(2010年10月29日)品質管理研究所
『QC工程表』は、モノを作るうえでの大切な『道しるべ』ですね。
『QC工程表』は、企業によっては、『QC工程図』などともよばれていています。QC工程図をつくっていない企業は、まずほとんどありません。国内、海外の企業ともに、活用されるものづくりの基本ツールです。
QC工程表は、製品の品質にばらつきが発生しないように、管理ポイントを一枚の紙にまとめた『製造プロセス』そのものです。つまり、材料の入庫から、各工程での製造、検査、梱包、製品出荷にいたる一連の工程フローにそって、だれが、どんな設備を使い、どんな設定でどのような手順で製造するか、部品や製品をどんな検査設備でどのような基準で判定するかなど、詳細に決められています。
お客様から要望されてつくるというより、新規製品の量産の際に、品質を確保するために、製造工程の管理がきちんとできているかを、もれなくだぶりなく事前に確認するために活用することが大切です。
今回は、『工場監査員』の立場でのQC工程表の活用方法と限界について、これまでの経験にもとづくポイントをご紹介します。
<工場監査員のQC工程表の活用方法>
@QC工程表を工場地図にする。
現場の工程を確認する際は、このQC工程表が必須です。工場を歩く際には、このQC工程表の通り、たどって現場を確認し、問題点を把握することになります。場合によっては、実は他の製造場所で協力会社で生産していたなんてことも…。監査先の企業先は、見られたなくないところは隠す傾向にありますので、もれなく確認するためには、この工場地図=QC工程表をたどることが効果的です。
AQC工程表に使用書類のNoを具体的に記載
製造工程で使用するすべてのチェックシート、検査規格、作業手順などの書物がひもづけされていることを確認するために、具体的に書類番号Noを事前に記入してもらいましょう。番号を記入するということは、特定の工程でもれがあった場合、監査先の企業が自身で不足している管理項目にきづくことができますので、監査員が指摘せずに、自主的な改善をうながすことができますので非常に有効です。監査時には現場でその書類が本当にひもづけされてすぐでてきて、記載された手順どおりで実施されているかを確認してみましょう。
<QC工程表の限界>
QC工程表は、なんでも管理できるすぐれたツールではありません。QC工程表の限界をしることが、さらなる現実的な活用につながるのではないかと思います。
QC工程表は、量産時の安定的な生産工程をしめしています。たいていの企業は、管理項目を明確にし、作業手順どおりの方法で製造をすすめておられますので、もれなくだぶりなく記載していれば十分な管理ができているはずです。
だから、よい企業ほど、QC工程図で対応できない部分にこそ、注意することが大切です。つまり、注意ポイントは、通常生産工程と異なる変化点や目に見えない情報です。
たとえば、
Material(材料)
・材料シートなど粉砕、溶融して使用する再利用(材料の変化)
・検査不良による手直し(状態の変化)
Man(人)
・過酷な労働による疲労の影響(時間の変化)
・生産者のシフト切り替え時の連携(情報の変化)
・新人かベテランか?社員かパートさんか?日本人か外国人か?(人の変化)
Method(方法)
・異なる製品からの切り替え時の念入りな清掃(製品の変化)
・雨の日の工場間屋外移動の際のへ特別梱包(場所の変化)
Machine(設備)
・雷による停電時の製造設備、倉庫保管空調設備への対応(天候の変化)
ポイントをあげればきりがありませんが、
良い企業と出会うほど、QC工程図で対応していないポイントを見抜く力が、監査員には求められるような気がしますね。
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