2013年06月29日

5Sチェックシートの作り方とは?

5Sチェックシートの作り方とは? - 品質管理研究所 -


5S活動を実施する上で、5Sパトロールの確認者の経験や力量の差によらず、
ばらつきをおさえて、一定のレベルで5Sチェックするために5Sチェックシートが活用されます。

そこで、5Sチェックシートをつくる上で、
どのようなチェック項目をもりこめばよいでしょうか。


今回は、5Sのチェックシートのフォーマット事例とともに、
チェックシートを作成する上でのヒントになるチェック項目をご紹介していきます。


(1)5Sチェックシート
まずは、5Sチェックシートについて、イメージをふくらませるために下記をご覧ください!

■ 5Sチェックシート テンプレート

5Sチェックシート テンプレート

※『5Sチェックシート(エクセルとPDF)』のフォーマットの無料ダウンロードはこちらからどうぞ!

■ 5Sチェックシートフォーマット (EXCEL ver)

ひらめき5Sチェックシート(EXCEL)

■ 5S チェックシートフォーマット (PDF ver)

ひらめき5Sチェックシート(PDF)

5Sチェックシートのイメージが膨らんだでしょうか。

この5Sチェックシートでは、単に得点をつけるだけでなく、
指摘内容や改善内容はもちろん、
経営者のチェックをしていただく構成にしていますのでうまくアレンジしてみてください。


(2)5Sチェックシートのチェック項目は?
チェックシートに記載してある具体的な5Sのチェック項目は、こちらです!

会社のサービスや製品に応じて、
対応する5Sの項目を修正して、うまく活用いただければ幸いです。

<整理>
 ・不必要な設備や工具をおいていないか。
 ・管理状態のわからない不良品や仕掛品が現場に放置されていないか。
 ・不良品や不要な製品の置き場があり、現場で活用されているか。
 ・不良品や仕掛品に識別管理札がつけられて、誰が見てもすぐに状態がわかるか。
 ・試験用のサンプルや材料は現場に放置されていないか。
 ・誰の所有物がわからないモノが、放置されていないか。
 ・設備の使用頻度が高い部分が破損していないか。
 ・不必要なモノを廃棄し、必要なモノを残し、社内で見える化し、共有できているか。
 ・工程で使用するものを壁に立てかけて、置いていないか。
 ・非難経路、配電盤前、消火器付近、非常口の前に不要なものがないか。

<整頓>
 ・カッターやドライバーなどの工具が設備の上などに放置されていないか。
 ・工具やテープなどの置き場に名札があり、定められた置き場で管理されているか。
 ・よく使用する道具が使いやすい場所に保管されているか。
 ・種類の異なる部品や製品が混在して保管されていないか。
 ・設備メンテナンスのための刃などの摩耗品と新品の置き場は明確になっているか。
 ・通路と設備が区画され、区画線があり、安全が確保されているか。
 ・製品がパレット等の上におかれず、床にそのまま地面に置かれていないか。
 ・良品、不良品、仕掛品が色分けされたテープで区画され、識別管理できているか。
 ・保管物は、番地管理で、情報が管理されて、すぐにモノを見つけられるか。
 ・工程内の生産バランスがくずれて、仕掛品がたまっていないか。
 ・物や道具を探すのに時間がかかる状況はないか。
 ・設備点検、工程管理、不良品のチェックシートがすぐに活用できる場所にあるか。
 ・何がいくつあるか、すぐにわかるように識別管理されているか。
 ・工程内の作業手順書が見やすく掲示されているか。
 ・作業台や部品・製品の通路み出し防止のため定位置テープで管理されているか。

