2013年12月31日

ワイブルの破壊のチェーンとは?

ワイブルの破壊のチェーンとは?
(2013年12月31日)品質管理研究所


形あるモノは、いつかは壊れます。

いつ、どの部分から、どのようにこわれるかが重要です。
期待される製品の寿命を満足させることは、品質保証の基本です。

いくつもの「わ」がつながってできたチェーンをひっぱることを想像してみましょう。

ワイブル分布

複数の繋ぎ目のあるチェーンは、はたしてどこから壊れるでしょう。

いつくもの繋ぎ目があり、壊れる可能性のあるポイントはいくつもありますが、
もっとも弱いところから壊れて、チェーンは、きれてしまうことでしょう。

ひとつの鎖がきれてしまうことで、全体のチェーン(製品)の価値は失われてしまいます。


複数の異なる材料から構成されている製品もまた、
異なる要素からなる「鎖」が連なったチェーンと同じです。

複数の異なる材料がチェーンのようにむすびついて、製品を構成し、

負荷が加わると、最も弱いところから壊れれば、
製品としてつかいものにならず、価値を失ってしまいます。


製品の信頼性を高めるためには、
チェーンのどこが、最も弱いかを理解する必要があります。


そして、実務では、製品の弱い部分に加え、さらに負荷『Stress』を考えることが大切です。
度『Strength』と対をなす、負荷『Stress』の考え方、Stress-Strength modelが必要になります。

実際に使用されるときに、どの部分にどのような負荷が多くかかるのか、
お客さんの使用状況に応じた負荷を理解することは、見落としがちです。

どの弱いチェーンに、どのような負荷がかかるのでしょうか。

ときに、お客さんは、製品をあやまって、おとすことがあるかもしれません。
移動による振動が多い状態で、負荷の蓄積も大きいかもしれません。
強度の強いチェーンでも、多くの負荷が継続してかかれば、壊れてしまうかもしれません。

どのようにお客さんが使用されるのか、
部品や製品の使われかたを直接みたことは、どれだけあるでしょうか。


各チェーンの強度『Strength』は、企業の実験室で把握することができますが、
使用上の負荷『Stress』の実態は、実験室ではなく、現場に多くの事実が隠れています。


現場にいくと、こんな取り扱われ方をしているのかと驚くこともあるでしょう。

かわいい製品がどのようにつかわれているか、
学校の参観日のように、わが子のような製品を現場に見に行きたいものです。

わが子のような製品と参観日

工場に納める部品であれ、お客様に納める製品であれ、
どのような負荷が想定され、どのような弱い部分があり、改善すべきでしょうか。

最終的にどこからどのように壊れるかをこのような考え方をもとに予測することが
信頼性を確保する上で、大切なのではないでしょうか。



今回は、ひとつの鎖がきれてしまうことで、全体のチェーン(製品)の価値は失われしまう考え方をご紹介しました。

この「鎖の連鎖」の考え方は、全ての事象にあてはまるわけではありませんが、ワイブル分布という統計分布の重要な考え方で、確率的な数式でも表現されています。実務では、信頼性の考え方として、劣化による寿命予測にも、活用されています。

一部が全体の破壊につながるチェーンの考え方、そして、Stress-Strength modelの考え方で、
製品寿命と品質保証について、あらためる考えるきっかけになれば幸いです。


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2013年12月29日

過去トラとは?

過去トラとは? 
(2013年12月29日)品質管理研究所

品質問題など、過去のトラブルのことを略して、「過去トラ」といいます。
野生のトラと同じように、過去トラは、仕事上あいたくないトラですね。

過去トラ

同じ品質問題を繰り返さないように、
過去のトラブル「過去トラ」を学ぶことが必要です。

 『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』ということばがあります。
過去の失敗経験を活かして、品質問題を未然に防ぐことができているでしょうか。

他者が過去失敗した経験、他工場で過去失敗した経験、
他の製品で過去問題になった経験、他社の失敗事例など、
どのような失敗経験や事例が、組織内に伝承されているでしょうか。

品質不良は、大きく、3つにわけられます。

@受け入れた部材不良の情報
A工程内で発生した工程不良の情報
Bお客様からの市場不良の情報

これら、一度起きた品質問題を確実に防ぐことができれば、品質は、確実に改善していきます。

過去のトラブルが企業の貴重な財産になるか、
その場限りの失敗でとどまるかは、企業の考え方次第です。



不良を不良のまま流さず、改善の種にするために、
実務では、どのように過去トラを活用すればよいでしょうか。


1)過去トラ情報の蓄積
過去トラは、EXCELによる過去トラフォーマットや
過去トラデータベースシステムで、社内登録するシステムをつくり管理します。

過去トラのデータベースの項目には、不良発生場所(部材、工程、市場)に、
過去の品質トラブル内容、問題の原因(発生メカニズム)、
発生防止対策、流出防止対策、事例資料の詳細データ保管先などを明確にして、
わかりやすくまとめて管理するのがおすすめです


