2013年04月13日

過剰品質の見直しとコストダウンとは?

過剰品質の見直しとコストダウンとは?
(2013年4月13日)品質管理研究所


品質は、高ければ、高いほどよいでしょうか。

過剰品質とコストダウン


毎日、食べる卵が、金色である必要があるでしょうか。


お客様の要求にもとづく品質以上に、
過度な品質を追求すれば、余計なコストが発生しかねません。


品質(Quality)とコスト(Cost)は、一体のものとして考えなければなりません。

製品へのこだわりと、過剰な品質とは一体ではありません。
製品のブランドを高める品質のつくりこみは、過剰な品質の追求ではありません。

過剰な品質要求により、検査工程が増えたりすることや、
厳しすぎる基準で不良が多くなれば、
過剰品質によるコストUPとなることも理解しなければなりません。

製造工程のゆるすぎる品質基準によって、
市場のお客様で品質問題が発生することは、当然あってはなりませんが、

逆に、厳しすぎる製品の判定基準によって、
見えていないマイナスのコストが発生していることはありませんか。



■ 品質判定基準の妥当性とは?

過去から、当然のごとく受け継がれてきた判定基準が、
つくり手側の思いこみとして、お客様におしつけられていることはないでしょうか。

製品の品質を管理するための受入検査基準や工程管理基準や出荷判定基準について、
なぜ、その基準値であるか、その理由は、理解されているでしょうか。

そして、その基準値の妥当性について、
つくり手目線ではなく、顧客目線で検証されているでしょうか。

過剰品質とコストダウン

長年使い続けてきたコンセントのタップ周りのように
知らぬ間に不必要な電源コード(判定基準)がついて、
必要のない余計な電力(コスト)が生じていることはないでしょうか。

過度な品質要求になっていないかを改めて検証すると、思わぬ気づきがあるものです。

会議室や机上で悩んでいても、良い答えは見つかりません。
時代の変化や広い世界のお客様が要求する現在の基準と照らし合わせれば、どうでしょうか。

品質保証部や品質管理部の仕事といえば、
品質を検証するための試験や評価、製造工程での品質管理や品質検査、
品質を高めるための改善活動に焦点が当たることが多いものですが、

その判定の基礎となる基準そのものが、
お客様の視点で適正な品質基準であるかを見直すことは大切です。

品質基準を適性値に見直すことと、品質基準を下げることは違います。
適正な品質の追求は、品質を低下させることではなく、コストを低下させることなのです。


■ 納入部材の過剰品質の見直し

例えば、部材を納入いただくサプライヤーさんととともに
適正な部材品質基準の見直しをおこなうことが実務でおこなわれているでしょうか。

サプライヤーさんで、過剰な品質によってうまれた製品のロスなどがどれだけ発生しているか、
部材の工程不良率や特性値のヒストグラムなど数値で具体的に共有されているでしょうか。

品質基準の適正化の中でも、特に品質基準の緩和は、部材を納入する立場では、
お客さんに積極的に言いにくいことなので、購買先側から話を提案することが大切です

過剰な品質基準が、最終のお客様の要求する適正な品質判定基準に修正されれば、
部材のサプライヤーさんにとっても、工程品質不良が減り、収益向上にもつながります。
購入する立場でも、コストダウンにもつながり、WIN-WINの関係となります。

過剰な品質は、実務上、品質問題として顕在化しにくいため(見えにくいため)
見つけようとしなければ、品質課題(コスト問題)として認識されにくいのが特長です。


目に見えている品質問題にとどまることなく、作り手側と買い手側の2つの立場から、
目に見えにくい過剰品質の適性化をはかることが攻めの品質改善ではないでしょうか。

このような不良の基準の適正化は、品質を下げているわけではなく、
あくまで、過剰な品質を正常に戻す取り組みであることを
社内外に徹底することもわすれてはなりませんね。

基準の緩和により、適正な品質基準までゆるむことのないよう
その副作用にも注意して、よりよい品質の製品をうみだしていきたいものです。



【関連記事】
大企業病と経営品質とは?
ゆでがえる現象とは?
品質マインドを高める「品質十戒」とは?
いつお客さんに会いましたか?
品質管理は納入部材から?!
品質対症療法の弊害とは?
posted by かおる at 22:21| Comment(9) | TrackBack(0) | 品質保証

2013年04月09日

品質検査の大前提!クロスチェックとは?

品質検査の大前提!クロスチェックとは?
(2013年4月9日)品質管理研究所

品質管理は、できるだけ定量的な数値を基準に管理することが求められます。
客観性のある基準と比較すれば、管理がしやすくなるのはいうまでもありません。

クロスチェックと品質検査


しかし、品質特性が、数値で明確になると、
もっともらしく見えてしまいますが、ほんとうにその数字を信じてよいでしょうか?


多くの品質特性は、さまざまな検査方法で測定されています。

あるAという企業での検査では合格ですが、自社で測定すると不合格になる。
そんな結果になったことはないでしょうか?


