2014年09月23日

「製造番号」とは?

「製造番号」とは?
(2014年9月23日)品質管理研究所

同じ製品にも、ひとと同じように、ひとつひとつ名前があります。
それが、製品を識別するための『製造番号』です。

製造番号と品質保証

製造番号は、製品出荷後に、問題が発見された場合に、調査した結果から、
問題のある対象範囲を特定し、迅速に処置できるようにするための大切な品質情報源です。


不具合が発生したときには、この製造番号を確認し、原因調査します。
製造番号は、お客様と工場をむすぶ「品質情報の橋渡し役」です。

まずは、製造番号に、どのような品質情報がうめこまれているかご紹介します。

<製造番号の定義>
製造番号は、あらかじめ定めた名づけルールに従い、さまざまな情報をもりこんでいます。

・製品機種
・製造年月日(製造年・週)
・製造工場
・製造ライン
・製品通し番号
・特定材料の識別

など、

その製品の管理すべき特徴にあわせて、
独自の番号ルール表により、設定していきます。

製品設計者は、こっそり自分の名前のイニシャルを入れたくなる衝動にかられますが、そこは、がまん、がまん。もし、不良品がでたら、「この文字列は、何の識別記号?」「〇〇さんのイニシャルです・・・。」となりかねませんね。

■ 製造番号:ABCDEFGH・・・N

1桁目の文字は、×
2桁目の文字は、〇
3件目の文字は、△
4桁目の文字は、★



N桁目の文字は、☆

このように、各桁に該当する文字と意味を具体的に列挙して、定義を明確にしておきます。 

例えば、

月の場合であれば、1月〜9月、X (=10月)、Y (=11月)、Z (=12月)
工場の場合であれば、第一工場はA、第二工場はB、第三工場はC ・・・

各文字は、英字、数字をうまく組み合わせて使用しますが、I(アイ)、l(小文字エル)、O(オー)などの英字は、数字の1や0と誤認しやすく、間違えないように使用しないことも大切です。

桁数は、将来増える可能性のある項目を想定しつつ、必要最低限におさえます。
通し番号は、生産数量単位に合わせて、必要な複数桁を確保します。

工場にとっては、製造番号は、過去にさかのぼることができる大切な「暗号」ともいえます。
この暗号表を社内規定として設定しておくことも大切なことです。


製造番号

身の回りを見回してみると、いろいろな製品の製造番号の暗号に気づくはずです。

ペットボトル、高級ブランドバック、家電製品、お札・・・

身の回りのさまざまなものにこっそりと製造番号がつけられて、管理されているのが実感できます。そして、製造番号は、製品の特徴に合わせて、印字されている場合、刻印されている場合、シールとして貼り付けている場合など、さまざま状態があり、その印字場所も工夫されていることに気づかれることでしょう。

<工場での製造番号の活用>
製造番号は、もちろん、問題がおきたときだけに使用するものではありません。
工場では、製造番号にどのような情報を残し、品質管理に活用することができるでしょうか。

製造番号は、製造工程の早い段階で、バーコード化して、製品と一緒に管理できれば、工程内の加工や検査結果など多くの情報を蓄積し、工程品質管理や生産性改善にも活用することができます。
製造番号を各工程をつないだデータシステム上で一元管理ができれば、さまざまな品質不具合の流出防止にも役立てられます。

工程不良となった場合に不具合情報をデータ追加すれば、誤出荷防止もできます。
工程順序を登録しておけば、工程とばしによる作業・検査もれ防止もできます。
同じ番号が誤って、異なる製品に付与されていない重複チェックもできます。

一方で、製造番号があまりに細かすぎたり、管理項目が多く複雑になると、生産時に、変更がたびたび必要となり、修正もれやミスがおきるため、製造番号に関わる不良をうみだす要因を事前に排除することが必要になります。

製造番号に関わるミス防止のために、費用をかけずにすぐにできる下記の実務チェックポイントをご紹介します。

<製造番号 不良未然防止チェックポイント>
・多種製品を取り扱っている場合、製品切り替え時の製造番号の確認項目は明確ですか。
・印字内容の管理責任者が、シフトごとに設定され、明確ですか。
・パスワードでだれでも設定を容易に変更できないようになっていますか。
・印字された内容に間違いがないか、作業者と責任者の2重の確認ができていますか。
・工程パトロールで製造番号内容と該当製品の番号であることを抜取確認できていますか。
・出荷検査で製造番号内容と該当製品の番号であることを客観的に確認できていますか。
・印刷設定を変更、更新した作業履歴を記録に残していますか。
・印刷設定変更が必要な際には、必ず複数名で確認照合したあとで変更できていますか。
・製造番号のルール表の最新版が、製造現場に掲示され、管理されていますか。
・どのようなミスが想定されるか問題となる事例を掲示し、注意喚起できていますか。
・製造番号を印字した内容・状態を確認するための手順と管理記録がありますか。
・不具合となる製造番号・ラベルの不良見本や限度見本が見やすく掲示されていますか。
・製造番号の桁数の過不足がないか、印字ソフト上で制約をつけていますか。
・製造番号に不必要な文字が印字されないように印字ソフト上で制約をつけていますか。
・ラベルに印字する製造番号の文字フォント・大きさ・印字位置・幅も確認していますか。
・停電等によるトラブルや設備故障時の製造番号の発行・確認方法は明確ですか。

ひとは、注意をしていても、さまざまな要因でミスをしてしまうことがあるものです。ひとのミス防止のためには、設備やシステムを活かした問題がでない管理方法も、大切なポイントになります。

製造番号のミスがひとたびおこれば、多くの製品に波及する傾向不良となります。
細心の注意が必要ですが、製品そのものの品質に比べて、製造番号は、あまり注目されず、見落としがちなポイントですので、あらためて、考えていただくきっかけになれば幸いです。

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posted by かおる at 19:09| Comment(0) | TrackBack(0) | トレーサビリティ
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