2013年10月12日

自立品質の確保とは?

自立品質の確保とは?
(2013年10月12日) 品質管理研究所


東洋医学の鍼や灸では、体の表面を刺激して、体の内側から変化させ、
苦痛を和らげたり、回復力を高めたり、病気の治療や予防をおこないます。
患者さん自身の力をうまくひきだして、回復する方法です。


品質問題を抱える企業も、患者さんにみたてて考えるとどうでしょう。
企業の悪い症状にきくつぼがあれば、知りたくないでしょうか。

自立品質

工場監査で、さまざまな企業の現場をみていると、
過去に訪問したさまざまな企業の良い状態と比較して、
工場のさまざまな問題点が浮き上がって見えてくるものです。


ゴミが落ちている、
整理整頓ができていない、
作業手順が不明確、
設備が故障している、
摩耗品の交換ができていない、
不良品が管理されていない、
仕掛品がたまっている、
通路がへこんでいる、
履歴のわからないモノが放置されている
始業時の点検ができていない、
校正ができていない、
識別管理ができていない、
材料の不良が多い、
先入れ先だしができていない、
記録に基準がない・・・。

理想の姿とのギャップが見つかります。
目に見える問題の多くは、社員が気づいているはずです。

どこの企業にもあてはまりそうな問題ですが、
このような目に見える問題点だけを改善することが本当の品質改善でしょうか。

目に見えている問題の背景には、
見えていない本質的な組織の問題点が、潜んでいます。
なぜ、その問題がおきているのかをつきつめていくと、
組織の構造的な問題や品質マインドの問題などにいきつきます。

安定した品質を確保するために、
改善しなければならない本質的な、問題点とはいったいなんでしょうか。



経営クラスの品質に対する意識と現場感覚の欠如
製造現場の生産数量と納期最優先思考と品質マインドの欠如
製造責任者・品質責任者の製造現場からの乖離
工程を監督する責任者の不在と責任者意識の欠如
製造者のやる気を高める評価制度の欠如
新人作業者・社員への教育システムの欠如
作業者間の情報共有の不足と仕組の欠如
製品の品質基準の妥当性を検証する仕組みの欠如
製造工程の管理の妥当性を検証する仕組の欠如
設備の維持管理をおこなう設備管理部門の欠如や人員不足
製造工程の品質を安定的に維持する仕組の欠如
出荷検査や工程パトロールを実施する品質部門の独立性と人員不足
過去の不良に対する再発防止のための仕組みの欠如
受入部材の品質評価と改善の仕組みの欠如
慢性的な品質問題を自主的に改善する仕組みの欠如
想定される品質問題に対するに理解と関心の不足
現場の声を吸い上げて改善する仕組みの欠如

見えている多くの問題のかげには、このような組織やメンバーの品質マインド、
組織のルール・仕組み、組織の部門構成・人員配置などの本質的な問題が隠れています。


このような目に見えない問題点は、全体的な組織の特徴や症状として、
個々の目に見える問題の要因をつなぎあわせて観察しなければ見つけにくい問題です。

さらに、現場であらわれる症状は同じでも、異なるところに原因があることもあるでしょう。
企業個別の会社の沿革や成長経緯、外部の市場環境などの状況はさまざまなので、
企業の特徴を理解しておくことが、本質的な品質の原因究明の上でも役に立ちます。


実生産は派遣社員さんや協力会社さんに助けてもらっている会社さん、
M&Aにより買収された企業で複数の元社員さんがいる会社さん、
他の事業分野から新規参入して、特定事業の経験が浅い会社さん、
経営者が親会社から来ている会社さんや創業社長がいる会社さん、
多国籍の社員さんが協力して事業をしている会社さん、

など、品質面での長所や短所、品質管理の考え方ややり方にも違いがでてきます

自立品質


品質問題をかかえている患者さんの目に見えている問題だけを個別にとらえるだけでなく、
患者さんのことを理解して、問題を全体でとらえる考え方が求められます。


工場でみられる問題と企業個別の特長をつなぎあわせて考えることで
組織の大きな問題がうかびあがってきます。


現場で目に見えている問題だけにとらわれず、全体をみて、重要なつぼを刺激することが、
企業の品質改善の力を高めることにつながるのではないでしょうか。

このような根深い問題に対して、どのようなはたらきかけで改善を進めるかも大切です。

問題点をきびしく指導することは容易ですが、
問題を未然に防ぐように自立した品質確保のためには、
工場自らの前向きな力を活かすことがかかせません。


改善した後の結果は同じでも、自らの気づきで改善することが、
その後の改善の持続性と改善意識の醸成にもつながります


目に見える問題点を指摘する中で、一方的に指摘するのではなく、
どのような本質的な問題点があるかを工場の声から聞き取れているでしょうか

工場の意見をきちんと聞いて、本質的な問題の要因をうまく引き出せているでしょうか。
優秀な企業の工場を見学する機会をつくり、刺激をあたえることもおすすめの方法です。

大切なことこそ、いかに気づいてもらうか、
その改善プロセスも、大切にしていきたいものですね。


品質の問題点を外から指摘することは簡単ですが、
それでは、企業が自立して、安定的な品質を確保することはむずかしいものです。
いかに品質問題を内から気づいて、自ら改善してもらうか、
自社の協力会社や取引先さんの自立品質確保について、考えるきっかけになれば幸いです。

ぜひ、皆さんの企業にあった品質改善のつぼを見つけてみてくださいね。


【関連記事】
東洋医学に学ぶ未病と予防思考
気づきとは何か?
自工程完結の品質保証とは?
品質対症療法の弊害とは?
posted by かおる at 19:20| Comment(3) | TrackBack(0) | 品質改善