2010年10月11日

QC7つ道具〜品質管理ツール

QC7つ道具〜品質管理ツール
(2010年10月11日)品質管理研究所


 ものづくりにおいては、設計した製品の確認、生産した製品の特性の安定性の確認など、データを活用し、品質管理をしていく必要があります。今回は、品質を維持向上させるための『QC7つ道具』についてご紹介いたします。

QC7つ道具は、下記の7つです。

<QC7つ道具>
No1 パレート図 
No2 特性要因図
No3 チェックシート
No4 ヒストグラム
No5 散布図
No6 グラフ
No7 管理図


 大切なことは、『QC7つ道具』は、あくまで『道具』のひとつという点です。道具は使うことが目的ではありません。『道具という手段』が、いつのまにか『道具を使うことが目的』とならないように注意が必要ですねひらめき


道具としての『QC7つ道具』について、
『大工さんと道具』の関係を例に考えてみましょう。

QC7つ道具

 大工さんは、ノコギリやかんななどの大切な道具を、いつも最高の状態で管理しています。もし、家をたてるとき、道具がさびていては良い仕事はできません。さらに、よい道具をもっていても、ノコギリやかんなの使い方、釘の打ち方など、棟梁にきいているようでは仕事にならなないことは、すぐわかりますね。

 つまり、良い道具をもっているだけでなく、さらに現場でつかえるように基礎技術を当然高めておく必要があるということです。ただ使えるというだけでも、まだ、たりないものがあります。

 同じノコギリであっても、目的に応じて、どんな大きさやどんな刃の粗さのものを使うべきか、選定する判断力がさらに必要になるでしょう。

 日々道具を使いこなすことで、目的に応じた道具の選定と使用が可能となり、手になじんだ形に道具の外形も変化し、道具を使って目的を効率よく達成することができるのではないでしょうか。


 ここで考えるQC7つ道具も、大工さんの道具と同じように、品質管理のため、このQC7つ道具を日頃から学んで使えるようにしておくことはもちろん、業務を通じて使いこなし、コツを覚えて、目的に応じた道具の最適な選定ができるようにしておくことが何より大切なことではないでしょうか。


 この基本的な考え方は、道具をつかう上での心構えとして大切にしていきたい考えのひとつです。


<QC7つ道具とは?>

No1 パレート図
 パレート図とは、横軸に項目を、縦軸に項目ごとの分布を表す棒グラフと、累積値を表す折れ線グラフを組み合わせた図です。
 パレート図は、多い項目から表示し、重点項目を絞り込む際によく用いられます。

 パレートという名前は、80対20のパレートの法則でご存知の方も多いのではないでしょうか。

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が発見した、パレートの法則は、8割の富が2割の高所得者層に集中し、残り2割の富が、のこりの8割の低所得者層に分配されているという法則であり、さまざまな社会的現象で、このようなある比率で、ばらつきや偏りが存在し、それを集約すると一部が全体に大きな影響を及ぼしていることが多いというものです。

 品質改善にあてはめれば、不良の上位項目2割について改善を施せば、全体の8割の不良を改善できるというような考えにむすびつきます。不良の重要な問題点を明らかにし、集中的に改善を施すことで、効率的な改善を図ることができます。


No2 特性要因図
 特性要因図とは、結果としての特性を右端に置き、その原因、さらにその原因と魚の骨のように表した図で、魚の骨の名の通りFish boneとも呼ばれます。ある結果にいたる問題の原因を追求するために、5M(Man、Machine、Material、Method、Measurement)といった、5つの要因などの切り口から問題の原因をつきつめていくことが可能となります。各要因についてさらに細かな骨を描いて分析を深め、真因について、みんなの知恵を特性要因図に落としこんでいくことが大切になります。
 わいわいがやがややりながら知恵をだす過程で、品質改善を通じた組織を盛り上げるツールと考えることもできるのではないでしょうか。


No3 チェックシート 
 チェックシートとは、データの収集を容易にし、確認もれや作業のダブり、ミスを少なくするような集計記録用紙のことです。工場では、チェックシートを運用していない企業は見たことがありません。それほど重要なデータシートといえます。具体的には下記のような作業時に使われています。このチェックシートの作り方にも様々な工夫が必要ですので、それはまた次ぎの機会にご紹介いたします!

