自工程完結の品質保証とは?(2012年12月11日)品質管理研究所
品質保証の仕事は、品質や検査という言葉がつく
品質管理部、品質保証部、品質検査課などの専門職の仕事と思われがちです。

もちろん、これらの品質部門は、品質をつくりこみ、品質を適宜チェックし、
お客さまに品質を保証するためのゴールキーバーとしての役割をはたしていますが、
生産現場でものをつくり、
『品質を工程でつくりこむ』のは、
フィールドプレーヤーである
製造現場の加工者が担っていることを忘れてはなりません。
生産現場ではたらく加工者自らが、
『良品のみを次の工程(お客様)へ贈る』という
目標に近づくためには、どうすればよいでしょうか。 ■ 自工程完結とは?各製造工程で、自らが責任をもって、製品品質をつくりこみ、
不良品を次工程に流さない考え方を
『自工程完結』といいます。
『後工程はお客様』の前提となる
『自工程完結』の考え方が、
十分浸透していない場合には、
製品を加工する各工程別の不良率が正確に測定・把握されておらず、
最終検査で検出される不良が圧倒的に多いのが特徴です。
製品の加工者が、不良品を最終の工程検査でとりのぞかれた不良品から
時間をおいて知る場合、
このタイムラグが、品質改善が滞らせる要因となります。
時間が経って見つかる不良ほど、
原因の推定が難しくなることが多いものです。市場の不良はもちろん、工程内の不良も同じです。
製品だけでなく、不良品にも、鮮度があります。
より鮮度の高い状態で、現場で品質改善できているでしょうか。

パンを上手にふくらますためにどのようにきじを練って、どのようにねかせたか、
パンを焼く前の工程と後工程のつながりも現場で観察すれば、みえてくるはずです。
産業用の製品のものづくりにも、通ずるヒントは身近にあふれているのではないでしょうか。
■ 加工者からの脱皮品質問題を理解し、品質不良を防止するためには、
作業している『加工者』が、不良品(MATERIAL)はもちろん、不良を生みだす要因となる
ヒト(MAN)や機械(MACHINE)の実際の動作(METHOD)をその場で認識し、
改善策を考える『加考者』になることがもとめられます。
不良を発生させないような根本的な改善をはかるために、
不良が発生した瞬間に立ち会うことが、『加考者』の基本となります。
品質問題をその場で確認できると、
品質改善の多くの気づきをうまれ、改善を早めることにつながります。
不良が発生してどれだけ、はやい段階で不良を見つけられるかがポイントです。
不良仕掛品に加工を施しても、
むだな加工コストを追加するだけで、不良品にかわりありません。
せっかくの加工の努力も、水の泡となってしまうのです。
不良品は、余計なコストをうみ、貴重な時間を奪うものです。
自工程完結型の品質マインドがみにつけられると、
自工程での品質が気になるのを手始めに、後工程での品質はもちろんのこと、
前工程から流れてくる製品の品質も気になり始めることでしょう。自身の工程での品質は、前工程での品質にも影響を受け、
後工程に影響を与えることに改めて気づけば、改善の楽しみもより広がります。
問題があれば、お互いに声をかけ、すぐに気づいて、見直すきっかけにもなります。
実際の加工者はひとりでも、加考者がひとりになる必要性はありません。
複数人でチームをつくり、『加考者』になることもできます。
そして、『加考者』から、実際に改善の行動にうつす『加行者』が出てくれば、
品質改善の種は、もう、芽をだしているといってもよいでしょう。
単なる
『加口者』だけにはならず、
太陽のように明るく照らし、芽を出した種にどのように水を与えられるか、
改善チームを応援するリーダーの役割も大切ではないでしょうか。
自工程完結は、単に自分の工程だけよければよいという「自分勝手のわがままな発想」ではなく、お互いを気づかい、チームで改善を促すための起爆剤にしていきたいものです。現場で品質改善を引っ張り、活躍される皆さまを応援しています!
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