2013年09月30日

品質保証のかなめ「予見力」とは?

品質保証のかなめ「予見力」とは?
(2013年9月30日)品質管理研究所


品質問題がおきたときに、原因を調査するために、
どのような情報を確認すればよいでしょうか。


品質問題でお客さんにご迷惑をおかけしているときに、
お客さんに根掘り葉掘り聞きにくいことも確かですが、
問題が再発すれば、再度ご迷惑をおかけすることのほうが、大きな問題ですね。

いざというときこそ、お客さんとの日頃の関係性がとわれますが、

問題が発生したときには、下記の情報をしっかりつかんで、

問題の原因究明と対象範囲の明確化、
迅速な応急処置と根本対策をとることがかかせません。


予見力

そのためには、お医者さんのようにお客さんに下記の項目の「問診」をして、数ある情報を整理できているでしょうか。

@製品名    :問題となった製品名
A製品型番   :製品を特定するための製品機種ごとに設定された型番
B製造識別番号 :原因を調査するための製造ロット番号や製造シリアル番号
C不良発生数  :品質不良が発生した製品の数量
D不良発生率  :納入した製品の不良発生率(不良数/購入数)
E不良内容   :不良の内容(不良とその周辺の不良写真や不良製品の回収も)
F不良発生状況 :不良がどこでどのような状況で確認されたか
G不良発見日  :不良品を確認した日(納入日、開梱日、使用時など)
H保管状況   :不良品の保管状況(すでに納入された製品の在庫情報)
I要望事項   :お客様が要望していることや緊急性、気になっていることなど

お客様からうかがったこのような品質不良に関わる情報は、原因究明と対処の肝となります。これらの問診情報をもとに、まずは、問題発生の原因とその対象範囲を明確にしていきます。

そして、何よりお客さんの直近のお仕事に迷惑のかからないように、
その対象となる不良範囲から新たな不良で問題が発生しないように、
再検査したり、新しい製品と交換したり、
どんな迅速な対応が、いつまでに必要かを明確にして、
お客さんにとっての被害を最小限に抑えることが最優先事項となります。


江戸時代には、火事が発生すると、火消しさんが延焼を防ぐために、
風下の家屋を壊して、火災の被害を最小限にくいとめていたように、

品質問題が発生したときには、品質問題の対象範囲を予測して、
問題を最小限にくいとめる『予見力』が求められます。


予見力

複数の工場に品質問題となる対象ロットが納入されている場合には、
品質問題の可能性が拡大する場合もあるでしょう。
そうなれば、確認範囲をすぐに広げて、チェックしていくことが必要になります。

問題は、目の前で見えて、実際に起きていることだけではありません。
全体を俯瞰的に見て、これから何が問題となるかを改めて見つめなすことがもとめられます。

予見力とは、問題が起きる前に、その問題を見通す力と考えられがちですが、
問題が起きたあとでも、その被害を最小限に抑えるためにも必要な力です。

起きてしまった事実を真摯に受け入れ、
これから起こるべき事に対して、どれだけ迅速に対処できるか、
そのスピード対応が、品質問題による被害を最小限に抑えるのではないでしょうか。

問題を起こさないように努力しても、
ときに問題がおきてしまうことは、だれしもあることです。

企業においても、そんなときにこそ、
お客様を想う心で、いかに迅速に行動をどれるかが、
企業の存在価値を示すものなのではないでしょうか。


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2013年09月21日

品質管理研究所サイトマップ

品質管理研究所サイトマップ
(2013年9月21日)品質管理研究所

品質管理研究所のサイトマップですひらめき

みなさまからのあたたかいコメントいつもありがとうございます!
最近は、毎月アジアの国々を訪問して、さまざまな工場の品質向上に励んでいます。

これからも、実務で役立つ品質のヒントをご紹介していければ、うれしくおもいます!


