったら今回の件を参考にしたいと思います。

ところで質問です。
品質目標の例で「納期遵守率」とあります。
これはどうやって算出するのですか?
年間の納入遅延した回数を年間納入回数で割り返せば、納期遵守率となるのですか?
教えて下さい。
Posted by QA課代 at 2011年04月19日 11:57
QA課代さま

ご質問ありがとうございます。


納期遵守率については、

お客様と約束した納期に納入できた回数/実際に納入した回数

です。


記事では、

「納期遵守率〇%以下」と記載していましが、

目標ですので、

「納期遵守率〇%以上」という表現が、

正しい表現で、誤った記載をしておりましたので、修正させていただきました。

間違いを教えて頂き、
ありがとうございました!



品質管理研究所 かおる








Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年04月19日 18:45
こんばんは、かおるさん。

なるほど!
そういう算出の仕方をするのですね。
勉強になります。
しかし、初めて聞きました「納期遵守率」という言葉を。
確かにこういう数値表現もあって当たり前ですね。
自分の知識の無さが情けないです。
かおるさんはこの豊富な品質の知識をどうやって身につけたのですか?
やっぱり独学ですか?
それとも経験ですか?
品質の知識を深めるためにはどうしたら良いですか?
かおるさんのブログが一番実践的で、良い勉強材料になっていますが、偏った品質の知識しかないので、もっと高い視点で考えることが出来るようになりたいです。
質問出来る内容も限られてしまいますね(笑)
何か、良い資料、もしくはこういう本を読めば?というものがあれば、紹介して下さい。
Posted by QA課代 at 2011年04月19日 23:31
こんばんは、かおるさん。
はじめましてQA課代さま。

私も「納期遵守率」を初めて聞きました。
今まで製造にいながらこの言葉は聞いたことなかったですね。

「納期間に合ったね〜」とか
「納期厳しいからあと2日何とかならないか」とか
「宅急便の集配時間に間に合わないから持込だー」とかは耳にしましたが。

結果、間に合っていればOK 的な現場でした。

納期に対する考えも「品質」なのですね。

私もQA課代さん同様に品質の知識を深めていきたいです。

このブログのリンクから「QC検定」なるものを見つけました。どうやら4級が新入社員やこれから品質管理に関係する方など、基本的な考えを主としている級のようでしたので、4級を勉強してみようかと思います。
Posted by みず at 2011年04月20日 22:13
QA課代さま

いつもありがとうございます
品質管理研究所 かおるです。

幸せなことに、私の周りには、
現場でたくさんのことを気づかせてくれる方々がおり、
恵まれた環境で仕事をさせて頂いています。

社外では、仕事に誇りをもつ熟練の製造技術者や
品質管理者とお会いすることも多く、役に立つ考え方は、
現場で勉強させて頂いた場合が、多いように思います。

失敗の数だけ学びも多いですね・・・(笑)。

ちなみに、「納期遵守率」についても、
現場から教えて頂いたことです。

参考になる資料ということで、
品質の知識の本はもちろん大切ですが、
考え方をひろげくれる本を読むのもおすすめです。

特に品質保証部門の立場では、さまざまなひとに働きかけ
協力してもらうことが必要であり、組織や人との関係性を
大切にする本が役に立つのではないかと思います。

■ 影響力の法則 〜現代組織を生き抜くバイブル
アラン・R・コーエン デビッド・L・ブラッドフォード

■ 主体的に動く(アカウンタビリティ・マネジメント)
ロジャー・コナーズ トム・スミス クレイグ・ヒックマン

また、発想を豊かにする上では、様々な分野でのトップレベルの方の
考え方にふれるのがおすすめです。

下記のWEBサイトが特におすすめです。

短時間のプレゼンの中で伝えたいことを凝縮して、わかりやすく教えてくれます。

優れているがゆえに、世界各国のボランティアの方が
日本語に訳されているような、すばらしい動画です。

■TED

ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/dan_pink_on_motivation.html


わたしも、日々勉強中ですので、
みなさんと一緒により深く、様々な考え方について
学んでいければうれしい限りです!
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年04月20日 23:06
みずさん

こんばんは、
品質管理研究所 かおるです。

納期を間にあわせるために、

応急対応すると現場に負担もかかり、
品質にも影響がでてしまうため

できるだけ安定した計画生産が
できるのがのぞましいですね!