過去トラと品質不良


2)過去トラの活用
過去トラを作成すると、まとめるだけで満足してしまいがちですが、
過去トラを作成したヒト以外のメンバーがいかに活用できるように工夫するかが、ポイントです。
新製品の開発では、過去トラの品質不具合事例を見直し、製品設計に不具合の改善や、
工程での作業性や製造方法加味した設計改善で、再発防止対策を施すことができます。

他工場への生産展開では、同じ品質不具合の工程での発生を防止するために、
対策を工程内におとしこむことができるでしょう。

材料不良の過去事例は、取引先の工場監査を実施する際の注意ポイントにもなります。

新人技術者さんや品質管理者さんであれば、
設計品質や工程品質や市場品質を学ぶ際の貴重な教育資料にもなります。

実務では、過去トラを確認した結果の妥当性を検証するために、
過去トラのエッセンスをぬきだした疑問形式のチェックシートを作成して、
記入回答する方法で見える化チェックすることもおすすめの方法です。


設計審査(DR)の検証の機会に、この過去トラリストやチェックシートを活用して、
技術・品質部門が相互チェックできれば、未然に問題を防ぐことに役立てることができます。


3)過去トラの更新
過去トラのデータベースは、だれが更新すればよいでしょう。いつ、更新すればよいでしょうか。

過去トラは、常に更新して、最新版を活用することが大切です。


新たなトラブルの追加運用方法についても、あらかじめ仕組化しておくことが大切です。
確実にもれなく、過去のトラブルを防止するためには、常に最新版の過去トラが、
必要なメンバーに社内共有され、閲覧活用できるように整備しておくことが必要になります。

更新には手間がかかりますが、不良を抑えることにつながるのであれば、たやすいことですね。

品質不良はおきてから対策するのではなく、おきる前に対策を。
おきてしまった品質不良は反省し、次の不良を防ぐための試金石に。



品質問題は、多くの場合、先人が、すでに失敗していることがほとんどではないでしょうか。

失敗を経験することで、ひとは成長しますが、過去の失敗を不必要にくりかえすのではなく、
高い次元のだれも経験したことのない失敗をして、成長していきたいものです。



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2013年12月28日

流出防止!検査の検証とは?

流出防止!検査の検証とは?
(2013年12月28日)品質管理研究所


検査は、製品が良品であることをチェックします。

同じように、検査作業そのものも、正しく実施できているか、
「検査そのもの」を検証できているでしょうか。

検査の検証

ただ単に測定して、検査された結果だけをみていると、数字に惑わされてしまいます。
検査の結果、現れる数値はあたかも正しいようにみえますが、
その数値だけが、一人歩きしていないでしょうか。

平均です?最大ですか?最小ですか?何の値ですか?

検査数値が示すものは、一体、なんでしょうか。
検査が、検査として、正しくおこなえるために
どのようなことを確認すればよいか、いっしょに考えてみましょう。


__________________________

<検査の検証>
(1)検査基準のチェック 
(2)検査手順のチェック 
(3)検査項目もれのチェック 
(4)検査限界のチェック
(5)検査測定範囲のチェック 
(6)検査環境のチェック
(7)検査工程位置のチェック
(8)検査機器のチェック
(9)検査頻度のチェック
(10)検査合間のチェック
(11)検査時間のチェック
(12)検査記録のチェック
(13)検査不良時の対応チェック
(14)管理値のチェック
(15)簡易検査項目のチェック
(16)検査教育制度のチェック
(17)検査力量のチェック 
(18)検査作業者のチェック
(19)検査効率のチェック
(20)検査破壊のチェック
(21)検査実務運用のチェック
__________________________

検査の検証のために何を確認すればよいでしょうか。


(1)検査基準のチェック 
検査の判定基準そのものの妥当性は、検証されているでしょうか。品質管理基準の背景にある測定判定基準がどのような信頼性試験や評価に基づいて設定された値か、明確になっているでしょうか。

基準値の背後には、品質保証の上で大切な設計思想が隠れています。なぜ、その値でなければいけないのか、その数値の意味を理解すると、企業のものづくりの姿勢がみえてきます。数値ひとつひとつには、目に見えない重みが隠れています。どれだけ重みのある数値か、また、本当に根拠のある数値か理解することが求められます。