(1)品質管理研究所について
@品質管理研究所について
A品質管理研究所 OPEN 2周年

(2)品質の歴史
@知られざる品質管理の歴史
A日本製品の品質の高さの秘密とは?
B伊勢神宮に学ぶ品質思想

(3)品質の思想
@お客様はだれですか?
A『ものづくり』は、『料理づくり』と同じ?
B良い部品は良いパートナーから!
C虫歯と品質不良の関係?
D動画で学べる『品質思想』〜飯塚教授
E後工程はお客様!
F「工程で品質をつくりこむ」とは?
G「鳥の目」「虫の目」「魚の目」
H改善4原則「ECRS」とは?
I TOC制約条件の理論とは?
J交通事故の対処に学ぶ品質不良対応
K大企業病と経営品質とは?
L世界の品質改善手法-シックスシグマとは?
Mゆでがえる現象とは?
N品質マインドを高める「品質十戒」とは?
O東洋医学に学ぶ未病と予防思考
P気づきとは何か?

(4)品質目標
@品質目標とは?
A品質目標は、健康のバロメータ?
B納入部材の品質目標とは?
CSMARTな品質目標の設定方法とは?
D海外品質の向上!社員の定着率管理とは?
Eダイエットと品質改善
F歩留まり改善とは?
GFコストとは?
H歩留まりのリカバリー「4R」とは?

(5)品質保証
@『品質保証の仕組みづくり』
A品質契約って?なに?
Bトレーサビリティの確保は大丈夫?
C何をする?SCM!
D発想の転換?グローバル品質!
E品質保証部は、ゴールキーパー?
F品質のドミノ倒し
Gいつお客さんに会いましたか?
H機種・製造番号の情報品質管理とは?
I柔軟な発想!特別採用とは?
J品質オリンピックとは?
K品質保証の砦『キープサンプル』とは?
L自工程完結の品質保証とは?

(6)品質管理
@『品質管理の体系的学習について』
A識別管理とは、色別管理?
B節目管理は、記念日管理?
C『QC工程表』って何?
DQC工程表の作り方とは?
E何をかく?QC工程表!
F品質管理は納入部材から?!
G作業標準書とは!?
H部材保管管理 15の基本とは?
I納入部材の品質不良、改善方法とは?
J商社を通じた海外部材の品質指導とは?
Kディズニーランドに学ぶ変化点管理
L逆転の発想の輸送梱包とは?
M「食」の品質管理とは?
N就活から学ぶ部材品質管理とは?
Oオーケストラの指揮者に学ぶ品質管理とは?
P予測に基づく品質管理とは?
Qリワーク工程の品質管理とは?

(7)品質改善
@品質改善の思考法 『PDCAサイクル』
Aやってはいけない『3S』とは?
B製品は、わが子と同じ?!
CWar roomとは?
D品質月間とは?
E不良品をわざとつくるとは?
F原因不明の不良問題を解決するには?
G品質不良改善シートとは?
H納入品質改善計画・実績報告書とは?
I品質会議とは?
J品質対症療法の弊害とは?
K不良品の原因調査の基本とは?
L品質不良の削減!品質不良マップとは?
M常識をうたがう「いじわる試験」とは?
N品質不良、再発防止の落とし穴とは?
O鮭の生き方に学ぶ品質改善
P品質改善のつぼとは?
Q「草むしり」に学ぶ根本的な品質改善
R品質改善は、「粗探し」から「宝探し」に!

(8)品質教育
@品質教育はだれにすべき?
A品質は口が三つ?
B11月は、品質祭り?
Cスキルマップとは?
Dスキルマップの作り方とは?
E作業手順書の作り方とは?
F歩のない将棋は負け将棋?!
G仕事品質を高める『教え』と『学び』とは?
H実務で役立つ品質管理教育7つのポイント
Iリンゲルマン効果と品質管理
J過剰品質の見直しとコストダウンとは?
K品質確保にかかせない「引き継ぎ」とは?

(9)QC7つ道具
@QC7つ道具〜品質管理ツール
A重点指向のパレート図!
B管理図とは?
Cドラッカーに学ぶ『管理』とは?
Dチェックシートの落とし穴
Eパレート図の作り方とは?
FP管理図とは?

