2012年12月27日

鮭の生き方に学ぶ品質改善

鮭の生き方に学ぶ品質改善
(2012年12月27日)品質管理研究所


自然界の生き物達は、私たちにたくさんのことを教えてくれます。


鮭は、川で生まれ、海で育ちます。
そして、再び、命がけで故郷の川にもどり、卵を産み、子孫を残します。


鮭の遡上と品質改善

厳しい環境の中で、ごくわずかな鮭だけが、
川をのぼりきり、大切な子孫を残していきます。

ものづくりでは、さけが育つ川の流れのような品質の作りこみプロセスをへて、
さまざまな試験をクリアした後に、市場である海へ出荷されていきます。


海は、さまざまな市場のお客様がまっている環境です。
海には、思いもよらないようなさまざまな危険がまちうけています。

多くの製品は、お客さまのところで大活躍をしますが、

ごくわずかの製品が、品質改善の種となる貴重な情報をもって、
うまれたふるさとである製造工場へもどってきます。

どのような理由で、工場へもどってきたか、その問題となる原因を分析して、
次の製品への設計上の改善を施していくことが求められます。


川でうまれた鮭が、海へと旅立ち、川へともどる生命のいとなみは、
まさに製品の品質改善の繰り返しのようです

新たにうまれた改善を反映した製品(子鮭)は、
また、次の世代の製品として、新たな市場の海へと旅立つことになります。

大海原で成長する鮭が、脈々と受け継ぐDNAをもっているように、

市場からもどってきた製品から、品質上の改善点を学びとり、
次の製品の設計(DNA)に反映して、喜ばれる製品に改善していきたいものです。


品質問題で悩みをかかえているときには、
あえて問題からはなれて、考えてみることも大切なことです。

身近な自然界に目を向けてみると、思わぬヒントが見えてくるのではないでしょうか。

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2012年12月13日

オーケストラの指揮者に学ぶ品質管理とは?

オーケストラの指揮者に学ぶ品質管理とは?
(2012年12月13日)品質管理研究所


ひとつの製品に多くの部品が組み込まれている製品があります。
わずかひとつの小さな部品の不良でも、製品の品質は、大きな影響をうけます。

『品質は、指揮者とオーケストラが奏でるハーモニー』です。

ODMと品質管理


オーケストラは、弦楽器、打楽器、管楽器などさまざまな音を奏でる
たくさんの演奏者によって構成されています。

指揮者となる製品メーカーさんが、さまざまな楽器の演奏者である部材メーカーさんを
盛り立てて、ひとつの曲にしあげています。


本番の演奏前に、みなで音を合わせ、きれいなハーモニーになるように問題を解決していくプロセスは、製品を出荷するまでに改善を繰り返して品質を作りこむプロセスと同じといってもよいのではないでしょうか。


■ オーケストラの指揮者(製品メーカーさん)

優れた指揮者にもとめられることは、何でしょうか。

ただ単に楽譜どおりに演奏を指揮することが指揮者の役割ではありません。
音楽の楽譜はいわば、製品の図面やQC工程図といえるでしょう。

指揮者次第で、演奏者が奏でる全体のハーモニーは、良くも悪くも変化します。
指揮者にもとめられる力とはなんでしょうか。


■ 見えないモノを見る力と見えないところでの努力とは?

曲に秘められた時代背景や作曲者の意図を理解し、音楽に表情をつけていく力。
楽譜に書かれていないことを学び、表現する力がもとめられるのではないでしょうか。


オーケストラとの練習はもちろん、演奏者から見えないところで、
本番前までにどれだけの準備ができているでしょうか。

指揮者は、演奏時には、演奏の音の始まりのタイミング、音を徐々に落としていくなど、
音の終りなどの変化点もうまくコントロールすることが求められるでしょう。

わずかな音のちがいを聞き分け、音色や音のバランスなどを修正していく改善力はもちろん、本番までに、オーケストラのさまざまな個性をまとめあげ、多彩な演奏者の才能や協力をひきだして、ひとつの音に仕上げていく組織の指導力も必要になるでしょう。

そして、音楽と楽器に対する理解と愛情はもちろん、
演奏者に信頼性されることがなにより、大切なのではないでしょうか。


OEMと品質管理

熟練した演奏者もいれば、若い演奏者もいることでしょう。
その楽曲になれた演奏者や練習が必要な演奏者などレベルの違いもあるでしょう。

演奏者を育成するとともに、目指すレベルに応じた演奏者、
前向きな考えをもった仲間をふやしていくことも大切なことです。


■ 指揮者の盲点とは?

