2011年02月12日

発想の転換?グローバル品質!

発想の転換?グローバル品質! -品質管理研究所-


製造業において、グローバル化がすすみ、
多くの工場が海外にでて、現地生産をしていくことが求められています。

ユニクロや楽天は、グローバル企業になるために

社内公用語として英語を導入すると発表するなど、
そのグローバル化への動きは、さまざまな業界で、広がりをみせています。

グローバル品質

日本の製造業も、グローバル展開にあたり、
地産地消で、現地の企業から、直接、部材や部品を購入して、
現地の工場で、効率よく、より低コストで、
かつ高品質の製品を生産していくことが求められています。

そのためには、海外現地の部材メーカーさんとの言語のかべをのりこえ、
現地の優秀な人材の力をいかし、要求した品質を継続して確保できる
企業の品質体制や品質思想の伝心が重要
となります。

日本企業から海外現地生産へ展開し、日本の技術者が日本流の品質の
考え方を現地工場にも根付かせている場合は、
品質上の問題は少なく、問題が発生したときの品質改善もスムーズに進みやすいものです。

しかしながら、海外現地資本の企業で、品質管理が十分でない場合は、

これまでの品質状況でどうにかなった独自の体験もあるため、
容易に品質に対する要求や改善が進まない場合も多いでしょう。

日本では、当たり前だとおもっていることが、
海外現地の現場では、通常のことでないこともしばしばです。

そのような海外企業とともに成長するためには、
そのような品質に対する考えの違い、品質要求レベルの違いをしっかり共有し、
コミュニケーションを図ることが、なにより大切になります。


以下では、日本と海外の製造メーカーの不良に対する対応の違いを例に考えてみましょう。


■ 不良に対する対応の考え方の違い 

【日本の企業】

日本の企業では、お客さまに納入する製品が100個のとき
製品不良がひとつでも発生しないように現場をきびしく管理し、
細心の注意を払って、良品のみを100個納入するように努力します。

終わりなき品質の改善が現在の日本の製品の高い品質を築いてきたといってもいいかもしれません。


一方で、中国のある企業でのこのような対応を理解できるでしょうか。

【中国のある企業】

中国のある企業では、品質不良がでないように改善はしつつも、
ある程度の比率で発生することはしかたないとして、

不良発生数を見込んで、納入する製品は100個であっても、
製品100個+不良発生想定数 という形で、おまけのように多く納入します。

不良が発生して、代納という形で、追加で個別輸送し費用がかかるくらいなら、
はじめから不良を想定して、大目に入れて、事前に対応してしまうという発想です。

不良をゼロにする努力のためにかける追加費用とお客様に代納する費用を
天秤にかけたとき、代納するほうがお得なのであれば、
最初から多くいれておくということなのでしょう。

どこの国だから、こうときめつけるのはもちろん、よくありませんが、
さまざまな考え方があることを認識することが大切ではないでしょうか。

<品質に対する2つの考え方>
@ 品質不良が発生することを許容しないで、信頼を重視する実直な考え方
A 品質不良が発生することを前提に事前に多く納入対応する柔軟な考え方


果たして、今後、世界のお客様に受け入れられていく考え方は、どちらでしょうか。

生産者とお客様との間で、企業の品質に対するスタンス、考え方にずれがなければ、
どちらの考えも受け入れられるかもしれませんね。


その考え方の違いが、取引の際に、十分理解されていない場合、
取引開始後、日本では、大きな問題になりますので、とくに注意しなければなりません


グローバールリーダーと品質


もちろん、品質に対する考え方の違いのほかにも注意しておきたいポイントがあります。

ISO9001の国際規格に対する認証対応と実際の品質対応状況の差異にもぜひ注意したいものです。

第三者に認められているからといって、
それがすなわち品質管理が優れていることを保証しているわけではありません。

現在では、グローバルに活躍したいとおもう世界中の製造業の多くが、
ISO9001(品質マネジメントシステム)を取得しているといっても言いすぎではないでしょう。

しかし、ISO9001の品質システムを構築していても、
不良を許容した対応をする柔軟な考えをもっている企業や、
品質管理の書面上の仕組みと実際の運用がマッチしていない企業なども実際にあります。

