2010年12月31日

ドラッカーに学ぶ『管理』とは?

ドラッカーに学ぶ『管理』とは? -品質管理研究所-


わたしたちは日々さまざまなものを管理しています。

品質管理とドラッカー

製造業においては、製造工程を管理し、
品質の高い製品を継続的に安定して生み出していくために、

QC7つ道具の『管理図』を活用した傾向管理をすることが多いでしょう。

今回は、『管理図』が管理のためのひとつの手段、ツール(道具)であることを再認識して、
その根本にある『管理』の考え方を考えてみようと思います。


みなさんは、『P.Fドラッカー』という名前を聞いたことがあるでしょうか?

野球界のトッププレイヤーが、『イチロー』だとすれば、
ビジネス界のマネジメントの大家は、『P.Fドラッカー』だと思えば、わかりやすいかもしれませんね。


ドラッガーさんは、ビジネス界にもっとも影響を与えた思想家としてしられ、

政府やNPOの分野をはじめ、私たちの生活にもおきかえられるような
『マネジメントの基本と原則』について、わかりやすくまとめておられます。


最近では、2010年にベストセラーにもなった

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら




の原点になっている本でもあり、あらためてドラッカーの著書に注目が集まっていますね。


ドラッカーさんの著書は、時代を問わず、世界で読み続けられる本として、
時流の変化に左右されない基本原則が
説明されている点が他の著書と違う点かもしれませんね。


今回は、『マネジメント 基本と原則』 P.Fドラッガー著 上田惇生編訳 



で紹介されている『管理』について、
QC7つ道具の『管理図』と重ねあわせて、基本原則をみていきましょう。



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◆管理手段を、管理能力の向上に結びつけるためには何が必要か?
※『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』 P.Fドラッガー著 上田惇生編訳 P165 より要約

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管理図という手段(QC7つ道具)を学んだら、

それを実務の管理能力向上につなげるためには、
具体的に何をすべきか?また、何をすべきでないか?
ということを考えてみることが大切ですね。

以下では、管理のための、管理手段として、必要なことを
ドラッカーさんがどのように考えていたかを踏まえて、管理図にあてはめて考えてます。


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◆管理手段とは何か?

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@管理手段は、順客観的でも準中立的でもありえない。

  測定という行為は、客観的でも、中立的でもなく、主観的な行為であり、
 何がしかの偏りを持たざるをえない。測定の対象を変えるのみならず、測定者をも変える。
 なぜなら測定することで知覚の経験が大きく変わるからである。

 測定の対象は、新たな意味と新たな価値を賦与される。

  したがって、管理に関わる根本の問題は、いかに管理するかではなく、
 何を測定するかにある。

※『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』 P.Fドラッガー著 上田惇生編訳 P165 -166より要約

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管理図では、3シグマ法による管理限界線に基づき、管理異常を判定します。

その異常判定のルールは、管理限界線からのアウトや傾向性でのアウトを
JISや独自に設定した基準に基づいて、異常か異常でないかを判定します。

ですから、その管理方法でのアウトが、必ずしも現実的にアウトではないこともあり、
判断の誤りが生じる可能性があることを理解しておく必要があります。


1)あわてものの誤り(第一種の誤り)

 工程に全く異常がないにも関わらず、点が管理限界の外側にでる状態。
その確率は、『千三つの法則』 3/1000≒0.27%の確率です。

異常原因を追究しても原因がつかめないこともあります。

管理限界の幅を広げると、第一種の誤りの可能性は小さくなりますが、
逆に、2)ぼんやりものの誤りが多くなるため注意が必要ですね。


2)ぼんやりものの誤り(第二種の誤り) 

工程に異常が現実に発生しているにも関わらず、点が管理限界の外側にですに、
管理図上で、管理状態と判断される状態。第二種の誤りを防ぐ方法は、できるだけ
サンプリング数を多くして、現実の状態に近づけることです。


