2010年10月24日

工場監査とは、向上監査!

工場監査とは、向上監査!〜実りある監査にするための監査員の心構え〜
〜品質管理研究所


 品質を管理するために、自社の工場を管理するように、サプライヤー(供給部品メーカー)さんから購入させていただく部品の品質を第三者の視点から管理・監視することも重要です。

 だれがどんな場所でどんな風につくったかを知らずに、納入されたモノだけをみていては、品質の高い製品を安定的に購入することはむずかしいといえます。だからこそ、サプライヤーさんの工場に訪問し、品質を改善する仕組みや現場をみて、自主的に品質を維持・向上していただくことが大切となります。それが、『工場監査』です。

 工場監査では、監査員が、その企業の品質思想にもとづき、品質改善の仕組みや現場での製造上の問題点がないかを確認します。工場監査をうける立場になってみれば、工場監査は、自社のみられたくない一面のあら捜しのように受け止められる傾向があります。しかし、前向きにとらえれば、タダで工場をよくできる学びの機会ととらえることもできます。

そのような前向きな考えをもつ企業は、たくさんの成長のチャンスをつかんでいます。
『工場監査』を『向上監査』ととらえる発想をもつことができるかどうかで、工場監査の意味が大きくかわります。


 実際に業務で様々な業種の工場に監査で訪問させていただいている中で

『ノウハウがあるから、みせられない』という工場さんがよくあります。『ノウハウ』のブラックボックス化で海外に技術がぬすまれないようにするという一般的な話が、様々な企業で浸透しているのかもしれません。

 ただ、他社の工場の現状は、十分にしらず、自社のノウハウ技術だと思い込んでいるパターンも多いように思えます。また、自社のノウハウだから見せられないという企業ほど、自社の工場が管理できていない傾向にあります。ノウハウとは、『よごれていて、管理できていない状況のことをいうのか…。』と、現場をみて、あきれてしまうこともありますが、そんな工場でも、サプライヤーさんがあきらめなければ、改善できるまで、向上監査を実施するように心がけています。

 
 では、工場監査をより実のある活動にするためには、いったい何をすればよいのでしょうか。
 
 それは、非常に簡単なことではないでしょうか。 

 技術的な細かな知識や経験などを元に改善項目を指摘するような難しいことではありません。

 最も大切なことは、 監査員として、監査される工場の立場を理解し、サプライヤーをパートナーとして信頼し、自社の製品に対する想いや重要性、監査の位置づけを明確に伝えることです。

 だから、工場監査には、最高意思決定責任をもつ経営者の方にかならず出席いただき、直接話をするようにします。

 監査の前にしっかりと監査に対する想いを伝えることができれば監査に対するパートナー工場の姿勢がかわります。監査員は、自らが何か改善点を指摘することにやっきになりがちですが、本来はパートナー企業の社員が自らきづき、自発的に改善をうながすきっかけをつくるように促すことが大切です。自発的改善の障害になるものをとりのぞくことこそ、監査の指摘ポイントとなるべきでしょう。

 監査員は、サプライヤーさんのあら捜しをするのではなく、モノをいっしょに作るパートナーを適切に評価し、高める存在という根本からずれなければ、自ずと、監査員としてのあり方もみえてくるきがします。

 現場での短期的な厳しさと企業のための長期的なやさしさをもった工場監査員が増えればうれしい限りですね!


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posted by かおる at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 工場監査
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