ISO9001という外部認証規格を鵜呑みにして、けっして、安心してはなりません。

ISO9001は、世界で認識された共通の品質システムとして、
有効に活用、機能している企業ももちろん多くありますが、
人間でいえば、あくまで、単に資格を取得しただけのようなものです。

認定されている履歴があっても、
会社の品質への考え方まで、信用することはよくありません。

品質に対する考え方は、企業のこれまでの成長過程に沿って、
時間をかけて、しみついた企業風土の一部のようなものです。

そんな品質思想は、容易に変革することはむずかしいでしょう。

単にものづくりの工程だけでなく、
会社の発展経緯や品質管理の組織を確認して、
その品質思想の背景にある事柄の理解を深めることが求められます。

このような海外での品質に対する考え方の違いや実運用上のリスクを担保するために、
もちろん、基本取引契約、品質覚書で補償できるようにしておくことは大切ですが、
スムーズを取引するためにこのような契約をたてに改善を要求したり、
取引することは、望ましい取引関係とはいえません。

ある製品を作るために必要な部材を供給していただくパートナーとの関係が、
悪化することは、もちろんお互いにとってよいことではありません。

私たちの私生活を振り返っても、1対1の人間関係と同じように、
相手の考えを知り、相手のことを思いやり、共に成長できるようになるためには、

まずは、だれと仕事をしたいか、海外のパートナー選びに
とくに注意を払い、見かけの資格にまどわされず、
実際の企業の顔をみて、現場で語り合うことが大切ではないでしょうか。

コストだけしか見えずに組んだパートナーさんから得られるものは、
短期的な見かけ上の収益の確保に潜んでいる
品質不良にともなう『事後の高い授業料』ではないでしょうか。


良い相手と仕事をするためには、自分自身もよりよくなることも求められます。

『人の振り見て、我が振り直せ』

グローバル企業から教えていただくことは、
良くも悪くも、まわりにたくさん転がっているのではないでしょうか。


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posted by かおる at 18:07| Comment(2) | TrackBack(0) | グローバル品質
この記事へのコメント
私は日本式の品質保証の考え方しか、知りませんでしたが、中国では不良品が発生することを見越して納品している会社もあるんですね!
勉強になりました。
確かにそういう考え方もアリですね。
でも、私はやはり日本の品質保証のやり方が好きです。
慣れ親しんでいるというのもありますが、技術改善に取り組む姿勢として、日本式の方が固い決意みたいなものを感じます。
私の会社でも社長から「技術改善無くして会社の発展はありえない」と聞かされます。
確かに技術というものは進歩させなければいけませんし、現状維持は後退しているのと同じですよね。
だから、そういう気構え的なところも含めて、日本式の方が好きですね。
でも、かおるさんが言う通り、世界はどちらを選択するんでしょうね。
Posted by QA係長 at 2011年02月14日 23:16
QA係長さま

コメント頂きまして、ありがとうございます。
品質管理研究所 かおるです。

技術改善を継続して取り組む姿勢がなければ
成長もなく、企業の永続的発展もありませんよね。

この中国メーカーさんの発想が通用するのは、

部品、材料が受入れ検査、もしくは使用時に、全数合否判定が容易にでき、取り除くことができ、

不良品を製品に組み込まない保証ができる場合に限られるかもしれませんね。

お客さんに迷惑をかける恐れがあるものを使用するなどということは、あってはなりませんので、
一般的な工業製品はもちろん、特に、生命に関係するような自動車部品や医療器具などでは到底考えられません。

また、現在の日本企業のスタンスとして、考えられません。

一方で、海外で活躍される商社の方のお話をするなかで、

このような中国的な考え方をもつ企業、そして、その考えをうけいれる企業も増えているというお話も耳にしますし、

今後の品質に対する思想については、継続して注目していきたいところですね。


品質管理研究所 かおる


Posted by 品質管理研究所 かおる at 2011年02月15日 10:57
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