品質教育について、みなさんはどのように考えられているでしょうか。
大手自動車メーカーHondaさんで品質管理にどっぷりひたって、
現場で鍛えられた面白い考えをご紹介します。
自動車で有名なホンダで、品質管理で35年間従事された
ベテラン品質マンの酒見和行(さけみかずゆき)さんの著書
「段違い品質」を実現する現場力
より、以下のような品質教育の大切な考えが紹介されています。
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品質の品には、『口が三つ』で構成されています。
品質は、『口やかましく』言わないとなかなかよくならないのも事実です。
品質に『やかましい人』が多いところは、品質がよくなる要素がたくさんあることになります。
一人ひとりが、みんなが品質に注目することこそが、よい結果をうみます。
一人ひとりが、みんなが品質に「口やかましく」なっていけば、品質は自然に強くなっていきます。
品質はそんな性質をもっています。
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品質の品は、まさに「口が三つ」です。
品質を維持向上させるために、
社内外にむけて、口をたくさん使う必要がありますよね。
しっかりと品質に対して責任をもった人財が、社内に多くいれば、
品質を高めることにつながることでしょう。
ただ、そのような人財いなくなることだけで、
品質レベルが低下していくようでは、
組織としての品質レベルは維持できませんので、
社内に品質意識をもった人を増やしていくことが何より大切ということですね。
実務上、品質保証部は、問題に気づいた場合、現場の技術者や生産メンバーに対して
『ここを直して、あそこを直して・・・』と改善を促すことになります。
品質部門の立場で、技術者や生産者自身がつくりあげた製品や工程での問題点を指摘すると、
悪いところを指摘され、良くおもわれないこともあるかもしれません。
ですから、品質部門は、けむたがられている一面もあります。
実際に手を動かして、改善をするのは、現場の技術者や生産者になる場合が多く、
品質部門は、言いっぱなしの面があるからではないでしょうか。
品質部門の目的は、そもそも問題点を指摘することではありません。
問題点指摘するという行為は、共通の目的である
『品質の良いものをお客さまに届けて、お客様によろこんでもらうということ』を実現するためのひとつの手段であるということを忘れてはなりません。
その共通目的を、部門間をこえて、再認識することが、改善を進める第一歩となります。
部署としてのミッションよりも、会社としてのミッションを優先して、
部署間の壁をとりのぞく意識のもち方、心構えが大切ですね。

『人間の口はひとつ、耳が2つ』 ついています。
口よりも多い、耳ふたつがあるのはなぜでしょうか。
相手のことをより理解し、傾聴するためであると考えれば、
口だけで一方的に話していては、相手の気持ちや立場にたてず、
改善は進みにくい傾向があることはいうまでもありません。
ですから、なぜ、問題が発生していたのかということを現場にいって、
現場の技術者や生産者からの意見をしっかり聞いて、
『なにを(What)、どのように(How)、改善するか』といったことを提案し、
品質の立場として何ができるのかということを積極的に考えることが大切です。
過去の類似の問題改善事例を参考にして改善提案をすることもできますし、
信頼性試験を実施して、製品の問題点を共に確認することもできるでしょう。
問題をピンチ捉えず、チャンスと捉えられるような前向きな話にもっていくことが
本来の品質部門の役割といえるのではないでしょうか。
前向きな姿勢で品質部門の役割をはたせば、
きっと、社内でひっぱりだこになるはずです。

「段違い品質」を実現する現場力
長年の品質実務の経験に基づくヒントがたくさん紹介されています!
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