(10)新QC7つ道具
@新QC7つ道具とは?

(11)FMEA
@FMEA による未然防止とは?
A動画で学ぶFMEA!
B工程FMEAとは?
C DRBFMのやり方とは?

(12)工程能力指数Cpk
@工程能力指数Cpkとは?
A動画で学ぶ工程能力指数Cpk
B工程能力指数Cpkの計算方法とは?
C工程能力指数Cpkと不良率の関係とは?

(13)5S
@ものづくりの基本の『5S』とは?
A具体的な『5S活動』とは?
B動画で学べる『5S』!
Ce-Learningで学ぶ『5S』
D5Sチェックシートとは?
E5Sチェックシートの作り方とは?

(14)検査
@検査で品質は上がらない!?
A検査員は、だれがなる?
B限度見本は、官能検査のかなめ?
C外観検査に適切な照度とは?
D試験データはうそをつく?
E品質不良と検査時間
F品質検査員の検査ばらつきとは?
G「外観検査」は、脳でみる?!
Hドットゲージの入手方法とは?
I限度見本の承認ラベルの作り方とは?
J外観検査の役割 5つの「みる」とは?
K品質検査の大前提!クロスチェックとは?
L目視検査環境の作り方とは?
M出荷停止とは?
N五感で感じる!官能検査パネラーとは?
OEXCEL条件付書式による品質検査値の自動判定とは?

(15)抜取検査
@実務で使える抜取検査とは?
AAQLに基づく抜取検査のやり方とは?

(16)生産立上げ
@工場の垂直立ち上げ『Copy Exactly』とは?
A海外生産立ち上げとCopy Exactlyの落とし穴
BOEMを成功させる品質保証とは?

(17)倉庫管理
@倉庫管理!保管環境16のポイントとは?
A倉庫のトレーサビリティ管理とは?
B倉庫の7つの識別管理ポイントとは?
C倉庫での先入先出管理とは?
D員数管理とは?
E16事例で学ぶ!梱包不良

(18)品質不良
@冬はご注意!大敵、静電気!
A動画で学べる『静電気』!
B動画で学べる『粉塵』
Cストレス-ストレングスモデルとは?
D工場の防虫対策と品質管理
E識別管理の基本?信号色管理!
F不良の連鎖、2次不良とは?

(19)品質事例
@食品の品質検査とは?
A線路の検査ドクターイエローとは?
B日産自動車の品質物語
C7つのムダとは?
D大企業病に負けない『野鴨の教え』
E『愛するを、品質に。』

(20)長期信頼性
@素性が大切!?信頼性試験サンプル!
A信頼性の鍵は?繋ぎ目!
B信頼性の7つのポイント
C「現物」でみる?信頼性試験結果!

(21)品質管理者ツール
@品質管理者が知っておきたいフリーソフトR
A品質業務を効率的にするフリーソフト!『縮小専用。』

(22)工場監査
@工場監査とは、向上監査!
Aピンチはチャンス?工場監査!
B工場監査の役割とは?
C工場監査のやりがい
Dほめて育てる!工場監査
E工場監査7つ道具とは?
F工場監査先の選定方法とは?
Gスケジュールが命とり?工場監査!
H工場監査の隠れた確認ポイントとは?
I工場監査員とは?
J工場監査員の役割とは?
K工場監査員に必要な視点とは?
L海外出張で気をつけたい17のポイントとは?!

(23)監査のたび
@ドイツハイデルベルグ
Aベトナム ホーチミン
B中国 深圳
C中国 上海・無錫
D韓国 釜山
E中国 錦州
F中国 寧波・南京
Gタイ アユタヤ遺跡
Hマレーシア マラッカ
I韓国明洞
J中国 唐山
K中国 錦州 再訪
L中国 錦州 再々訪

(24)品質資格
@ソフトウェア品質技術者資格とは?
A品質管理検定(QC検定)とは?