・製造設備の始業時、休憩時、就業時などの設備点検シート
・製造製品の切り替え時の設定確認シート
・工程検査用のチェック項目シート
・工程パトロール用のチェック項目シート
・5S確認巡回チェック項目シート
・安全パトロールチェックシート    .etc


No4 ヒストグラム
 ヒストグラムとは、度数分布図ともいわれ、データのばらつきを横軸に範囲を指定し、その累積度数を棒グラフにして分布を示した図です。ヒストグラムは、データの中心や、ばらつき、分布の特徴を見たりすることで、納入仕様書に記載されている上限と下限の規格値と実際のデータとの差を見たりするために使用されます。品質を改善した前後で比較すると、そのばらつき低減効果を容易に確認するのには、もってこいの図といえます。


No5 散布図 
 散布図とは、2つの異なる変数を、横軸と縦軸に、データをプロットしたもので、2種類の変数間の関係性を見ることができる図です。小さいときにならった比例関数など、2つの変数に何らかの関係があるということを相関関係があるといいますが、これは直接2種類の変数の間に因果関係がない場合もありますので、データの見方や取り方には注意が必要です。


No6 グラフ
 グラフとは、数値データを見やすく表示した図です。例えば、棒グラフ、円グラフ、帯グラフなどがあり、データを可視化して、情報把握を容易にします。一般にExcelなどの計算ソフトで常日頃から使い慣れておられる方も多いと思います。『習うより、慣れろ』ということわざにもあるように、使って慣れることが大切ですね。


No7 管理図
 管理図とは、横軸に時間を、縦軸に管理すべき特性項目をいれて、時系列の折れ線グラフとして表記し、管理上で許容できる範囲の線、つまり管理限界線を引いた工程を管理するための図のことです。管理図により、工程が安定した状態にあるかどうかを管理することができ、QC7つ道具の中でも実用業務で大変役に立つツールです。日々のデータを管理して、管理値とは別にさらに自主管理基準を設定し、アラームをならして、不良を未然に防ぐような取り組みをされている企業も多くみられます。最近では工程管理ソフトとして導入されている中小企業さんも多くみられますね。


まずは、失敗してもよいので、これらの道具で遊びなれることをおすすめしますひらめき





 以下では、上記で説明した『QC7つ道具』について、手軽に無料で学べるツールがありますので、ご紹介いたします。


科学技術振興機構の

Webラーニングプラザ〜技術者Web学習システム

です。ぜひアクセスしてみてください。

 このWeb e-learningシステムは、技術者の継続的能力開発や再教育の支援を目的として、科学技術振興機構が無料で提供する、技術者向けeラーニングサービスです。

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品質管理〜QC7つ道具と新QC7つ道具』(科学技術振興機構)

【概要】品質管理活動を促進させるツールの代表例であるQC7つ道具と新QC7つ道具それぞれに関して、その概要を理解する。

1 QCの道具
2 QC7つ道具(パレート図)
3 QC7つ道具(特性要因図)
4 QC7つ道具(層別の考え方)
5 QC7つ道具(チェックシート)
6 QC7つ道具(ヒストグラム)
7 QC7つ道具(散布図)
8 QC7つ道具(グラフ)
9 QC7つ道具(管理図)

_____________________________


【関連記事】
新QC7つ道具とは?
重点指向のパレート図!
管理図とは?
ドラッカーに学ぶ『管理』とは?
チェックシートの落とし穴
posted by かおる at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | QC7つ道具
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