意味のある数値を管理するためには、その数値の平均か、最小値か、最大値か、なにをみればよいでしょう。どのような状態で測定された結果であれば、有効な値となるでしょうか。

検査基準のチェック

もちろん、品質基準は、数値ばかりではありません。実際に実物をみないと判定しにくい外観検査もあります。そんなときは、文字だけの基準書ではなく、外観限度見本を作製して、現場で見て比較できるようにしておくこと、具体的な写真を基準書にいれてわかりやすく理解できるように工夫することも大切です。初めて検査する作業者でも見て、判断にまよわないような基準書になっているでしょうか。


(2)検査手順のチェック 
検査のために必要な作業手順は明確になっているでしょうか。作業しやすいような検査治具は、整っているでしょうか。検査者が手間取るような検査手順になっていないでしょうか。
1人の検査員が、複数の項目を同時にチェックする場合、検査もれが生じやすいので注意が必要です。検査者は、日頃、いくつの項目をチェックしているか、はたしてこたえられるでしょうか?

人材の流動性が高く、離職率が高い生産ラインでの工程外観検査や電気特性検査では、ひとりひとつの検査項目で、確実に検査もれを防ぐようにしている場合もあります。ひとりで複数の項目をチェックする場合、検査の負担が大きくなることを認識したうえで、どのような方法であれば、見逃しを防げるかを考えることが必要です。お客様での品質問題が起きる場合、この検査での見逃しが加わることで、不良の流出が発生してしまいます。

外観検査では、目視の検査だけに頼ることなく、検査時に検査箇所を「指差し確認」や「声だし確認」のチェックを併用し、外部からも検査状況がみえる方法で検査の実施もれを防ぐこともおすすめです。

製品バーコードによる検査実施後の合格記録をシステム上に記録していくことや、製品ランカードに記載された各工程検査のチェックと記録の活用も実務ではよく利用されている方法です。検査もれを防ぐために、ダブルチェック、トリプルチェック・・・という作業で不良流出を防ぐことは、本来のあるべき姿ではありませんので、検査の手順を見直すことが大切です。


(3)検査項目もれのチェック 
本来実施すべき検査項目のもれは、ないでしょうか。検査されている内容や基準ばかりでなく、検査しなければならない検査項目そのものが、検査基準からもれていないかを検証できているでしょうか。

例えば、製造工程の監査では、実態としてすでにある工程や検査が適切かどうかをチェックすることにとらわれてしまいがちです。本来、必要な検査が、何かもれていないかを見つける意識を持って、全体の工程をみながらチェックしましょう。日頃からさまざまな測定機器とふれあっていることで必要な検査項目のヒントがあります。他の取引先さんの工場さんの監査にいたっり、自社に見学にきていただき、お互いに高めあうことも大切です。


(4)検査限界のチェック
検査は、ひとと機械の共同作業で、それぞれよい特徴があります。検査機器とひとの検査をうまく使い分けて活用できているでしょうか。自動検査機器の限界はなんでしょうか。ひとによる検査の限界はなんでしょうか。限界を知り、できないことを把握することが、改善につながります。
例えば、機械による自動外観検査では、背景の色に左右されたり、振動によって正しく検出できなかったり、照度によって、検出できる大きさが低下したり、合否の結果がずれてしまうこともあり、人間が見抜けるような異物などの検出が十分にできない場合があります。しかし、検査速度が速く、つかれないため、ヒトが検査するよりも効率的です。そこで、明らかに不良と良品を判定できる製品は外観自動検査機ですばやく合否判定して、判定に迷うグレーゾーンの製品だけを、人間の目視検査で追加検査して、判定を補完するなど、実務では、ひとと機械の検査を併用した方法が工夫され、実施されています。

自動検査機器の限界とひとの限界を理解して、うまく検査に活用していくことが大切ではないでしょうか。


(5)検査測定範囲のチェック 
検査をする場合、どこを測定するのが正しいでしょうか。たとえば、検査測定箇所が広く、分布がある場合は、悪い結果が現れる特定点がどこにあるかを明らかにして、測定ができているでしょうか。

検査範囲

例えば、シート状の長いものや、面積が広いものなど、設備の加工プロセス上、熱や風の流れのばらつきが生じて、製品にも違いが生じる場合、加工位置別の分布、製品の面内の分布を事前に測定検証した上で、悪い結果がでる測定場所を品質保証できる位置として、検査部位として設定する考え方もできるでしょう。もちろん、部分的な悪い結果が、製品品質に直接的な影響をあたえない場合は、他の適切な部位を測定して、平均値で緩和することもできます。