(25)設備管理
@生産設備の体調管理とは?
A設備メーター管理の7つの基本とは?
B製造現場で要注意!夏バテする冷房設備とは?
C美容室の顧客カルテに学ぶ工場の設備管理

(26)安全管理
@ハインリッヒの法則とは?
A労働災害リスクアセスメントチェックシートとは?

(27)寄稿
@品質管理とクリーン化
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2013年09月16日

『愛するを、品質に。』

『愛するを、品質に。』
(2013年9月16日)品質管理研究所


今回は、プリンターや複合機で有名なリコーさんの品質取り組みをご紹介いたします。

下記のリコーさんのHPで、品質エピソードとともに
わかりやすく親しみやすい映像でご紹介されていますので、ぜひ、一度ご覧ください。

■ 『愛するを、品質に。』 ひらめき

リコー 『愛するを、品質に。』
(出典:リコーさんHPより)

『愛するを、品質に。』 というメッセージとともに、
お客さまを想うことから生まれた社員さんの素敵なエピソードは、
わたしたちのものづくりやサービスへの姿勢について、
改めて考えるよいきっかけになるのではないでしょうか。

「ものづくりの現場でつくっているもの、それはお客様との信頼関係」

わたしたちがものづくりの現場で日々奮闘しているなかでも
けっしてわすれてはいけない大切な言葉です。

お客様に期待されているもの以上の価値を感じていただくために、
何ができるのか、改めて考えるきっかけになるのではないでしょうか。



【関連記事】
「食」の品質管理とは?
日産自動車の品質物語
品質マインドを高める「品質十戒」とは?

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2013年09月15日

AQLに基づく抜取検査のやり方とは?

AQLに基づく抜取検査のやり方とは? - 品質管理研究所 -

今回は、企業の製品の検査のために活用される抜取検査の活用方法について、
JISZ9015に基づくAQL (Acceptable quality level)による抜取検査のやり方について
抜取検査表と共にご紹介していきます。



_______________________

<AQLに基づく抜取検査>
(1)抜取検査とは?
(2)抜取検査の国際規格(ISO)と日本の規格(JIS)
(3)JISZ9015の規格による抜取検査方式とは?
(4)ロットサイズの決定 〜抜取検査の対象ロットサイズとは?
(5)AQLの選択 〜AQL(合格品質水準)とは?
(6)検査水準の選択とは?
(7)検査の厳しさの設定 〜 なみ検査ときつい検査とゆるい検査
(8)主抜取表の活用 〜抜取表から抜取数と合格判定数を決定
(9)検査の切り替えルール
(10)JISZ9015-1を使用するための準備
(11)不合格ロットの処置

________________________

まずは、こちらからAQL抜取検査で活用する抜取検査表とサンプルサイズ選択表を
ダウンロードできるようにいたしましたので、ご活用いただければ幸いです。

JIS Z 9015-1 なみ検査の1回抜取方式(主抜取表)

■ JISZ9015-1 AQL指標型抜取検査 抜取検査表(EXCEL) ひらめき

■ JISZ9015-1 AQL指標型抜取検査 抜取検査表(PDF) ひらめき

なお、ご活用の際には、JISの原文に立ち返り、
内容をご確認の上、改めてご使用いただくようお願いいたします。


(1)抜取検査とは?
抜取検査は、製品を一定の割合で抜取り、チェックして、品質を維持改善するためのものです。製品の品質は、あくまで製造工程で作り上げるものであることが基本です。検査を通じて、不合格を取り除くということは、本来のあるべき検査の姿ではありません。検査は良品であることを確認するためのチェック機能であることが大前提です。

抜取検査は、製品を購入する消費者側の立場で、抜き取り、お互いに合意した水準以上の品質の製品が納入されていることを受入検査するために活用されます。また、生産者側の立場では、生産部門が生産した製品を最終的に品質部門がチェックする最終出荷検査の抜き取り検査としても活用されています。