指揮者の盲点とは、なんでしょうか。

指揮者には、きこえにくいものがあります。

それは指揮者が耳にする音ではなく、
はなれた客席にいるお客様の位置でどのようにきこえるかということです。

日頃当たり前に指揮者の位置で聞いている音は、
はたして、お客様の耳と心にどのように響いているのでしょうか。
演奏側の立場の一方的な音色になっていないでしょうか。


オーケストラと品質管理

ものづくりの製品メーカーとオーケストラの指揮者を
重ねて考えると大切なことがみえてきます。

OEMやODMなどの海外現地生産が増えている中で、
自社で生産しない製品の品質をいかに向上させるか
日々奮闘されている方も多いことでしょう。

グローバル化と海外でのものづくり品質向上のために、

オーケストラの指揮者のような姿勢が、
今まさに求められているのではないでしょうか。



品質問題で仕事に追われているときこそ、

指揮者とオーケストラが奏でるきれいな音色に耳をかたむけて、心を落ち着けながら、
指揮者の役割と品質のあり方を考えてみるのもよいかもしれませんね。



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2012年12月11日

自工程完結の品質保証とは?

自工程完結の品質保証とは?
(2012年12月11日)品質管理研究所


品質保証の仕事は、品質や検査という言葉がつく
品質管理部、品質保証部、品質検査課などの専門職の仕事と思われがちです。

自工程完結と三現主義

もちろん、これらの品質部門は、品質をつくりこみ、品質を適宜チェックし、
お客さまに品質を保証するためのゴールキーバーとしての役割をはたしていますが、

生産現場でものをつくり、『品質を工程でつくりこむ』のは、
フィールドプレーヤーである製造現場の加工者が担っていることを忘れてはなりません。

生産現場ではたらく加工者自らが、
『良品のみを次の工程(お客様)へ贈る』という
目標に近づくためには、どうすればよいでしょうか。



■ 自工程完結とは?
各製造工程で、自らが責任をもって、製品品質をつくりこみ、
不良品を次工程に流さない考え方を『自工程完結』といいます。

『後工程はお客様』の前提となる『自工程完結』の考え方が、
十分浸透していない場合には、

製品を加工する各工程別の不良率が正確に測定・把握されておらず、
最終検査で検出される不良が圧倒的に多いのが特徴です。

製品の加工者が、不良品を最終の工程検査でとりのぞかれた不良品から
時間をおいて知る場合、このタイムラグが、品質改善が滞らせる要因となります。

時間が経って見つかる不良ほど、
原因の推定が難しくなることが多いものです。

市場の不良はもちろん、工程内の不良も同じです。

製品だけでなく、不良品にも、鮮度があります。
より鮮度の高い状態で、現場で品質改善できているでしょうか。

自工程完結

パンを上手にふくらますためにどのようにきじを練って、どのようにねかせたか、
パンを焼く前の工程と後工程のつながりも現場で観察すれば、みえてくるはずです。

産業用の製品のものづくりにも、通ずるヒントは身近にあふれているのではないでしょうか。


■ 加工者からの脱皮
品質問題を理解し、品質不良を防止するためには、
作業している『加工者』が、不良品(MATERIAL)はもちろん、不良を生みだす要因となる
ヒト(MAN)や機械(MACHINE)の実際の動作(METHOD)をその場で認識し、
改善策を考える『加考者』になることがもとめられます。

不良を発生させないような根本的な改善をはかるために、
不良が発生した瞬間に立ち会うことが、『加考者』の基本となります。

品質問題をその場で確認できると、
品質改善の多くの気づきをうまれ、改善を早めることにつながります。
不良が発生してどれだけ、はやい段階で不良を見つけられるかがポイントです。

不良仕掛品に加工を施しても、
むだな加工コストを追加するだけで、不良品にかわりありません。
せっかくの加工の努力も、水の泡となってしまうのです。

不良品は、余計なコストをうみ、貴重な時間を奪うものです。

自工程完結型の品質マインドがみにつけられると、
自工程での品質が気になるのを手始めに、後工程での品質はもちろんのこと、
前工程から流れてくる製品の品質も気になり始めることでしょう。


自身の工程での品質は、前工程での品質にも影響を受け、
後工程に影響を与えることに改めて気づけば、改善の楽しみもより広がります。

問題があれば、お互いに声をかけ、すぐに気づいて、見直すきっかけにもなります。

実際の加工者はひとりでも、加考者がひとりになる必要性はありません。

複数人でチームをつくり、『加考者』になることもできます。
そして、『加考者』から、実際に改善の行動にうつす『加行者』が出てくれば、
品質改善の種は、もう、芽をだしているといってもよいでしょう。


自工程完結と品質改善

単なる『加口者』だけにはならず、

太陽のように明るく照らし、芽を出した種にどのように水を与えられるか、
改善チームを応援するリーダーの役割も大切ではないでしょうか。

自工程完結は、単に自分の工程だけよければよいという「自分勝手のわがままな発想」ではなく、お互いを気づかい、チームで改善を促すための起爆剤にしていきたいものです。


現場で品質改善を引っ張り、活躍される皆さまを応援しています!


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posted by かおる at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 品質思想