製品に求められる品質を表現できる検査範囲とは、いったいどこになるでしょうか。

(6)検査環境のチェック
検査を正しく行うために、検査環境を整えることにどれだけ注意が払われているでしょうか。品質問題が起こるたびに検査者に原因を求めることは簡単ですが、検査の環境が悪影響を与えることがないのかを考えることが求められます。

検査照度、ライトの向き、ライトの種類、検査背景色、机の高さ、キズ防止の養生、イスの高さ、作業机、不良品置き場、検査前後の識別場所、清掃用具、手袋、ゴミ箱など、検査を行う上で必要なものが整備されているでしょうか。


(7)検査工程位置のチェック
どこの製造工程間で、どの検査を実施すべきでしょうか。検査の工程内の位置によって、不良品がどこで発見されるかが変わります。遅い段階で不良が確認されれば、追加の加工ロスが生じてしまうことになり、損失が大きくなるため、不良は基本的には、早期段階で見つけて取り除くことが必要になります。

まさに病気と同じで、早期発見、早期治療ができれば、治療もスムーズに進むでしょう。できるだけ早い段階で不良を検出して、製造プロセスを補正して、よい工程管理状態を維持することが求められます。不良を生みだす要因は、製造工程だけではなく、企画・設計の段階にまでさかのぼり、作る前に検査して、問題を取り除きたいものですね。


(8)検査機器のチェック
検査機器が正しく動作するためには、定期校正を実施することが基本です。さらに、始業時に標準による測定点検を実施して、正しく動作できていることを確認します。もし、壊れた時のためにも、簡易測定機器は2台以上用意して、バックアップできるようにしておくことも大切ですね。

どのようにして、検査機器を正しく扱うことができるかを教育することも大切ですが、どうすれば測定機器をこわれてしまうのか、やってはいけない作業を現場の作業者に理解いただくことも必要です。例えば、引っ張り強度測定限界を超えた引っ張り、金属の長尺が変形する置き場での保管、重量測定のための基準分銅の素手による接触さびなど・・・。


(9)検査頻度のチェック
検査頻度が適切でない場合、品質問題を見過ごして、どんどん不良品をつくってしまいかねません。製品の基本であるQC工程図に、どのような検査頻度が記載されているでしょうか

一般に、抜取検査基準が、客観的な国際基準であるAQLによる基準や社内で独自設定された抜取基準を適用している場合が多いものです。注意しなければならないのは、1ロットの数量です。1ロットの単位の設定が明確で、対象範囲が広くなりすぎていないでしょうか。1ロットの単位は、定められたきりのいい生産数量単位、生産交代するシフト単位、1日単位などさまざまあります。ロットで不合格になった場合、その範囲が全てNGとなることも考慮しなければなりません。あくまで、同一の品質が維持されているロットで、検査抜取頻度を設定することが実務では求められます。


(10)検査合間のチェック
検査では、どのタイミングで抜取るかというサンプリングのタイミングも重要なポイントです。問題が置きやすいタイミング(始業時、就業時、シフト交代時、不良発生時、設備停止・稼動時、製品機種切り替え時、設備調整時、停電時)や中間抜き取りなど、サンプリングのタイミングもあらかじめ明確にしておくことが大切です。

また、不良発生時、設備調整時、停電時など、イレギュラーな作業が生じる場合の検査品の識別管理方法が教育されているでしょうか。場所や時間をはなれて検査をする場合、検査中の製品の検査実施の識別管理ルールを明確にすることが大切です。検査工程では、検査前、検査中、検査済みの区別が明確につくように置き場の区分、容器の区分を明確して、識別管理手順を検査者に教育することがかかせません。

また、出荷抜取検査では、ロットの中から一部の製品を抜き取るため、どの箱から抜き取って、検査後、どこにもどすのかなど明確にわかるように識別札をつけて、管理する手順や仕組みを構築することも求められるでしょう。


(11)検査時間のチェック
検査を行うために必要な時間は、確保されているでしょうか。生産工程のタクトタイムにおされると検査の作業時間が短くなってしまいます。適正な検査時間が確保できなければ、検査を正しく行えません。検査のために、必要な人数は何人でしょうか。

検査作業の改善で検査時間を短縮できていることと、生産におわれて検査時間が確保できないのは大きな違いです。特に、新規に垂直立上げを実施した生産ラインでは、検査への負担が大きくなるため、検査時間と検査現場の実態については、特に注意することが求められます。

検査時間


(12)検査記録のチェック
測定結果と比較判定する合否判定基準の記載があるでしょうか。測定結果欄だけがある検査記録シートは、判定する際に困るため、基準をわかりやすく記載しておくことが基本中の基本です。判定基準の記載がない検査記録シートは、多くの企業でよく見落としやすく、忘れがちな大切なポイントのひとつです。