このように、検査は、生産者側の作り手の立場と購入者の消費者側の2つの立場で考えることが大切です。検査は、製造現場の加工工程のように、製品そのものに付加価値を生むものでありません。検査をせずに合格になっている製品と検査をして合格になっている製品では、消費者にとって何か違うことがあるでしょうか。検査をすれば、検査をした製品には余計な追加の検査コストが加わっていることになります。

一方検査をせず、不良品が出荷されれば、お客様にご迷惑をかけてしまうことになります。生産者としては検査なしには、出荷しにくいのも事実です。検査を増やせば増やすほど、検査のコストは高くつきますが、検査をしなければ、生産者としての不安はつきまとうでしょう。品質不良は、後工程で発見されるほど、その費用損失は大きくなるでしょう。そこで、生産者には、検査によって、一定の歯止めをかけておく、自己チェックが必要になります。

消費者の立場では、不良品は、受け付けられませんが、検査によるコストアップで製品の購入価格が上がるようなことも避けなければなりません。このような生産者と消費者の2つの立場でおこるジレンマをときほぐし、生産者の検査費用の低減と消費者側の不良のリスクを最小限に抑え、安定的な良い品質を維持するための仕組みが、AQLによる抜取検査になります。

今回ご紹介するJISZ9015のAQL抜取検査は、この消費者危険(不満足な製品を合格とする危険率)と生産者危険(満足な製品を不合格とする危険率)を確率の理論をもとに定量的に規定しているところが魅力的なところです。一方、数学的な理論に基づく根拠が背景になっており、製造現場で活用するためにどのように使用すればよいか学習が必要なところが、JIS規格に基づく抜取検査を導入する際のハードルとなっているともいえるでしょう。

そこで、今回は、その抜取検査のエッセンスを抽出して、現場で活用できるポイントをまとめてみましたので、うまくご活用いただければ幸いです。


(2)抜取検査の国際規格(ISO)と日本の規格(JIS)
製品の品質をチェックするために、抜取検査をおこないますが、みなさんはどのような頻度で抜取をして、どのように合否判定をしているでしょうか。そして、国際的なビジネスでも、通用する抜取検査は、いったいどのような基準になっているでしょうか。

JISZ9015 AQL抜取検査

現在、日本の製造業の抜取検査として、多くの企業で活用されているものが、
下記のJISZ9015のJIS規格に基づく抜取検査ではないでしょうか。

■ 計数値検査に対する抜取検査手順- 第0部:JIS Z 9015 抜取検査システム序論
Sampling procedures for inspection by attributes –
Part 0: Introduction to the JIS Z 9015 attribute sampling system

このJISZ9015-1の規格は、ISO/DIS2859-1.2 : 1997 の国際規格と一致するように提案されています。つまり、JIS規格とISO規格が一致することで、国際的なビジネスにおいても、品質検査の根拠としては、言語は違っていても、共通の理解ができる検査規格であるといえるでしょう。

品質は、製品が海外で活躍するためのパスポートです。検査の内容だけでなく、その背景にある考え方を理解して、抜取検査に活かしていくことが大切です。

■ ISO/DIS2859-1.2: 1997, Sampling procedures for inspection by attributes- Part 1 : Sampling plans indexed by acceptable quality level (AQL) for lot-by-lot inspection

JISZ9015の内容には、日本の工業標準として、ISO2859の国際規格にはない説明事項の記載についても、本文中に下線を引いて、わかりやすく区別して、紹介されている点も見逃せませんので、インターネット上のJISのHPから原文を一度読んで見ることをおすすめいたします。


(3)JISZ9015の規格による抜取検査方式とは?
JISZ9015では、抜取検査について、次のような3つの抜取検査のやり方を紹介しています。

@JISZ9015−1 第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式
AJISZ9015−2 第2部:孤立ロットの検査に対するLQ指標型抜取検査方式
BJISZ9015−3 第3部:スキップロット抜取検査手順


実務では、シンプルで活用しやすい、@ISZ9015−1 AQL指標型抜取検査方式が使用されることが多いのではないでしょうか。

今回は、この「ISZ9015−1 ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式」について、ご紹介していきます。