<清掃>
 ・床にごみがおちていないか。
 ・床に水や油がこぼれていないか。
 ・設備の上にほこりがのっていないか。
 ・設備の油もれ、さび、原料のくずの付着が発生していないか。
 ・設備周りにネジや金具などの備品が落ちていないか。
 ・製品をのせる容器や搬送台が材料かすやほこりで汚れていないか。
 ・清掃用具がきめられた場所にそろっているか。
 ・不用品の廃棄分別が実施され、容器がわけられているか。
 ・天井の穴か光がもれていたり、雨漏りが発生していないか。
 ・扉や窓の開け閉めルールがあり、換気と汚れ防止がはかられているか。
 ・設備やエアコンの空調のフィルターの掃除ができているか。
 ・捨てる場所が定められていて、定期的に廃棄されているか。
 ・設備点検により、設備の清掃が確実に実施されているか。
 ・設備から、いつもと違う音や大きな音(異常な音)がきこえていないか。
 ・設備の温度や圧力メーターや水量メーターに基準の表示があり、範囲内か。

<清潔>
 ・作業者のゴム手袋や軍手の交換ルールがあり、きれいな状態を維持しているか。
 ・工場内にはいるときの作業姿写真が明示され、守られているか。
 ・みんなが使用するトイレはいつもきれいに保たれているか。
 ・工場内に虫がいたり、くもの巣がはっていないか。
 ・工場内の蛍光灯がきれておらず、明るさがたもたれているか。
 ・工場の社内外の掲示物がはがれていたり、色あせていないか。
 ・清掃時間(いつ)、場所(どこで)、清掃当番(だれが)のルールがきめられているか。
 ・現場のきれいな状態が写真などで、手順や掲示などで見える化されているか。
 ・シフト交代時、昼休憩時、仕事終了時、作業場をきれいな状態にもどしているか。
 ・工場の床や壁に穴があいたり、塗装がはがれている箇所は補修されているか。

<躾>
 ・気持ちの良い挨拶ができているか。
 ・みんなできめたルールが守られているか。
 ・現場のリーダー自らが率先して、5Sをおこなっているか。
 ・5Sを促すための社内での掲示物の見える化が実施されているか。
 ・管理チェックシートに管理基準と実測値が明記されているか。
 ・チェックシートの記入者と確認者によるチェックが定期的に実施されているか。
 ・みんなが目にとめるトイレにも点検チェックシートがあり、管理されているか。
 ・お客様が初めに会う工場の守衛さんや受付さんが、きびきびと対応できているか。
 ・朝礼やシフト交代時に5Sの情報や現場の課題を共有できているか。
 ・工場内だけでなく、社内敷地や周囲にゴミがおちていないか。

5Sと清潔

製品やサービスの特徴に応じた現場でよく起こりそうな問題点をもりこんで、
未然に改善できるようにぜひチェック項目をアレンジしてくださいね。

このようなチェックを日頃から実施していくことで、
チェック項目を確認しなくても、現場ですぐに問題に気づくことができるようになります。

チェックシートは、あくまで道具のひとつです。

自分の「目」と「足」と「手」で、現場を診ることを基本に、
5Sチェックシートを通じて、5S活動を盛り上げて、
品質改善がすすむきっかけになればうれしい限りです。



【関連記事】
ものづくりの基本の『5S』とは?
具体的な『5S活動』とは?
品質管理とクリーン化
チェックシートの落とし穴
ドラッカーに学ぶ『管理』とは?
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2013年06月28日

5Sチェックシートとは?

5Sチェックシートとは?
(2013年6月28日)品質管理研究所


5Sとは、仕事の基本となる 整理、整頓、清掃、清潔、躾です。

この5つの日本語の頭文字をとって、
『Seri、Seiton、Seisou、Seiketsu、Sitsuke』で5Sといわれ、
日本から、世界の工場へとその考えが広まっています。


今回は、現場でこの5Sをチェックするために活用される
『5Sチェックシート』のフォーマットと『5Sパトロール改善報告書』のフォーマットを
無料でダウンロードできるようにしましたので、
うまくアレンジして、お仕事にご活用いただければ幸いです。



(1)5Sチェックシートとは?
まずは、5Sチェックシートからどうぞ!

■ 5Sチェックシート テンプレート

5Sチェックシート テンプレート


※『5Sチェックシート(エクセルとPDF)』のフォーマットのダウンロードはこちらからどうぞ!