また、検査の合否判定の確認欄が、検査記録シートにあるでしょうか。検査は何のために実施するものでしょう。数値を書くためのものではなく、合否を判定するためのものです。だから、全てのデータが合格範囲にあることを確認した後に、合否を作業者自身が判定することをくせづけることが大切です。


(13)検査不良時の対応チェック
いくつ同一の傾向的な不良が発生したら、工程異常連絡書を活用して、異常対応するのか、不良数での明確な基準はあるでしょうか。ISO9001-品質マネジメントシステムで社内規定として、異常連絡書のフォーマットが用意されていても、実務で活用されなければ、意味がありません。

傾向的に発生する不良に対しては、根本的な不良の原因を迅速に見つけて、改善していくことが求められます。いつ、連絡書を発行するのかその発動基準が明確ではない場合には、なかなか活用されないのが現実ではないでしょうか。工程異常連絡書の発動基準を設定し、自主的に品質を改善する仕組を構築・運用することがおすすめです。

また、どのラインのどの設備でどの不良項目がどれだけ発生したか、記録して、把握する方法が明確になっているでしょうか。品質問題を改善するためには、層別された細かな情報を仕分けして、あとで分析できるように段取りしておくことがかかせません。原因を追究するために必要な情報が集約できるように検査での不良の情報を工程別/設備別に取得できるように不良記録シートやシステム上の不良項目管理により、分類していくことが大切です。


(14)管理値のチェック
工程検査では、検査の合否判定基準とは別に、工程管理図の管理限界をこえたときに未然に改善する仕組みを導入することができているでしょうか。

不良品が発生してからではなく、不良品が発生しそうなときに、未然に改善をおこなうことが理想的です。ひとつでも不良をつくりださないために、管理範囲を設定し、管理幅を超えたときに、不合格になる前に迅速な対応をおこなうことで、不良品を未然に防ぎ、常に良い状態を保つように管理することがおすすめです。


(15)簡易検査項目のチェック
検査では、品質はあがりません。検査は、製品そのものの価値をあげるものではありませんので、簡易的に検出できる検査を活用することもあります。

例えば、梱包後の数量管理のために、重量を測定して、梱包物の数量間違いを検出する員数管理手法など、手間や費用のかかる検査手法にとらわれず、現場で活用しやすい検査手法を導入して、検査をよりスムーズにおこなえるように工夫することも大切です。実際に現物から測定した値と相関のある簡易的に測定できる数値の相関関係の基礎データをとって、簡易的な測定数値で代用することで、実際の現物を測定するよりも、手間を減らしたり、測定頻度をふやしたり、うまく品質管理に活用することがおすすめです。このように測定機器の特性値の品質を代替の特性で置き換える場合、実測された結果と代替の特性の相関関係がきちんと確認され、副作用が生じないようにすることが大切です。


(16)検査教育制度のチェック
検査員を認定するための座学、適性試験、筆記試験、実地試験、再試験、定期試験などの認定制度があるでしょうか。検査員を教育するための先生自身の育成・認定制度も含まれます。

検査は、だれにでも簡単にできる作業ではありません。単に目の前にあるものを検査すればよいわけではありません。検査の目的、製品(プロダクト)、製造工程(プロセス)を理解し、検査対象となる製品がどのようにお客さんに使用されているかが理解されるような教育プログラムはあるでしょうか。

検査をすること自体が作業目的化して、品質を保証する意識が薄くなることが、もっとも危険な状態です。品質検査データの改ざんなどが話題になることがあるように、組織と検査者の品質モラルや検査体制づくりも重要になります。検査している製品が自分の家族に届けられることを想像して、大切な検査をしていることを検査員にできるだけわかりやすく伝えられているでしょうか。製品の検査箇所が、どこが重要な測定ポイントか、なぜ重要かを理解されているでしょうか。特に品質上大切な箇所、過去問題が発生した場所、品位がとわれる箇所など重要になるポイントは、製品やお客さんの要望によって異なります。どのようなポイントが大切かをしっかりと理解して、検査として機能するような検査教育を実施していきましょう。


(17)検査力量のチェック 
検査者の力量を見える化できているでしょうか。自動車の運転初心者さんは、若葉マークをつけて、まわりの運転手さんにわかるようにしています。工場でも、新人作業者の特別の識別マーク(帽子の色や腕章やパッジ)で新人作業者が外からみて一目でわかるようにできているでしょうか。新人作業者が独り立ちするまでの作業教育期間や訓練方法を明確にして、先輩社員が隣についてサポートする制度や検査作業時間を長く取って、教育と同時に生産検査実務でのミス防止を図ることが大切です。