(4)ロットサイズの決定 〜抜取検査の対象ロットサイズとは?
抜取検査は、その言葉のとおり、生産したものから、一部を抜き取る検査方式です。

まずは、どこからぬきとるか、その全体をどのようにとらえたらよいでしょうか。抜取検査を行う上で必要となる生産全体の数(母数)、いわゆるロット数(ロットサイズ)をどのように定義すればよいでしょうか。


企業によって、その生産ロットの定義は、異なります。ロットのサイズをどのように定義するかによって、検査の抜き取り数も変化しますので、ロットのサイズをどのような数にするかあらかじめ定めておく必要があります。

例えば、1日で生産したものを1ロットとするのか、日勤と夜勤があり、それぞれの1シフトで生産したもの1ロットとするのか、一定数量の生産品を1ロットとするのか、ロットに対する定義はさまざまです。

JIS規格で紹介されているロットサイズを設定する上での注意ポイントは、次の3つです。

@ロットサイズの決定は生産工程の知識なしにはしないほうがよい。
Aほとんど全ての場合にはロットサイズの上限および下限をきめることが望ましい。
Bロットは、実質的に同一の条件で生産されたアイテムで構成することが望ましい。


生産品は、ロット毎に検査されますので、ロット間での検査の合否の情報は連続的な生産の中では重要な工程の傾向的変化を示す大切な情報として活用することが求められます。そのため、ロット毎の検査では、抜取後、製造の順番と同じで、先入れ先だし(FIFO)ですぐに検査をして、現場にフィードバックすることが求められます。また、ひとつのロットをあまりに大きい単位にしてしまうと、品質問題が発生した際のロットアウトの対象数が多くなることも理解しておく必要があります。

ロットをどのように定義するかによって、企業における品質の姿勢が見えてくるものです。

(5)AQLの選択 〜AQL(合格品質水準)とは?
製造現場でAQL(えーきゅーえる)という言葉をどこかできいて、聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。AQLとは、Acceptance quality limit、「合格品質限界」の略称です。

JISZ9015-1では、AQLは、『継続して連続ロットが抜取検査に提出されるときに、許容される工程平均の上限の品質水準』として、定義されています。

製品の品質が、AQLと同じかそれ以上の良い工程からサンプルされたロットの場合であれば、その製品は、多くの場合、合格するということになります。JISZ9015-1では、このAQLをあらかじめ設定して、検査の抜取頻度を決定するため、あらかじめどのようなAQL(%)に設定するかを定めておく必要があります。

JIS規格で紹介されているAQLの設定でのポイントは、以下の通りです。

@AQLの設定においては、AQLが生産のときに要求される品質の指標を与える。
A生産者はAQLより良いロットを生産することを要求される。
BAQLは、生産者の立場で妥当に到達できるものであり、消費者の立場からも妥当な品質でなければならない。
C問題の製品がどのように使用されるか、不具合の結果を考慮する必要がある。


例えば、組み立て作業の中で組み込まれる部品に不具合があり、組み立て中に問題として必ずはねられる構造である場合AQLをゆるく設定し、不具合が高価で重要な装置の部品で取替えができないようなもので機能障害を起こすようなものかによって、AQLをきびしく設定するなど、AQLの厳しさを要求する品質と許容できる品質の範囲でうまく変化させることが大切です。
個々の品質特性に応じて、AQLをうまく設定して、製品の要求を満たすように活用していきましょう。

また、AQLを指定することによって、不良品が規定の合格品質限界まで含まれてよいということを肯定するものではけっしてありません。不良品はもちろん、少ないほうがよいという認識のもとで、生産者側、消費者側の立場で、このAQLを使用しなければなりません。


(6)検査水準の選択とは?
検査水準は、ロットサイズと抜取のサンプルサイズ(サンプリング数)の関係を決定するために必要な水準であり、抜取検査を行う上であらかじめ設定しておくことが求められます。

JISZ9015の抜き取り検査水準は、3種類の通常検査水準(T、U、V)と4種類の特別検査水準(S-1、S-2、S-3、S-4)からなります。

・通常検査水準 (T、U、V)
・特別検査水準 (S-1、S-2、S-3、S-4)