このようなツールとしての管理図の限界についてもきちんと認識しておく必要があります。

また、管理図というツールをまなんだとき、そのツールを使うことが
目的化していまいそうですが、その前に、『何を測定すべきか』という視点で、

大切な『測定項目を選定する』作業をわすれてはいけないとうことですね。

教育と実務の間でよく起こる課題、『手段の目的化』ですね。

管理図をつかおうとするあまり、それを使うことが大きな目的となり、
本来管理するという目的が、おろそかになっていまいがちですので、注意したいポイントですよね。

『管理図』学びたてのときは、実際に業務でツールである『管理図』を
つかってみることはたいへん大切なことですが、

それを適用する対象についても、考えてたいところですね。


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A管理手段は、成果に焦点を合わせなければならない。

 組織における活動の成果は、組織の外に表れる。

 社会、経済、顧客に対する成果として表れる。

 企業の利益をうみだすのは、顧客であり、内部にあるものはコストセンターにすぎない。
 すなわち管理的な活動の対象となっているものはコストにすぎない。

 これに対して、起業家的な活動の対象が、組織の成果となる。

 効率すなわち努力を記録し、これを定量的に把握することは容易である。
 だが、成果すなわち、外の世界に表れるものを記録し、
 定量的に把握する手段はほとんどない。

※『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』 P.Fドラッガー著 上田惇生編訳 P166より要約
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管理図を用いて、管理することによって、どれだけの目標を達成できるかということを
考える必要があります。それは、自社の工場の中での製品の品質をどれだけ改善
するかという、内部のことのみに焦点をあてるわけではないということですね。

つまり、その製品を使っていただくお客さま(企業、消費者)のことを考えて、
その管理図を用いた改善がお客様にとって、どのような価値があるかということです。

ともすれば、自己満足的に管理図を用いて管理すれば満足してしまいそうですが、
さらに、お客様(組織の外)のところでの本質的な成果に焦点をあてて、考えることが
大切だいうことを忘れてはなりませんね。


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B管理手段は、測定可能な事象のみならず、測定不能な事象に対しても適用しなければならない。

 組織の内部にさえ、きわめて重要でありながら定量化しえないものがある。
 優秀な人材をひきつけ引きとめることは、前年度の利益よりも重要である。

 測定できるものは、すでに発生した事実、過去のものである。未来についての事実はない。
 しかも、測定できるものは、ほとんどが外部ではなく、内部の事象である。

 測定と定量化に成功するほど、それら定量化したものに注目してしまう。したがって、
 よく管理されていると見えれば見えるほど、それだけ管理していない危険がある。

※『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』 P.Fドラッガー著 上田惇生編訳 P167より要約
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管理図を通して、測定項目を時系列で定量化することは、

あたかも、現実に起こっている事象を正しく反映しているようにもみえますが、
現実には、現物の製品があり、不良品が発生したり、製造現場で
さまざまなことが日々起こっています。


最近では、PCよる管理図の運用が多くなるなかで、
リアルタイムで自動的にPC上で反映されている企業が増えてきましたので、

管理図が自動的にでグラフ化されて、データ化されることで、
その意図やアクションルールが十分に理解されないまま、
管理した気になることがもっとも危険なことかもしれませんね。

ですから、よく管理されていると見えれば見えるほど、
管理していない危険があるということ認識しなければいけませんね。
(社外の取引先を工場監査するときなどは、特に注意が必要ですね。)


また、測定可能な現象だけでなく、そのほかの測定不能な現場の事象と重ねあわせて、
管理していくことが大切ですね。

あくまで、ものづくりにおいての基本は、『三現主義』です。
『三現主義』とは、『現場』で、『現物』をみて、『現実』を把握して、問題を解決することでしたね

ですから、管理図では、測定可能な現象を管理しているのであり、データとして確認できない
測定できない現場の事象と複合的にみていくことが大切ということですね。




次に、ドラッカーさんが考える、「管理手段への要件」についてみてみましょう。

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◆管理手段の要件とは何か?

