品質教育はだれにすべき?
(2010年10月31日)品質管理研究所
期待をもって購入した商品に、欠陥があって、クレームの電話をかけ、返品し、修理したことは、だれしもあるのではないでしょうか。信頼して購入した商品が品質不良により、がっかりした経験をしたことをおもいだせば、どれだけ製品の品質が大切なものかわかりますね。
楽しみにして購入した製品が不良だったとき、製品だけでなく、企業へのブランドへの疑いさえ生じてしまいますよね。だから、品質は、お客様の期待を満たすためにも大切なポイントです。そんな品質を高めるために、メーカーは、製造工程をつくりこみ、生産を管理することで品質をまもっています。
その製造工程を管理するのは、『人材』です。財産という意味をこめて『人財』と表現する企業も多くあります。
本質的に品質を高めるために、モノづくりに関わるすべてのひとの『人の質』を上げることが大切なことがわかりますね。
では、『人の質』をたかめるために何をすればよいのでしょうか。
一般の企業の製造現場では、現場の実務を通じて、先輩から指導してもらうことが多いように思います。いわゆる良く使われる『OJT 』です。
『OJT 』とは、On the job training (オン ザ ジョブ トレーニング)の 略称で、現場の実務業務を通じて、教育を図る実践的な教育手法です。
ただ、監査などで多くの工場の現場教育の実態をみると、『OJT 』は、『Omae Jibunde training 』(お前自分でトレーニング)の略称ではないかと思えることがたびたびあります。
○ OJT On the job training (オン ザ ジョブ トレーニング)
× OJT Omae Jibunde training (お前自分でトレーニング)
もちろん、現場での経験を通じて、体感的に学ぶノウハウもあることは事実です。しかし、ノウハウにしなくても教育すれば理解できることやしっかりと指導すべきことをOJT教育と称して、現場でみておぼえさせているようなことが、多くの企業で見られます。
特に、ノウハウなのでOJTでやっていますという企業ほど、単に教育をおこたっているだけのように思えてしかたありません…。
そのような問題の原因は、やはり、その教育に対する問題を経営者が問題として十分に認識していないことではないでしょうか。人の質をあげるための教育が、企業の製品の品質をたかめることを認識すれば、経営者として、品質教育が、企業の永続のために必要なことは当然わかるはずです。
だからこそ、遠回りのようですが、品質を高めるためにすべきことは、
『経営者の「人、製品」に対する意識を変える』
ということではないでしょうか。
つまり、品質教育は、会社の顔である経営者にこそ行うことが必要です。
だから、工場監査員として、工場監査をさせていただく際には、まず、経営者インタビューを1時間ほど行い、人材に対する考え方や教育姿勢について質問し、品質を上げるために必要な要素について、改めて少しでも気づいてもらうようにしています。長年経営をする中で、経営者にとって、当たり前になっていることも、他の優れた企業の事例などを踏まえて伝えることで、わずかながら違うポイントを、少しでも認識してほしいと思っています。
経営者には、『製品の品質は、経営者の人格である』とおもって、社員の質を高めていただきたいものです。
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2010年10月31日
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