■ 5Sチェックシートフォーマット (EXCEL ver)

ひらめき5Sチェックシート(EXCEL)

■ 5S チェックシートフォーマット (PDF ver)

ひらめき5Sチェックシート(PDF)


以下で、5Sチェックシートの簡単な使い方について紹介します。


(2)5Sのチェック項目とは?

5Sのチェック項目は、整理、整頓、清掃、清潔、躾の5分類で、
各10項目の質問事項を設定していますので、全部で50項目のチェック項目からなります。

チェック内容は、どのような製品やサービスを取り扱うかによって、
うまくアレンジしてご活用いただければ幸いです。


(3) 5Sの3段階の評価方法とは?

5Sのチェック項目の評価方法は、3段階の基準で、シンプルに評価します。

 ◎2点:他の企業のお手本となる高いレベル 
 〇1点:問題なく、実施できているレベル
 × 0点:さらに改善が必要なレベル

50項目×2点満点=合計100点になるように設定しています。

評価で2点となる「◎他の企業のお手本となる高いレベル」に当てはまることで、
満点の評価なので、厳しくチェックするチェックシートになっていますので、
現場の改善を促すために、うまくご活用いただければ、幸いです。


(4)5Sチェックシートの3つの特徴とは?
@チェックだけでなく、改善を!
5S活動におけるパトロールでの大切な点は、現場の問題点を指摘するだけでなく、

その問題点を実際に改善して、昨日より今日、
そして、今日より明日の現場を少しでも良くしていくことです。


現場で確認された改善指摘項目を明確にして、
改善日や改善期限と改善内容をを5Sチェックシートに追記して、
改善を進めるツールとして活用していくことが大切です。

A経営者も厳しいチェックを!
5Sは、仕事の基本であり、だれもがすぐにできることだからこそ、
経営者自らかがその状況をしっかりと理解して、率先して改善を進めることが大切です。

そこで、社内で実施されたパトロールの結果や改善の状況は、
経営者にきちんと伝え、コメントを記載いただくようなフォーマットにしています。


品質に力をいれいる優れた経営者は、現場に足を運び、
自らが5Sパトロールを実施し、自分の目で現場を見ることをかかしません。

定期的に経営者自らが5Sや安全や品質といった観点から、
トップ自主監査を実施している企業もあるほどです。

経営トップが関わる5S活動にうまく発展させていきましょう。


B改善報告書で改善マインドの醸成を!
5S活動は、現場の改善を継続的に実施していくことが何より大切です。

チェックシートを単なる採点表にするのではなく、
改善活動にうまく役立てらることがもとめられます。

そこで、『5Sパトロール改善報告書』のフォーマットも下記から、
無料でダウンロードできるようにしています。

指摘事項に対する改善をしっかりとおこない、フォローアップしていきましょう。

■ 5Sパトロール 改善報告書 テンプレート

5Sパトロール改善報告書

※『5Sパトロール改善報告書(エクセル、PDF)』フォーマットのダウンロードはこちらからどうぞ!

■ 5Sパトロール改善報告書 フォーマット (EXCEL ver)

ひらめき5Sパトロール 改善報告書 フォーマット(EXCEL)


■ 5Sパトロール改善報告書 フォーマット (PDF ver)

ひらめき5Sパトロール 改善報告書 フォーマット(PDF)


改善指摘事項とその改善内容については、
できるだけ現場の写真をとって、改善前後の状態をわかりやすく表現説明することが大切です


改善報告書として、写真をつけて報告することで、
現場の改善掲示板などにも掲示して、改善事例を共有できますので、
現場の改善をさらに促していくことにもつながります。


経営者がコメントを書いて、掲示することでさらに、その注目度もあがるでしょう。

多くの企業では、食堂や休憩室、喫煙ルーム、工場の通路などを活用して、
このような改善活動を掲示して、社員の品質マインドをうまく醸成しています。

改善する意欲を高めるためにも、単なるチェックの記録としてだけではなく、
改善ツールとして、うまく5Sチェックシートと改善報告書を活用頂ければうれしく思います。


【関連記事】
ものづくりの基本の『5S』とは?
具体的な『5S活動』とは?
e-Learningで学ぶ『5S』
品質管理とクリーン化
チェックシートの落とし穴
ドラッカーに学ぶ『管理』とは?