また、ひとり立ちした検査作業員の力量も確認できているでしょうか。検査員の検出力を確認して、検査レベルを定量的にフィードバックできているでしょうか。検出力は、不良が含まれるサンプルの中から、不良がいくつ検出できているかをチェックすることで確認できます。

実務上では、同じ生産ロットで検査者別の比較によって、不良率がどれだけ変化しているか比較してみると、検査者別の大きな違いがあることで確認できます。どれだけ検出できているか、検査者にフィードバックする機会は少ないので、数値で客観的に伝えて、検査者の力量を把握して、向上させていくことが大切です。検査レベルの向上のためには、現在のレベルがどれだけかを客観的に理解することが、改善の足がかりとなります。

このような検査教育を通じて、だれがどれだけの検査スキルがあるのかを一覧表で管理するのがスキルマップです。検査現場に写真入りのスキルマップ表を作成し、掲示して力量管理とともに、さらに高いスキルアップを目指すように検査者の意識を高めていくことが求められます。


(18)検査作業者のチェック
検査では、検査作業者の身なりを整えることは、検査の前の基本です。交換が必要な検査手袋の交換頻度や基準は明確になっているでしょうか。

検査者によって、手の大きさも異なります。現場にいけば、検査作業者の手袋の種類とサイズが、不適切で作業がしにくいこともあるでしょう。指の先端につけるゴムサックがきれていることもあるでしょう。つめが伸びていれば、ゴムサックがやぶれてしまいます。時計や腕輪などが、製品に傷をつけるものを着用していてよいでしょうか。携帯電話があれば、検査中にでなくても、電話の着信の振動があれば、気になってしまいますので、携帯電話の管理方法も明確にしておくことが求められます。どのような服装や所持品で作業するルールがあるのか、検査場所にいく扉の前や検査場所に掲示して、注意喚起できているでしょうか。

また、検査作業者は連続作業によって、疲れていないでしょうか。疲れて、検査に影響がでない休憩時間の確保や検査項目の定期交代など、検査精度が落ちないような配慮もできているでしょうか。検査作業者が検査をする前にどのような状態であるべきか、身なりのルールをきちんと設定することが大切です。


(19)検査効率のチェック
測定するために寸法を計測するのではなく、ゲージにいれて全数確認をしたり、作業を通じて、簡易的に確認する方法を活用し、効率化することができます。定期的に、実際に寸法を記録することも大切ですが、製品の品質を効率よく、全数チェックするための手段として、ゲージを活用して、検査することは、多くの企業で実施されています。

検査効率

また、製品が進化しているように、検査機器も進化しています。大規模な業界の展示会に足をはこぶと、さまざまなヒンみえてきます、最新の検査機器情報もチェックしてうまく活用しましょう。
最近では、3Dプリンターも市場にたくさんでてきましたので、工程検査で製品をセットする固定治具の検証、固定治具そのものに活用できることもあるでしょう。検査作業がより楽になる方法について、新しい方法を検証していくこともこれからのものづくりの改善のヒントになるのではないでしょうか。


(20)検査破壊のチェック
検査によって、良品をはかしてしまうリスクは常に潜んでいます。検査作業によって、新たな不良を生みだす恐れが生じていないでしょうか。

電子部品の静電気による破壊、検査容器に付着した汚れの製品への付着、温湿度環境による露の発生による破壊、通電検査による破壊、落下による破壊などさまざまなところに、検査が品質不良の要因になる恐れがあることに注意をはらわなければなりませんね。


(21)検査実務運用のチェック
検査は、リーダーが、検査実施状況を定期チェックしているでしょうか。第三者による検査員の作業実態と検査状況の把握により、検査作業そのものが適切に実施されているかを検証します。品質メンバーだけでなく、管理責任者や工場長や経営者が検査現場を巡回し、ものづくりの現場にふれて、感じることがなにより大切ではないでしょうか。

数値として現れた検査結果や紙に記載された合否の判定結果だけでなく、モノを自らの目でみて、品質を確認していきたいものです。品質に合格しているなかでも、さらに高い管理状態を維持できるようにたゆまぬ改善をひとつひとつおこなうことが、継続的品質改善です。

優秀な工場では、工場長が、先頭に立ち、現状の合格品質を満足させることは当然のこと、妥協することなく、さらなる改善を目指して、実直にとりくんでいるものです。


以上、今回は、検査の検証ポイントをご紹介しました。

品質問題が生じたときや工場監査のときには、製造工程だけでなく、品質検査のあり方についても検証することが求めれられますので、検査を検証するときのヒントになれば、幸いです。


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2013年12月16日

変更管理の3ステップとは?