通常検査水準は、最も使用される水準であり、他の水準が規定された場合意外は、通常検査水準Uを使用することになっています。(JISZ9015-0で記載)。

通常検査水準では、I<U<Vの順番でサンプリングサイズが多くなるように設計されています。また、特別検査水準は、サンプリングサイズを小さくしておかなければならないような状況を想定して、設計されています。

ロットサイズと検査水準を選択することで、下記表JSZ9015-1サンプル(サイズ)文字の指定された一覧表からサンプル文字(英字)を確認します。

JISZ9015-1 AQL サンプル文字


例えば、ロットサイズが、300で通常検査水準Uの場合には、『H』を選択することになります。


(7)検査の厳しさの設定 〜 なみ検査ときつい検査とゆるい検査
次に検査の3つの水準から検査を選択します。

@なみ検査(Normal inspection)
ロットの工程平均がAQLより良い場合に生産者に高い合格の確率を保証するようにした抜取検査方式を使用する検査
※「工程平均」とは、工程が統計的な管理状態にあるときの不良率と解釈できます。

Aきつい検査(Tightened inspection)
対応するなみ検査よりもきびしい合否判定基準をもつ抜取検査方式を使用する検査

Bゆるい検査(Reduced inspection)
対応するなみ検査よりは小さいサンプルサイズをもつ抜取検査方式を使用する検査


特にゆるい検査という用語は英語で、Reduced inspectionと表記され、本来は、「減らした検査」という意味であることがJIS規格で参考説明されています。


(8)主抜取表の活用 〜抜取表から抜取数と合格判定数を決定
選択されたサンプル文字とAQL(合格品質限界)をもとに、抜取表から抜取数と合格判定数を決定します。検査の厳しさにより、下記の3つの表を使い分けていきます。

例えば、なみ検査の1回抜取方式(主抜取表)を選択して、
サンプル文字Hで、AQL=0.25%を選択したときには、サンプルサイズ50個を抜取り、
判定は、Ac(合格判定数)=0、Re(不合格判定数)=1ということがわかりますので、
抜き取った50個の中で、不良が1つでもあったときには、不合格ということになります。
不良が0で全て50個良品であれば、抜取検査合格ということになります。

@JIS Z 9015-1 なみ検査の1回抜取方式(主抜取表)
JIS Z 9015-1 なみ検査の1回抜取方式(主抜取表)


AJIS Z 9015-1 きつい検査の1回抜取方式(主抜取表)
JIS Z 9015-1 きつい検査の1回抜取方式(主抜取表)


BJIS Z 9015-1 ゆるい検査の1回抜取方式(主抜取表)
JIS Z 9015-1 ゆるい検査の1回抜取方式(主抜取表)

これが、AQLに基づく抜取検査になります。非常に簡単に抜き取り数と判定数を選択できますね。


(9)検査の切り替えルール
生産者と消費者の立場、製品の品質状況を加味して、検査の厳しさは変化させます。品質が安定している場合には、なみ検査からゆるい検査へ、品質が不安定な場合は、なみ検査からきつい検査へと移行することで、抜取検査による生産者のコストと消費者のリスクをうまく抑制する仕組みが採用されています。

下記は、検査の切り替えルールです。指定がない場合、なみ検査からスタートして、

JISZ9015 抜取検査切り替えルール


連続5ロット以内の初検査で2ロットが不合格になった場合は、次のロットからきつい検査に移行して、次の連続5ロットが合格したときに、もとのなみ検査に復帰します。消費者に対する安全策として、品質改善のアクションが取られるまで合否判定の検査そのものを停止するというルールがあることがポイントです。

きつい検査で一連のロットの中で初検査での不合格の合計が5に達した場合に適用される最も重要な原則となります。もし、品質が悪い場合、適切な是正処置が得られるまで、以後のロット検査を拒絶する資格が与えられているということになりますね。