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2013年06月26日

工場監査員の役割とは?

工場監査員の役割とは? -品質管理研究所-


工場監査は、企業の中のごく限られたメンバーが
実施する特殊な品質管理業務のひとつです。


工場監査では、工場のしくみや製造現場で品質管理上のさまざまな問題点をみつけます。

さまざまな工場を訪問したことがある工場監査員は、
良い工場も、悪い工場もたくさん見ることで、多くのことにすぐに気がつくようになります。

しかし、工場監査員は、品質問題やその問題の原因を見つけるだけで、
満足してはいけません。



第三者の工場監査員が取引先に訪れる意味とはなんでしょうか。
工場監査のあとに、品質不良率が変化するきっかけとなっているでしょうか。
工場監査員が、取引先に対して、どんな良い影響をあたえられているでしょうか。
再度、監査にきてもらいたいと思われるような魅力的な工場監査になっているでしょうか。


工場監査と経営


工場監査では、工場をわずかな限られた時間でしかみることができません。

ベテランの優秀な工場監査員さんほど、工場のものづくりの実際の現場で、
自分の目には見えていないたくさんの問題があることを自覚しているのではないでしょうか。

本当に大切なことは、現場で汗を流している内部の社員が、一番良く知っているものです。
工場監査員は、監査時にその現場の声をひきだす努力をしなければなりません。


経営者が、本当に耳をかたむけ、必死にメモをとるのは、
監査員の声ではなく、現場ではたらく社員さんたちの生きた声です。


監査員が問題点を指摘するよりも、
社員の声は、その何倍もの威力があるのではないでしょうか。

日頃、直接、経営者とはなす機会が不足している現場のメンバーから、
どんなところに問題があるか、どんな風に会社をしたいか、製造現場での課題は何か、
率直な意見や経営者への感謝のことば、さまざまな思いが伝わるでしょう。

監査では、監査員が話すことばを極力へらして、
工場監査員が第三者的な立場で、このような現場の声をききだすことで、
日頃、対話しにくい経営者さんと社員の関係をときほぐすことができます。


工場監査員の役割

「品質のかなめ」である経営者に、
現場の社員自らが現場の声を直接伝え、経営者がうけいれることで、

工場が抱える問題が再認識され、
改善していくための前向きな雰囲気がうまれてくるものです。


工場監査員は、自分で、何かを問題点をみつけて指摘して、
未然に問題を防ぐことに躍起になってしまいがちです。

しかし、その多くの問題点は、すでに現場のメンバーが気づいていることも多いものです。

現場のメンバーが、気づいていながら、問題を改善ができない理由、
そこには、自発的な品質改善をうながすためのヒントが隠れているのではないでしょうか。



以上、場をつくる工場監査員の大切な役割について、ご紹介しました。

製品が、日々進化するように、工場監査員みずからも進化して、
よりよい工場監査のあり方について、考えていきたいものですね。



【工場監査】
工場監査とは、向上監査!
ピンチはチャンス?工場監査!
工場監査の役割とは?
工場監査のやりがい
ほめて育てる!工場監査
工場監査7つ道具とは?
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2013年06月25日

大企業病に負けない『野鴨の教え』

大企業病に負けない『野鴨の教え』 - 品質管理研究所 -


大企業病は、企業が抱える経営の組織的問題です。

野鴨の逸話(IBM)