あらゆる管理手段が、7つの要件を満たさなければならない。

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@管理手段は、効率的でなければならない。

 必要とする労力が少ないほど優れた管理である。
 管理手段が少ないほど管理は効果的である。

 管理手段を多くしても、よりよく管理できわけではない。
 かえって混乱する。

 管理システムの利用にあたって、まず検討すべきは、
 管理のために最小限必要な情報は何かである。 


A管理手段は、意味あるものでなければならない。

 管理対象として測定するものは、重要なものでなければならない。
 現在重要な意味をもつもの、将来重要な意味をもつものに限らなければならない。
 成果に影響を与える事象だけを対象とすることで、はじめて本当の管理が可能になる。


B管理手段は、測定の対象に適していなければならない。

 管理手段の要件として重要でありながら、
 その設計において、最も守られていない要件である。
 
 たとえば、従業員からの苦情は、1月に5件/1000人という数字で
 報告されるが、あくまで表面的な報告である。しかし、実際は、
 工場のほとんどの部門からは苦情はでておらず、ごくわずかな部門
 から集中的に苦情が出ているということである。 


C管理手段の精度は、測定の対象に適していなければならない。

 正確な測定が困難であり、幅をもってしか評価できないという情報こそ重要である。
 おおざっぱな数字のほうがかえって本当の姿を伝える。
 一見根拠があるかのごとき細かな数字こそ不正確であることをしらなければならない。


D管理手段は、時間間隔が測定の対象に適していなければならない。

 精度と同じことが、時間間隔についてもいえる。
 頻繁な報告がよりよい管理を意味するわけではない。かえって管理を無効にする。


E管理手段は、単純でなければならない。

 管理手段は、複雑であっては機能しない。事態を混乱させるだけである。
 肝心の管理の対象ではなく、管理の方法に関心が移る。


F管理手段は、行動に焦点をあわさなければならない。

 管理の目的は、情報収集ではなく、行動である。行動が、検討や分析であることもある。
 「何か面白いことがおこっている」というだけで管理をおこなってはならない。

※『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』 P.Fドラッガー著 上田惇生編訳 P167-170より要約

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■「良い管理」とは?

上記のドラッカーさんの管理手段を考えることは、

「良い管理とはどのような管理であるか?」

という疑問にもこたえてくれます。

管理をするためには、費用や労力がかかりますので、製造工程中での管理項目をすべて
管理図で描いて、まとめて管理すればよいというものではありませんよね。


ですから、「良い管理」というものは、効率性や費用対効果の視点も不可欠ですね。

そのためには、管理図という「管理手法」ではなく、
管理図で管理すべき「管理の対象」がなんであるかという基本に立ち返ることの重要性に
ついて改めてに認識することができますね。


■管理対象の選定は?

さらに、お客様の品質に影響を与える適切な管理項目のみを抽出する「重点指向」
1号機や2号機など複数の情報を整理する「層別」の考え方で、
管理対象を絞り込むことも大切ですね


■測定方法の妥当性は?

良い管理をするためには、管理対象を適切な頻度で、
適切な測定方法(適切な精度)によって測定する
といった測定の基本も、効率性や妥当性にもとづき検証すること必要ですね。


■管理で見えないデータは?

データとしてあらわれない見えない現場のデータも大切にしなければなりませんね。

特に、忙しい管理職の立場であっても、現場からとおざかって、
管理図だけの数値データだけから、状況を判断して、
何かをきめつけるようなことは、あってはならないということですね。


■測定後のアクションは?

これらきちんと測定したデータを活用して、現在、そして将来の状況を推定し、
新たな改善の行動をうながす、次の一手にこそ、管理の意義があるということですね。

現場で忙しいと、データをとることが管理になりがちですが、行動をおこすこということこそ
管理ということをやはり忘れてはいけませんね。



今回は、ドラッカーの『管理の基本原則』と重ねあわせて、
QC7つ道具の『管理図』を考えてみました。


管理図を実務上活用する上でのポイントが、
すこしでもみなさんにご理解いただければ、うれしいかぎりですひらめき


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posted by かおる at 19:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 管理図
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