お客様からの要望に応じて、
現場対応する場合も多いので、

製造部門と販売部門との
密な連携ができているかが大切ですね。


QC検定は、品質に体系的に学べるので
段階的に学習する上ではおすすめですね。

品質担当者だけでなく、技術部門でも
積極的に取得するように取り組まれている
企業も多くありますね。


4級については、

すでにご存知かもしれませんが、

学習教材となるテキストが公開されていますので下記のページをご参考にしてみてくださいね!


______________________


■4級テキスト 日本規格協会
 
 【2010年第2回(2010年9月)以降のQC検定を受験する方】

http://www.jsa.or.jp/kentei/qc/qc-5-1.asp

 4級用テキストは品質管理検定(QC検定)の4級を受験しようとする方が一人で学習できるように作られています。4級の試験はこのテキストが試験範囲となりますので、このテキストで品質管理の基本を学び、是非4級にチャレンジしてください。

______________________







Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年04月20日 23:34
こんばんは、かおるさん。
初めましてみずさん。
このブログで私以外のコメント見るのは初めてです(こんなことを言ってかおるさんに怒られそうですが・・)。
早速、本やリンクの紹介ありがとうございます。
この2つの本は自己啓発系の本ですか(タイトルから想像すると・・・)?
自己啓発の本は結構好きでよく読みます。
よく読みますが、全然、自己啓発出来ていないです・・・。
最近、読んだ本は池上彰さんの「伝える力」です。
かおるさんは読んだことありますか?
相手に何かを伝えようとする場合、その伝える内容の本質を理解していないと伝わらないとか、文章を書く際にこの言い回しは使わない方がよいとか、書いてありました。
あと、話題の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を 読んだら」ですね。
単純に本として面白かったですし、ドラッカーの本を購入してみようかなと思いました。
また、他にも良い本があれば、紹介して下さい。
Posted by QA課代 at 2011年04月20日 23:39
QA課代さま

QA課代さまのナイスコメント
ありがとうございます(笑)。


品質について、
興味をもっておられる方々からも
Mailでもお返事いただくこともあり、

みなさまなのお役にたてることが、
大変励みになっております!


QA課代さまの「伝える力」については、
まだ、よんだことがありませんが、

良い本にめぐりあえることは幸せですよね。


ある分野のプロが、
人生をかけて、学んだこられたことを
おしみもなく披露してくださっているので、

本の楽しさに目覚めたら、
時間を忘れるほどですね。


ちなみに、
今回ご紹介した2冊の本は、
「組織論」の分野の本です。

社内外の組織をいかに巻きこんで
楽しく仕事をするか日々勉強中です。


自己啓発の本であれば、

「思考は現実化する」ナポレオンヒル

がおすすめですね。

これまで成功してきたといわれてきたような
先人のよい考え方が、盛りだくさんです。

何度も読み返せるすばらしい本のひとつですね。



品質管理研究所 かおる

Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年04月21日 20:27
海外生産の品質管理のあり方について聞きたいですが教えてもらえますか?
Posted by さい at 2013年02月03日 22:37
さいさま

こんにちは、品質管理研究所 かおるです。

海外生産での品質のあり方を考える場合、現地の工場でつくられた製品が、どこの国のどのようなお客様につかわれるかという視点が
大切です。

現地で生活している方が製造する品質に対する考え方と別の国のお客さんの品質に対するのギャップをいかに埋めていくかが、目標設定において、非常に大切なことです。

品質管理上のポイントはたくさんありますが、
まずは、お客さんはだれかという基本に根ざすことが大切ではないでしょうか。

さいさんが、海外生産の品質管理において、具体的にどのようなところで試行錯誤されているか、もし、気になる点があれば、教えていただければ、幸いです。

品質管理研究所 かおる
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2013年02月04日 07:29
品質目標を具体的になににするか悩んでいます sy
Posted by at 2014年05月14日 11:05
syさん

特に、ものづくりの場合の品質目標であれば、

シンプルに、「部材」、「工程」、「市場」という
3つの切り口で不良率を算出して、
品質改善に役立てていくのがおすすめですね。

実務運用上、みなが、品質目標を理解して、改善するために、わかりやすい指標であることも、考慮したい大切なポイントですね。

品質管理研究所 かおる
Posted by 品質管理研究所 かおる at 2014年05月20日 04:40
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