多くの企業が抱える大企業病に対して、
世界のグローバルカンパニーはどのような思想で、
この問題をのりこえてきているのでしょうか。


IBMさんのすばらしいWild Ducks「野鴨たち」の逸話をご覧ください。


■ IBM 創立100周年Film 【Wild Ducks (日本語字幕)】 IBMJapanChannel



世界的企業であるIBMの当時の会長Thomas Watson, Jr.氏は、

困難にたちむかう渡り鳥(野鴨)から、
“Wild Ducks 「野鴨たち」” の精神をわたしたちに教えてくれています。


“We believe every business needs its wild ducks.” 
『すべてのビジネスには、野鴨たちが必要であると信じている』

“You can make wild ducks tame, but you can never make tame ducks wild again.”
『野鴨を飼いならすことはできるが、飼いならした鴨は、二度と野生にはもどすことはできない』



鴨は、越冬のため、冬になる前に南へと羽ばたきます。

ある一羽の鴨が、納屋を見つけ、海を渡りませんでした。
納屋にいた飼いならされた鳥達とともにおいしいえさをもらい、
群れからはなれて、安全な納屋で年をこしてしまいます。

春に鴨の群れがもどってきたときには、鴨は、野性味にかけ、
太りすぎて、いっしょにとぶことさえ難しくなってしまいます。

そして、いく年も、飼いならされてしまった怠け者の鴨は、
もはや飛び立つ衝動にさえ、かりたてられなくなるというおはなしです。

これは、デンマークの哲学者セーレン・キルケゴールの書物から引用された物語です。

まさに、現実の会社の中で、起きていることのようです。

困難にたちむかう渡り鳥の「野鴨のハングリー精神」は、
私たちの日常の仕事における気のゆるみに気づかせてくれます。


大きな企業の中では、自らが主体的な行動をせずに、
与えられた仕事を淡々とこなして、リスクをおわず、責任もあいまいになりがちです。


大企業病は、このような野生の生き物が本来身につけているはずの
ハングリー精神がうしなわれていくときに、企業をむしばんでいくのではないでしょうか。


日頃、能力の出し惜しみをしていないでしょうか。
リスクをチャンスととらえて、仕事にとりくめているでしょうか。
新しいことをやるときに、できない理由ばかりを考えて時間を費やしていないでしょうか。

今日できなかったことは、なにかひとつでも、
明日には、できるようになっていきたいものですね。

 

【関連記事】
ゆでがえる現象とは?
「鳥の目」「虫の目」「魚の目」
工場の垂直立ち上げ『Copy Exactly』とは?
大企業病と経営品質とは?

【参考文献】
IBM100周年記念映像
posted by かおる at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | グローバル品質

2013年06月24日

不良の連鎖、2次不良とは?

不良の連鎖、2次不良とは?
(2013年6月24日) 品質管理研究所


納入した部品で、品質不良が起きた際には、
不良対象範囲となる部品を納入先から全数回収して、再検査を実施することもあるでしょう。


品質不良と再検査

お客様の生産に支障をきたすような、納期が切迫した状態では、
お客様の工場の倉庫などの場所をお借りして、
その場で検査させていただき、良品のみをご使用していただくような、
臨時の対応をせざるを得ない場合もあるのではないでしょうか。


本来、再検査では、除去すべき不良品は見逃しにくいものですが、
このような臨時の対応での再検査・再梱包をおこなう場合には、

他の不良を併発させてしまわないように注意が必要になります。

この併発不良が、再検査・再梱包などの実務の現場で
特に注意しなければならない不良の連鎖、『2次不良』です。


「2次不良」は、不良発生時に再度検査する場合や再度梱包するときに、
悪い条件が重なるため、通常の製品検査や梱包作業よりも
不良が発生するリスクが高まっているため、特に注意をしなければなりません。

「2次不良」は、一度発生した不良に対して、新たな不良を引き起こすことで、
お客様からの信頼を損ねることにつながりやすいため、
影響力も大きく、発生頻度も高いリスクの高い品質不良といえるでしょう。