また、なみ検査からゆるい検査に移行する際には、「切り替えスコア」という聞きなれない言葉もでてきますが、いったいこのルールはなんでしょうか。切り替えスコアは、なみ検査からゆるい検査に移行するための指標であり、なみ検査の初検査から始められ、都度更新されます。今回紹介する1回抜取方式においては、合格判定個数に応じて、次のようなスコアのカウントの仕方をします。

____________________________________
■ 1回抜取方式

1)合格判定個数が2以上のとき、もし、AQLが1段きびしかったとしてもロットが合格になっていたならば、切り替えスコアに3を加え、そうでなければ、切り替えスコアを0に戻す。

2)合格判定個数が、0又は1のとき、ロットが合格ならば、切り替えスコアに2を加え、そうでなければ切り替えスコアを0に戻す。
____________________________________

検査をすくなくしてもよいと判断するためには、安定的に合格が続かなければいけないということを示しています。このようなスコアによるチェックは、その煩雑性から実務では敬遠されやすいところで、独自の社内抜取検査方式を作っている企業では、検査の移行ルールを適用している企業は意外と少ないのではないでしょうか。


(10)JISZ9015-1を使用するための準備
検査の基準を設定するためには、抜取検査の基準を設定して、適切な社内文書規格にとおとしこむことが求められます。その場合の規定中の要求事項について、JISZ9015-0では、以下の通りまとめられています。

____________________________________


a) その製品に関する検査及び/または試験の各要求事項は、計数値の形で表現する。もし検査する特性が測定可能ならば、計量値抜取検査を使うかどうかをきめる必要がある。

b)各要求事項は、次のような要素を明示することが望ましい。
1)製品のアイテム
2)適用できる場合には、特性のクラス分け
3)各不適合に対して個別にAQLを与えるかどうか、またはグループにまとめるかどうか
 (まとめるならどういうグループにするか)
4)各不適合または不適合のグループに要求するAQL
5)各不適合または不適合のグループに要求する検査水準
6)最初になみ検査、きつい検査またはゆるい検査のうちどれを適用するか
7)ロットサイズに何か制限があるかどうか
8)ゆるい検査は使用してよいかどうか
9)もし検査が停止になったら何をすることが望ましいか
10)所轄権限者の指定 

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※所轄権限者とは、供給者の品質部門、購入者の検査部門、中立の検査機関のことです。

ポイントしては、1つの製品において、複数の品質特性の評価を含む場合、その重要性に応じて、実務上AQLを分けて設定することができる点です。

製品の品質上重要な特性の場合は、厳しく設定し、それほど影響が大きくない品質特性に関しては、ゆるく設定することができます。例えば、製品の核となる電気的な特性は、厳しく設定し、品質要求の少ない外観上の欠点については、ゆるく設定して、検査の緩急をつけることも可能なので実務に応じて使い分けている企業が多いです。


(11)不合格ロットの処置
生産ロットが抜取検査の結果、合格判定基準を満たさず、不合格になった場合どのような処置をとればよいでしょうか。消費者の立場で受入検査した製品が不合格となった場合には、生産者に対して、品質契約にもとづき、次のような処置をおこなうのが一般的です。

・不合格ロットの返却・代納と全数検査 
・他の生産ロットに対する不良影響範囲の確認
・顧客の承諾を得た上で、返却品の選別、手直しの実施、不良品の廃棄
 ※返却手直しの時間がない場合は、お客様先での検査と即納が必要な場合もあり
・生産者へ再提出する際の選別品ロットであることの明示と納期の連絡


さらに、次の製品に対しての改善対策と効果の確認のため、
追加で実施導入された対策がいつの納入分から対策されているか計画や日程の提出が
必要になる場合もあるでしょう。


今回は、AQLによる抜取検査の考え方と活用するための抜取検査表をご紹介しました。
国際的なビジネスが増える中で、客観的な抜き取り検査方式を理解して、
みなさんの品質保証にうまく活用していただければ、幸いです。


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posted by かおる at 20:39| Comment(27) | TrackBack(0) | 品質検査