変更管理の3ステップとは?
(2013年12月16日)品質管理研究所


お客さまに喜ばれるためには、
変化しつづけることがかかせません。

変化は、成長の証。

変更管理

いっぽう、品質を維持するためには、変化をさせないことが大切です。

変化があるとき、そして、変更するときは、
品質も変化し、問題はおきやすくなります。

品質部門のしごとは、変化をいち早くとらえ、変化に未然に備えることです。
問題を起こす恐れのある変化の芽に気づき、つみとることが求められます。


変化にきづくためには、
日頃から情報のアンテナをめぐらせ、敏感になる努力もかかせませんが、
変化に関わる情報を入手できる仕組みを整えることが必要です。

変化には、「内の変化」と「外の変化」の2つがあります。
内なる変化は、社内の情報を入手して対応できますが、
外からの変化は、社外の情報に左右され、対応しにくいものです。

もし、社外の取引先さんの外部情報がうまくとりいれる仕組みができていないと、
変化にきづかないまま、知らぬ間に変化しているということになりかねません。

そのため、社外取引先さんとの間の情報共有として、
『変更管理』は、最重要の品質管理項目として、認識しておく必要があります。


例えば、取引先さんが、変更届出をせずに、良かれと思って変更したことでも、
最終商品として、知らぬ間に悪い影響をあたえることもあるでしょう。
最終商品でどのような影響があるかは、材料メーカーさんだけでは、判断できません。

変更には、くすりの副作用のようなリスクが潜んでいることを認識しておかなければなりません。
安易な変更は、けっして、許されるものではありません。


変更管理と品質管理

そこで、変更管理をおこなう上で、
下記の3つのポイントをおさえることが大切です。

<変更管理の3ステップ>
(1)契約 品質保証契約での変更管理のルールの明示
(2)仕組 変更管理の規定と変更管理フォーマットの活用
(3)確認 工場監査での実務運用のチェック




<変更管理の3ステップ>

(1)契約 品質保証契約での変更管理のルールの明示
会社と会社との取引には、契約があります。品質保証契約の中で、製品の変更管理のルールを明らかにできているでしょうか。

5M1E(Man/Machine/Method/Material/Measurement/Environment)といった品質に影響を与える変更に関して、変更がある場合には、事前に必ず、一定期日前に届出を行い、取引先の承諾を得た上で変更を実施することを契約の中にもりこむことが基本です。

品質の変化点となる変更は、品質を低下させる要因が数多く潜んでいることから、契約として、事前に明確にしておくことが大切です。無届けの変更によって、品質の検証がなされないまま知らぬ間に変更されることによって、あとで品質問題が発生しないように、この変更の事前申請による承認手続きを理解してもらうことがかかせません。

日本のものづくりの取引では、あたりまえのことかもしれませんが、海外との新規取引の場合には、特に、注意しておきたいポイントです。


(2)仕組 変更管理の規定と変更管理フォーマットの活用 
取引先の実務担当者が、個別顧客企業の品質保証の契約書を見る機会がはたしてどれだけあるでしょうか。実際には、ほとんどないのが現実ではないでしょうか。そこで、この約束ごとを理解して、変更管理を徹底するためには、どのような方法が考えられるでしょう。
必要なときに、いつでも見ることができるようにしておくことが必要になります。そこで、社内の関係者がいつでも見ることができる組織のルールや品質管理規定の中に、変更管理のルールをおとしこむことが必要になります。

特に、品質を保証するための仕事の流れが明記されている「品質保証体系図」、変更時のルールを具体的に明記している「変更管理規定」の中で、一連の変更手続きを明確にするのがおすすめです。規定は、あくまで文書なので、さらに具体的な行動につなげるために、実務フォーマットにおとしこむステップアップが大切です。そこで、変更が生じた際の社内申請と検証をおこなうフォーマットの中で、顧客先への事前承認の有無を確認する項目を追加しておくことが大切です。だれもがその重要性に気づき、もれなく確認できるようにするためには、変更管理のフォーマットの中で、運用することがおすすめです。

また、購買する立場で、品質契約の条項に合致する変更項目を記載した、独自のフォーマットをあらかじめ作成し、取引先さんに提供しておき、特別の品質要求事項として、部材メーカーさんの営業さんと工場の両者に認識してもらい、理解を深めてもらうこともできるでしょう。