納入した部品に不良があり、現場で再検査が必要になった場合、
もし、あなたが、現場の監督責任者ならば、

負の連鎖である「2次不良」を防止するために
どのようなことをすればよいかを考えてみましょう。



(1)作業環境への配慮
お客様の生産に支障をきたさないように供給するために、
自社に持ち帰って、検査ができない場合もあります。

その場合、社外の取引先工場内での検査、倉庫での検査の必要性が生じます。

もちろん、冷房がきいた整った作業環境ばかりではありません。
温湿度の管理されていない暑い夏場の倉庫での検査・梱包作業などの場合は、
汗の付着や作業疲れによる注意不足も生じます。

また、倉庫などのライトが少ない暗い場所での作業は、不良の見逃しはもちろん、
取り扱いによるキズなどの不良も発生しやすいものです


さらに夜、明るくライトを照らすことで、逆に、もよってきます。
虫の付着不良などが発生してしまえば、さらに大変なことになりかねません。

倉庫では、汚れの付着や異物の混入などもあるでしょう。

そこで、あらかじめ、どのような不良がさらに発生するリスクがあるかを
しっかり見極めて、対処することが求められます。



(2) 識別管理の徹底
再検査と再梱包では、再検査した製品、まだ検査できていない製品、
不良となった製品を現場で識別管理することも必要になります。

不良として、確認された製品は不良として、専用の容器に保管して、
その記録をとり、良品と不良品を識別管理しておくことも欠かせません。

臨時の場所であっても、良品/不良品(検査品)/未検査品の識別管理を徹底しましょう。

梱包した製品で検査済み品には、
梱包段ボールの特定位置に検査識別マークをつけるなどして、
第三者が見ても、明らかに区別が付くようにすることも大切なことです。

品質不良と識別管理

また、納入した製品を持ち帰って検査する場合では、
追加で検査した製品のみを納入することが必要になり、
再検査したものがいつから、どのような識別管理状態で納入されるのかを
お客さんにきちんと伝え、もともと発生した不良に対する
流出防止の改善効果を確認していくことも大切なことです。


複数の工場拠点で生産された製品の場合には、対策の水平展開はもちろんのこと、
お客さんの複数の工場へ納入された在庫が保管されている場合など、
すでに生産された製品に対する影響と迅速な対応が求められます。



(3)作業監督者の確保
再検査・梱包作業をする上で、作業をよく理解した作業監督者を選定することが大切です。
現場で作業する作業者に指示徹底できる力量のある監督者が必要になります。


特に臨時の検査・梱包の対応が必要な場合、製品のことを理解していない外部の会社さんから、
検査者・梱包作業者として、応援に来てもらうこともあるでしょう。

外部のメンバーに協力いただく場合には、
特に製品の特徴や取り扱いの注意事項を理解した監督者が、
作業前に作業メンバーにきちんと説明して、教育することがかかせません。


ただ単にこれからおこなう作業内容だけを伝えるのではなく、
どのようなお客さんに納入している製品でどんな取り扱いが必要であるか、
そのためにどのような点に注意しなければならないか、
いま、なぜ再検査をしているのか、単なる作業を説明するのではなく、
その背景や品質の重要性をきちんと認識いただくことが欠かせません。

もし、だれかが、『今、何をしていますか』という質問を現場の作業者になげかけたときに、
あなたが指導した作業者は何とこたえるかを想像してみてください。


単純な労働作業内容だけをこたえるようでは、本質的な説明が不足しているはずです。

どのような仕事をしているか同じ作業でもその意味付け次第で、
作業者の意識や作業への丁寧さは変わってくるものです。



(4)要点をおさえた作業手順書
作業の要点や注意事項をまとめた手順書もあらかじめ作成して、
作業のもれやミスが生じないようにしなければなりません。


いざ現場での作業であたふたしないように、
再検査や梱包の作業手順をあらかじめ検証し、
作業者の作業理解不足による新たな不良が発生しないように
定めた作業方法を指導徹底することが求められます。