同じサンプルでも測定方法の違いによって、異なる結果になる可能性があります。

ものづくりにおいては、品質特性の合否判定基準を決定する前提として、
その測定方法自体を検証することが、検査の価値を高めることにつながります。
品質にこだわりと実績のある企業は、このような基礎検証をしっかりおこなっています。



今回は、品質検査の測定方法の差異を検証する『クロスチェック』について考えてみましょう。


(1)クロスチェック(Cross check)とは?
クロスチェックとは、同一のサンプルを複数の立場(方法)で検査・測定し、
どのような違いがあるかを検証することです。


製品の品質保証をするためには、品質検査の測定方法そのもの違い、
その違いによってもたらされる結果を検証する必要があります。

クロスチェックと品質検査

実務では、検査方法が異なることでうまれる測定結果の違いに加え、
同じ検査でも、実務上での作業のばらつきがもたらす測定結果の違いがうまれるものです。
そこで、同一のサンプルを用いて、材料メーカーさんと自社で品質特性をチェックします。


同一のサンプルを2回検査する「ダブルチェック」とは、意味が異なり、
同じことを二回繰り返すのではなく、
同じサンプルを異なるもの同士で比較検証することが、「クロスチェック」といえます。


(2)何を見る?クロスチェック
クロスチェックするためには、どのような試料を比較すればよいでしょうか。

生産された材料をそのままチェックすることは一般的におこなわれていますが、
いくつかの製造条件をふって、作成された試験サンプルを確認するのがおすすめです。

複数の製造条件によってつくられた製品の品質特性の違いが、
両者の測定方法によって、どのように検出されるかを検証していきます。

2つの検査方法で測定されたデータをグラフ化すると、
測定方法の違いによって、どのような相関性があるか、
また、測定方法自体の限界やどちらの測定方法がすぐれているか
その優位性も見えてくるものです。

クロスチェックと品質検査


(2)いつおこなう?クロスチェック
検査方法のクロスチェックは、製品の開発や評価に先立って、実施されます

測定されたデータをお互いに確認するためには、できるだけ検査方法を統一しますが、
異なる測定設備や慣習などで統一が難しい場合も多いものです。

そこで、正確に検査数値の比較ができるように、

材料メーカーさんと自社で本来測定結果が同じになるはずの
同一の試験サンプルで測定を行ない、その違いを比較して、
測定方法の妥当性を検証することからスタートします。


取引先さんと自社でお互いに検証して、その違いを明らかにすることは、
サンプルを通じたコミュニケーションを増やし、
よい人間関係をつくることにもつながります。

このようなクロスチェックは、品質問題が発生してから、
その重要性に気づく場合が多いので、問題が起きる前に検証することが欠かせません。

問題が発生してから、
その測定方法の違いの重要性に気づくことがないようにしたいものですね。


(3)どのように?クロスチェック
@生データを見る
クロスチェックでは、測定した「生データ」を見ることが大切です。

平均値や最大値や最小値などの数値では、見えない、
隠れた意味が測定された生のデータには潜んでいます。

クロスチェックと品質検査

わかりやすくなった数値の裏には、
失われた情報や意味があることを常に意識しなければなりません。


例えば、接着強度(連続的に引っ張った後の強度データ)の場合、
測定されたひとつの丸められた数値をみて、満足していないでしょうか。

客観的に見えてしまいがちな最大値(MAX)、平均値(AVERAGE)
ひとつの数値だけを見ていては、見えないものがあります。

平均値を取るのであれば、何点の平均か、どこの位置の平均をとるのか、
得られた接着強度の波形のデータのどの部分のデータを取得するかによって、
測定値は変化します。

検査者の数値のよみとり方でも、値が変化してしまいます。
さまざまな判定の仕方で、数値がもつ意味が変わります。

製品を購入する立場では、厳しく、
最小値(MIN)を基準としたデータを使用したほうが良い場合もあるでしょう。

どのような数値の読み取り方をしているかで、
その取引先の企業の品質に対する姿勢や考え方も見えてくるのではないでしょうか。


A現場を見る
実際にクロスチェックをおこなう時には、結果だけでなく、
自分の目でその測定プロセスを確認することが大切です。

実際に取引が開始される前に工場へ訪問して、確認したり、
工場監査時に、取引先の検査方法を実際に目の前で確認して、
現地で、現物を見ながら、現実を把握する方法がおすすめです。

品質検査のクロスチェックも、三現主義があてはまりますね。


B仕様書への測定方法の明記
取引先との仕様書には、測定方法の基礎となる客観的な品質規格が明記されていますか?

