検査員は、だれがなる? 〜品質管理研究所
検査は、不良の製品の流出防止を図る最後のとりでともいうべき重要工程です。
検査は、作業者が、自分でつくったものを評価確認する位置づけではなく、第三者的な立場から基準に基づき厳しく評価することが大切なので、作業者とは別の人員が検査員となることをおすすめします。
もちろん、自分のつくったものを厳しく検査できるひともいるでしょうが、製造者と検査員をわけた検査体制とすることで、より不良を流出させない強い体制を構築することができるのではないでしょうか。
さらに、検査員としての適性も重要ですね。
先進的な企業では、まず、検査員として適任者であるかを判断するために、性格診断、視力テストを実施されています。老眼などで、見えにくくなっている場合、おおざっぱなひとや集中力が散漫な人は、検査員にはむきませんので、検査員としては不合格になり、他の業務を実施していただくことになります。経験上、多くの企業では、工場での検査では、比較的女性が担当されていることが多いように思います。男性がおおざっぱというわけではありませんが…。
また、検査を特殊な業務として、工場内で識別するために、検査員腕章や色のついた検査員帽子をかぶって、品質のかなめとしての役割を見える化をしている企業もみられます。
さらに進んだ企業として、検査員の「眼力(めぢから)」を鍛えるというおもしろい発想をもった企業もあります。大手電子部品 メーカーの『イビデン』(岐阜県)では、IC製品の目視検査を担当する従業員に対して、「眼力(めぢから)」トレーニングを導入し、月に数件あった製品不具合の見落としをゼロにおとしたような取り組みも報告されています。
約200人の 検査員がお昼に作業を中断し、机に向かい、下記の2つの「眼力トレーニング」を実施したようです。
1)90秒の間に紙の上にランダムに並んでいる1から40までの数字をたどる訓練
2)50秒の間に、似たような図形の中から同じ図形だけを拾っていく訓練
ちなみに、この手法は、愛知工場大学の石橋教授を招いて、イビデンの工場の検査の様子をみて、
一瞬で多くの情報をつかむ「瞬間視」、
素早く目を動かす「眼球運動」、
広い範囲を見る 「周辺視野」、
を特に鍛える必要があるということから生まれたようです。
このように、検査員に対しての効果の確認と教育も大切なことですね。
検査は、だれが、実施すべきか、どのように教育するか、その効果が本当にあるのかといったことを考えるきっかけになればうれしいかぎりです。
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2010年10月24日
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