急な作業とはいえ、きめられた作業手順を設定しておかなければ、
異なる不良を併発して、再検査、再々検査・・・ということにもなりかねません。

品質不良と再検査


(5)作業への慣れ防止と監督
再検査・梱包作業は、作業に慣れてくると、作業者独自の楽なやり方になりがちですので、
きめられた作業手順を遵守することを仕事の始め、
休憩のあとなどに繰り返し徹底することが求められます。

また、現場での作業の安全を確保するためにも、下記のような点を注意することも大切です。

・どのような不安全事象があるかを作業の前に、注意喚起し、理解されていますか。
・取引先の工場で作業する場合の責任者や現場作業者への確認は、徹底できていますか。
・事前に取引先の工場に入るための申請やルールの確認ができていますか。
・安全を確保するための用具(ヘルメットや安全靴や安全帯や手袋等)はもっていますか。
・フォークリフトの動線と作業場の分離を図って、安全を確保できていますか。
・重い荷物の持ち運びを制限していますか。
・転倒防止のため梱包高さを制限していますか。
・近くに危険な設備や温度の高い設備などがありませんか。
・仮に事故が発生したときに備えた準備ができていますか。

ほかにも作業現場に応じた注意事項があるはずです。


(6)併発不良への注意の喚起
再検査が必要になった要因の特定不良には注意がいくものの、
新たな作業に伴う他の併発不良への認識は、うすれてしまいがちです。


検査で不良品を見つけだし、取り除こうとするあまり、
気づかぬうちに自らが新たな2次不良の原因を作る危険性があることも、
作業者に認識してもらうことが大切です。


・作業者の服から、ペンやカッターなどが落下して、製品に傷をつけたり、混入しませんか。
・時計や腕輪などをはずして、手袋を着用して、製品へのキズの防止を図っていますか。
・休憩後の手洗い、手袋や防止の着用など適切に維持されていますか。
・衣服からの繊維が付着して、製品への異物となりませんか。
・ちょっとした落下や衝撃などで、製品にキズがつきませんか。
・梱包に付着したテープの端や段ボールのくずや繊維などが製品に付着しませんか。
・ゴム手袋の切れ端が、製品に混入しませんか。

取り扱う製品によって、さまざまなリスクが生じるのであらかじめ、
過去発生した不良リストを見返しておき、知見のある監督者が注意喚起しましょう。


(7)組織的な作業対応
特に臨時の特別対応のためにあつまったメンバーでは、
検査や梱包といった作業に習熟しておらず、力量が不足しがちです。

そのため、一人単独での作業をさせず、
複数のメンバーで作業と確認ができる検査体制にして、
お互いに気を引き締めあう体制作りも大切です。


逆に、複数のヒトが同時に検査する場合では、
検査の見逃しも発生しやすく、検査箇所にあいまいさを残さないことにも注意が必要です。

また、長時間のなれない連続作業の場合は、疲れも生じやすくなるため、
疲労をためないように適宜休憩時間をとることや、水分補給をおこなうなどの管理も大切です。

監督者は、明らかに作業が遅れている場合には、
応援者の追加要請も含め人員を確保するようにしなければなりません。

そこで、監督者は、検査梱包が完了する作業時間を計測して、
どれくらいの人数と時間があれば、全ての製品を再検査・梱包できるかを把握して、
応援者をよぶなど、現状の検査進捗状況から、次の対応を考えることが必要になります。


品質不良と再検査


今回は、不良の連鎖、『2次不良』を防ぐポイントについてご紹介しました。

ときには、品質不良が、次の品質不良をよび、不良のスパイラルに陥ってしまい、
お客様の信用を一気に失いかねない2次不良に悩むことがあるかもしれません。

2次不良の品質問題がおきた過去を振り返って、反省することも必要ですが、

品質問題が発生したあとにすべきことは、
その問題を真摯にうけとめ、どれだけ迅速に対処できるかということでです。


『2次不良を発生させない慎重さ』とともに、
『お客様の声に迅速に対応するスピード』が、
不良の連鎖、2次不良からの脱却のヒントとなるのではないでしょうか。


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