品質基準を明確にするための納入仕様書には、合否判定の基準ばかりでなく、
その特性の測定方法の根拠となる規格(JISやIECなどの番号)を明記することが大切です。

独自の測定方法である場合には、A社法などと固有名称をつけて、
具体的にその特有の測定方法を図示して、明記することがかかせません。
写真や図などで誰が見てもすぐわかるようにしておくことが大切ですね。

製造する側と購入する側でその測定方法の違いによって、
判定基準は同じでも、お互いの測定値に差がうまれれば、基準の意味が変化します

取引が開始される前にこれら測定方法の検証をおこない、
仕様書で明らかにしておくことは、基準を設定すると同様に大切なことです。


C測定前処理の重要性
測定方法の違いだけでなく、測定されるサンプルの前処理の方法など、
測定方法のさらに前段階の前処理方法の違いによっても、
測定結果に違いが現れる場合もあります。

実務では、仕様書には記載しきれないような何気ない
検査対象の前処理方法に、実は、企業ノウハウがふんだんにつまっているものです。


検査の基本手順があることはもちろん、
どのような前処理作業が実施されているかも確認してみましょう。

クロスチェックと品質検査


このようなクロスチェックのポイントに注意して、クロスチェックをおこなった結果、

測定方法に課題がある場合、従来の測定方法を改め、
より良い方法に測定手順を改めておこなうことが求められます。

また、2つの測定結果に、相関性がある測定結果が確認されれば、
基準そのものを見直して、求める品質要求に合致する基準を再設定することが必要になります。



今回は、製品の品質特性の基礎となる測定方法の妥当性を検証するための
品質検査のクロスチェックについてご紹介しました。


品質管理の実務では、クロスチェックの必要性が感じられているものの、
実際に取り組めていない場合が多いのではないでしょうか。

まずは、重要な品質特性項目にねらいをつけて、
取引先さんと意見交換してみてはいかがでしょうか


みなさんのお仕事のヒントとなれば、うれしく思います。


【関連記事】
「鳥の目」「虫の目」「魚の目」
改善4原則「ECRS」とは?
試験データはうそをつく?
検査で品質は上がらない!?
検査員は、だれがなる?
EXCEL条件付書式による品質検査値の自動判定とは?
作業手順書の作り方とは?
posted by かおる at 23:15| Comment(344) | TrackBack(0) | 品質検査

2013年04月08日

【工場監査の旅】中国 錦州 再訪

【監査の旅】中国 錦州
(2013年4月8日) 品質管理研究所


4月初旬、工場監査のため、中国の錦州市を訪問してきました。

今回は、ひとつの製品をつくるために必要な材料を
供給してくださるサプライヤーさん(材料メーカーさん)の力をおかりする旅となりました。

取引先との関係構築

製品を構成するほとんどの材料メーカーさんと中国の現地で顔をあわせて、
厳しい課題を共有し、ものづくりへの思いを共にすることができた良い旅でした。


供給者と購買者の関係は、主従の関係ではありません。

材料メーカーさんとWIN-WINの良い関係を築いて、
最終のお客さんにもよろこびがあれば、こんなよいことはありません。
多くの仲間の企業の専門性をいかしてもらうことで
ひとつの企業ではできないことでも実現できます。

最終製品をつくる企業では、部品を供給してくださるメーカーさんに
さまざまなお願いをしてしまいがちですが、友人関係のように察し、
本来の力を十分に発揮できる場や十分な情報を提供できているでしょうか。

誰かが損をして、誰かが得をするのではなく、みなが得をするような
関係性を築くことができれば、仲間と取り組むしごとが楽しくなります。

なにか、部材の品質問題が発生したときには、追究するとさまざまな原因にいきつきますが、
その問題に至る過程では、本来必要なコミュニケーションが適切におこなわれていれば、
未然に防げる問題が多いのではないでしょうか。


製品と対話して、材料メーカーさんと対話すれば、
生きたものづくりのヒントが見つかります。



<中国火鍋料理>
今回は、中国の「火鍋」、日本でいう「しゃぶしゃぶ」をいただいてきました。

火山が噴火するかのごとく、金属の黒い山の中には、
あつあつの炭の火種がこんもり入っていて、ダイナミックです。

中国の火鍋


火山が、湯の入った金属の器をあつく熱しています。
湯の中に野菜やお肉を湯通しして、さまざまなたれを自分でアレンジしていただきます。

中国の火鍋

なんと15種類もたれがあり、
どれを選べばよいかわからなくなるほど。

未知の味と遭遇するだけでも楽しみがふえますね。


<天女が開く海の道>
海岸沿いを散歩すると天女が海の道を開いてくれます。

錦州の観光名所

潮の満ちひきでうまれた海の道は、
霧でかすんだ島へとつながる壮大な姿。

錦州の観光名所

この開けた道のように、見る時間や見方を変えるだけで、
思わぬことに気づき、道がひらけることもあるのではないでしょうか。


錦州の観光名所

身動きがとれなくなっている舟の姿もまた、風情があります。

よいときもあれば、わるいときもあります。
引いた潮はいずれ、満ち、満ちた潮は、いずれ引くものです。


自然はさまざまなことを私たちに教えてくれます。
私たちの先生は、いつも身近なところにかくれています。



【関連記事】
ドイツハイデルベルグ
ベトナム ホーチミン
中国 深圳
中国 上海・無錫
韓国 釜山
中国 錦州
中国 寧波・南京
タイ アユタヤ遺跡
マレーシア マラッカ
韓国 明洞
中国 唐山
posted by かおる at 21:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 監査のたび