(3)確認 工場監査での実務運用のチェック
実際に変更が生じた際に、変更管理の仕組みが適切に運用されていることを確認できているでしょうか。変化の実態は、現場にいかなければわかりません。定期的に工程パトロール、工場監査をおこなっているでしょうか。自らの目で工場の変化を直接確認して、変化を確認することで、前回確認をしたときと変化していることがないかを自らの目で確認できているでしょうか。

現地、現物、現実を見て、変化をとらえることが、ものづくりの基本です。定期的に現場をチェックしていれば、変化にも気づきやすくなります。変更の申請に依存するだけでなく、自らの目で変化に気づく姿勢ももちたいものです。

また、工場監査の品質システム監査として、ルールと運用実態を確認しておくことも大切です。窓口の担当者さんや製造メンバーが変わっても、実務運用できることを定期的にチェックして、確認することもおすすめです。海外の日系工場では、担当責任者が海外赴任期間で数年すると入れ替わることも多く、過去担当していた責任者さんが変わり、業務が十分に引き継がれない場合、正しく情報が伝わっておらず、改めて注意をうながすことが必要になる場合もあるものです

大切なことは、何度も繰りかえして、伝えて理解してもらうことが大切ですね。


以上、今回は、品質管理の重要ポイント「変更管理」の3ステップについて、ご紹介しました。
「変更管理」は、組織と組織のコミュニケーション手段です。
皆さんの品質管理の実務にうまく活用できるヒントがひとつでもあれば、うれしいかぎりです。


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posted by かおる at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 変化点管理

2013年12月10日

自動車免許に学ぶ!新人教育制度とは?

自動車免許に学ぶ!新人教育制度とは?
(2013年12月10日)品質管理研究所 

ものづくりやサービスにおいて、
品質を維持する上での大切な変化点のひとつに、
新人さんのはじめての仕事があります。


しごとの基本は、ひとを育てることです。

新人さんに質の高い仕事をしていただいて、すぐに力になってもらうために、
どのような仕組みが構築できているでしょうか。

自動車の運転免許を取得する流れを考えてみると、
教育と訓練の仕組みがわかりやすく理解できます。


ものづくりやサービスでの新人さんを教育をすることを思い浮かべながら、
以下の自動車の運転免許に関わる仕組みを通じて、考えてみましょう。

運転免許をとるときには、道路に出る前に交通ルールを学びます。
ルールを学ぶことは、しごとの基本になります。
やってよいこと、いけないことを明確にして、
しらないことをわかりやすく教えてあげることが必要ですね。

品質管理教育制度

頭で理解しているだけでなく、
実際にふれて、自動車を運転する体験を通じて、技能を訓練することも必要になります。

最初は、一人で運転すると危険です。
そのため、先生にとなりについてもらいます。
公道ではなく、安全な教習コースで運転の練習をします


一定の訓練経験をへて、個々の理解度と技能を確認し、試験をうけます
合格すると、仮免許をもらい、はじめて実際の公道にでて、運転の練習ができるようになります。

公道での訓練もまた、先生がしっかりととなりでサポートしつづけることが大切です。
そして、実際の運転での技能検定と学科試験をへて、はれて、免許をもらうことができます。

新人さんは、特に、事故を起こしやすいので、品質を維持するためには、
仕組みの中で、一定の教育を繰り返し、力量を管理することがもとめられます。
一度免許をとってもまた、時間がたてば、基礎に立ち返り、更新することが必要です。

また、過去に、実際にどのような事故がおきたか、
どのようなことに注意しなければならないかを知ることも大切です。
大きな事故や問題を起こせば、免許停止になり、運転ができなくなります。
取締りをするおまわりさんの役割が、必要になる場合もあるでしょう。

初心者さんには、周りのひとが一目でわかるように
初心者マークをつけることも大切なことです。


目のわるいひとは、視力を確保するために、めがねの着用が必要になります。

普通の自動車、大型車、タクシーなど乗り物によって、
さらに要求される試験や資格の種類や試験もことなります。

工場で、新人さんに、新しいしごとをしてもらうときも、
このような車の運転免許の制度とおなじことを実施することができるでしょう。

仕組みを通じて、基礎教育を行い、
実務経験もふまえて、人の力量を継続的に高め、維持していくことが求められます。


ものづくりでは、作業者の力量に左右されるはんだづけ作業など、
特殊な重要品質工程として、作業者認定が必要とされる工程もあるでしょう。
そのような認定作業者を訓練し、認定していくための制度としても、
自動車の免許制度は、たくさんのヒントをあたえてくれます


わたしたちの身近なところには、
品質を高めるためのヒントがたくさんひそんでいるのではないでしょうか。


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posted by かおる at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 品質教育